個性を科学的に分析するツール「エマジェネティックス」でチームの生産性を最大化

個性を科学的に分析するツール「エマジェネティックス」でチームの生産性を最大化




 こんにちは、Yukaです。新年度を迎え、少し落ち着いてきた頃でしょうか? 新たに出会う人もいれば、職場での役割の変化に戸惑う人も多いかと思います。

 今回私が読んだ本は『チームの生産性を最大化するエマジェネティックス』です。カラフルな表紙に惹きつけられて、どんなものなのかとても興味を持ちました。

 みなさんは「エマジェネティックス」という言葉を知っていますか? 私は本書を手に取るまで全く聞いたことがありませんでした。

 しかし読み進めていくうちに、エマジェネティックスというツールを多くの企業に知ってもらい、取り入れてもらうことができれば、働く人たちの様々な人間関係上のトラブルを解決できるのではないかと感じました。

 チームの生産性を最大限に高めるために、働く人それぞれが個性を認め合い、理解することで働きやすい環境を目指すーーそんな理想的な職場づくりのヒントを得ることができる一冊です。

 この記事では、「エマジェネティックスとは何か?」そして「運用上のポイント」について紹介したいと思います。

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エマジェネティックスとは?

 「エマジェネティックス(EG)」とは、脳科学の理論と70万人以上の統計をもとにしてアメリカで開発された、人間の個性を分析するツールです。

 100の質問に答えることによって、その人の個性を「見える化」したプロファイルを作成し、「4つの思考特性」「3つの行動特性」の組み合わせによって理解することができます。

 プロファイルの違いは、「考え方」「伝え方」「仕事の進め方」「心地の良いコミュニケーションの取り方」などの違いとして表れるため、EGのプロファイルを共有することで、人間関係のストレスを減らすことができます。なぜなら「相手の特性」がわかれば相互理解が進み、相手に合わせたコミュニケーションが取れるようになるからです。

 これは社内コミュニケーションの円滑化はもちろん、人材の適切な配置にも効果を発揮することになります。

 そのため、

  • 社員の得意なことを伸ばす組織づくりが可能になる。
  • 仕事の役割分担が明確になる。
  • 違う思考を持つもの同士が、相互に協力し合う強い組織ができる。

 など、会社組織にとって大きなメリットがあるのです。

「4つの思考特性」とは?

 「4つの思考特性」は、以下のように「色」で表すことで、一目で分かりやすくなっています。

  • 分析型…………「青」
  • 構造型…………「緑」
  • 社交型…………「赤」
  • コンセプト型…「黄」

分析型…論理的、合理的、客観的に物事を考える

 数字やデータに基づいて論理的、合理的、客観的に物事を考えるタイプです。

  • 会議で「その根拠は?」「どこに原因があるの?」「目的は?」「最終的にはどんな形にするの?」などの発言が多い。
  • 損益分岐点や利益率など、数字に貢献するデータを重視する。

構造型…過去の体験を重視し、順序立てて考える

 計画の通りに確実に実行することや、予測できる未来を好むタイプです。

  • 途中を省略することなく、Aから始まったらZまですべて最後までやる。
  • 「きっちりした人」「常識人」というイメージを持たれる。

社交型…誰に相談、依頼すれば問題解決できるか直感的に判断する

 人との関係性を重視し、人の気持ちを最優先するタイプです。

  • 周りの人が「自分をどのように評価しているか」が気になる。
  • 会議では「みんなはどう思う?」「お客様の気持ちを考えると…」「〜さんが言っているから」「みんなで協力して…」などの発言が多い。

コンセプト型…直感で思いつく。根拠なくゴールが頭に浮かぶ

 様々なことに興味、関心、注意が向き、それも次々と変化するタイプです。

  • 「新しいアイデアはない?」と聞かれると、様々なアイデアを思いつく。
  • 細々としたことに退屈することが多く、マニュアルを読んだり、2時間の座学が続くセミナーは苦痛に感じる。

 これらの思考特性は「ひとり、ひとつ」ではありません。誰もが4つの思考特性を全て持ち合わせており、普段、意識しない状態でどの色が多く使われているかという割合が異なるのです。

 ちなみに、診断テストによって「23%以上」の数値を占める思考特性は「顕性である」とよばれ、その色の思考が顕著に表れます。人によっては2つ以上の色が「顕性」となることもありますし、4つすべてが顕性となる人もいるようです。



「3つの行動特性」とは?

 続いて、3つの行動特性です。以下3つの行動特性のエネルギーは、それぞれ横の棒グラフによって示され、「左寄り」「真ん中」「右寄り」の3つで分析されます。

  • 自己表現性…自分の感情を「他人に発信したい」というエネルギーの強さ。
  • 自己主張性…自分の考えや意見を「他人に受け入れてほしい」と感じる頻度と、エネルギーの強さ。
  • 柔軟性…自分と異なる考えや状況、行動を受け入れようとするエネルギーの強さ。

 右寄りの方がより特性が強く表れ、左寄りになると、逆に控えめに表れることを示します。真ん中の場合、どちらの傾向もバランスよく表れるということになります。

 たとえば「自己表現性」が「左寄り」の人は、会議や打ち合わせでは「聞き役」のことが多かったり、感情をあまり表に出さず、表情やジェスチャーが控えめだったりする傾向があります。逆に「右寄り」の人は、会議や打ち合わせで「話し手」になることが多く、声、身振り、手振りが大きい傾向にあります。

 このようにそれぞれの「思考特性」や「行動特性」が明確になれば、自分と異なる特性の人に対しても理解が進むため、社内コミュニケーションの円滑化が期待できます。

EGを活用する際のポイント

 ここで、エマジェネティックスを運用する場合に、知っておくべき4つのポイントがあります。

  1. エマジェネティックスは、その人の「特性」を知るものであり、「能力」を測定するものではない。
  2. プロファイルは、社員の「優劣」を決めるものではない。
  3. 社員全員(パート含む)のプロファイルを取る。
  4. プロファイルを取るだけでなく、必ず「セミナー」に参加させる。

 注意が必要なのは、①、②にあるように、EGは「特性」を知るものであり、「能力」を測定するものではないということ、そして社員の「優劣」を決めるものではないということです。

 たとえば「私は緑の比率が少ないだから実務ができないんだ」「行動特性がすべて左寄りだから売り上げが上がらないんだ」のように、「特性」を欠点と解釈するべきではありません。社員同士がお互いの「特性」を優劣の判断基準としたり、欠点と見たりするようになると、それこそ衝突が起きてしまいます。

 重要なのは、各色の特性を知り、「どうすれば自分の強みを知ることができるのか」「どうすれば相互理解を深めることができるのか」を考え、活用することなのです。

 そのため著者は、プロファイルを取るだけでなく、「株式会社EGIJ」が開催している「エマジェネティックス活用セミナー」に参加することをすすめているのです。

まとめ

 どんな職種・業種であっても、従業員同士や取引先、顧客など、様々な人間関係によって成り立っています。

 その中で、自分の特性を知ることや、自分または相手の特性を相互に理解し合えることは、とても心強く感じられるのではないかと思いました。

 仕事をする上でいつか壁にぶつかったとしても、自分と同じ特性を持つ人に相談できた方が共感を得られやすく、アドバイスなども的確であることが多いでしょう。

 本書では、著者の小山氏が代表を務める株式会社武蔵野の社員のみなさんの「特性」を公表しつつ、部下の特性に応じたアドバイスの仕方や、どのように結果につながったのかなど参考にしていただける情報がたくさん記されています。また第5章では、様々な企業の活用事例も多数紹介されています。

 企業の人事担当の方や、従業員同士のコミュニケーションで悩みを抱えている方は、ぜひ本書を一読し、エマジェネティックスについて理解していただければと思います。

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