【電通】広告が嫌われる時代にモノを売る!「買わせるメソッド」3選

【電通】広告が嫌われる時代にモノを売る!「買わせるメソッド」3選




 こんにちは、ヒイラギです。今回は読んで楽しいマーケティング本、『電通さん、タイヤ売りたいので雪降らせてよ。』をご紹介します。

 なんともインパクトがあるタイトルですよね。何を隠そう、わたしはこのタイトルに惹かれて手に取りました。この時点でわたしは著者の罠にまんまとハマっていることになります。「この著者はきっとやり手だ! 何かすごく面白そうなことが書いてあるに違いない!」ーーそう見込んで読み始めました。

 結論、読んで良かった!

 難しい専門用語や理解不能なモデル図などがなく、身近な事例から「買わせるメソッド」が紹介されているため、わたしのようにマーケティング知識ゼロの人でも最後までスラスラ読むことができます。

 また、わたしたち消費者がいかに敏腕マーケターたちの罠に引っかかり、財布のヒモを緩めてしまっているかに気づくことができます。自分がどんな罠に引っかかっているか、知りたくないですか?

 著者は「電通テック」という広告会社で、ショッパー・サイコロジストとして活躍している本間立平さん。行動経済学、心理学、脳科学などのセオリーを用いた「買わせるメソッド」で販売促進などのプロモーションを行っているプロです。

 スゴ腕の販売員が使うテクニックや、行列ができる店の秘密、さらにはSNSで「イイね」をもらう極意まで、今すぐにでも使えるメソッドが惜しみなく紹介されています。「電通さん、こんなに暴露して大丈夫?」と心配になるほど、目からウロコの情報が盛りだくさん。マーケティングにあまり興味がない人でもきっと興味津々で読み進められるはずです。

 ここでは、本書に出てくる「買わせるメソッド」の中から、シーン別に3つご紹介いたします。

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①押し売りと思わせない声かけ
「買い文句」

 よく聞く「売り文句」とは、客に買う気を起こさせるフレーズのことで、謳い文句や煽り文句とも言われます。

 それに対し、著者が提案する「買い文句」とは、「買い物客が、買い物中に、頭の中に思い浮かべる言葉」を指します。

 売り文句は売る側の視点から発せられた言葉なのに対して、「買い文句」は買う側の視点に立って言葉がけを行います。

 人は、自分が考えていることと同じ考えを持つ人に親近感を抱きやすくなります。買い手が考えていそうなことがわかれば、それを話すだけで「買い文句」になります。(p.85)

 例えば、チーズ売り場を物色している客の買い物カゴに、ワインが入っていたら…

「それ、ワインに合うんですよね」

と声を掛けてみる。すると客は、その時まさに考えていたことを言葉にした販売員に共感します。決してチーズを押し売りされているとは思いません。

「そうそう! このチーズ、ワインにすごく合うよね~」

と、まるで友人と一緒におつまみの買い出しに来ているような気分になって、買い物が楽しくなります。

 売り文句を並べ、商品を買わせる気満々の販売員は客にウザがられます。けれど、同じ目線で会話してくれる販売員に客は好感を持ち、一緒に商品を選んでくれたことに感謝すらしてくれることだってあるのです。

②「選択ストレス」から解放する
「一択」

 著者によれば、商品の豊富なラインナップの時代はもう終わりだそうです。

 様々なメーカーから多種多様の商品が出され、情報過多のいま、現代人は選択ストレスでヘトヘトになっています。では、いま何が好まれるのか?

 答えはシンプル。選択肢1つで勝負する「一択マーケティング」です。

 商品を1つに絞れば、おのずと客層も狭まります。それでも1つの自信作で勝負した方がお店の個性が出やすく、エッジが立った店として多くの競合店の中から抜き出ることが可能になるといいます。

 最近わたしはタピオカ巡りにハマっているのですが、様々なフレーバーを出す店が多い中、西荻窪にある「吉祥天」というお店は、通常のタピオカミルクティーと黒糖タピオカミルクティーの2種類で勝負しています。

 ミルクフォームをトッピングしたり、タピオカを寒天ゼリーに変更したりといった他店では用意されているアレンジにも一切対応していないのですが、本場台湾の味が楽しめるこのお店の「黒糖タピオカミルクティー」は絶品で、もう何度も足を運んでいます。

 選択肢が少なく厳選されているため、黒糖タピオカミルクティーが飲みたくなったとき、真っ先にこのお店のことが思い浮かぶのです。

 商品の種類が少なければ、それだけオペレーションも楽になりますし、Webマーケティングにおいても、SEO対策の観点から有利になるそう。選択肢を絞ることに、こんなにもメリットがあるなんて驚きです。



③「インスタ映え」を狙う
「過剰」

 いまや使わない人はいないくらい、SNSは現代人の生活の一部になっています。わたしもインスタにFacebookにと、暇さえあればSNSばかりチェックしてしまいます。

 いま、まさに「インスタ映え」で世の中が動く時代が来ています。インスタで話題になれば一夜で大ヒット商品が生まれることだってありえるのです。

 じゃあ、どうすれば「インスタ映え」を作り出せるのでしょうか?

 著者が提案するのは、ずばり「過剰」です! 「はみ出るカルビ」や「こぼれイクラ」は、普通では考えられないほど過剰に盛り付けられたことで人々に衝撃を与え、話題になりました。でも、素材はただのカルビに、ただのイクラ。

 ただ過剰に盛り付けられているだけで、人はこんなにも衝撃を受けるものなのかと思いますが、実は先日、自分も生クリームがてんこ盛りのパンケーキに心が躍り、写メを取りまくってしまいました…。

 案外シンプルな方法で「インスタ映え」は作り出せるものなんですね。このメソッド、すぐにでもマネできそうな気がしませんか。

最後に

 まだ記憶に新しい東日本大震災が起きたのは2011年。著者によれば、この頃から広告の世界では「Social Good」がブームになっているそうです。

 物を買わせるための広告を作るだけじゃなく、広告によって社会問題を解決することもできることに気づいたそうです。

 自己中なプロモーションは嫌われるだけ。でもそれが問題解決を手助けしてくれるメソッドだったら…人は喜んで受け入れてくれるはず。

 やり方を間違えれば迷惑行為となる広告や販売促進も、相手が笑顔になることをゴールにすれば、人々の毎日をより明るく楽しくすることができるのです。

 本書では、他にも30種類ほどの「買わせるメソッド」を紹介しています。どれも大がかりな準備や資金なしですぐに試すことができる実践的なテクニックばかりです。

 「買わせるメソッド」は、いかに相手の共感を得るかのメソッドでもあります。どうすれば相手に響くのか、何をすればより多くの人に受け入れてもらえるのか、そんな悩みを解決するヒントが本書にはたくさんつまっています。

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