「○○分野の本、まとめて10冊読んでみた」という企画では、私があるテーマについて10冊以上の本を読み、「この分野では、これを読んでおけば間違いない」という本を紹介していきます。
第1回は、いま話題の「NFT」本。2021年に急速に市場が拡大し、ニュースで耳にする機会も増えているため、気になっている人は多いでしょう。
まだ新しいテーマのため、紙の本で出されているのは2〜3冊程度です。(※この記事を執筆し始めたタイミングでは2〜3冊だったのですが、その後、続々と出版されています。今後、追加していきます!)
またNFTアーティストとして活動している方たちが、その経験やノウハウをまとめたKindle本を多数出版しています(この数も、わずかな期間で爆発的に増えています)。
Kindle本は玉石混淆で、誤った情報や読む価値のない内容のものも多数あります。初心者の方がそうした本を最初に読むと、誤った理解をしてしまう可能性もあるため危険です。
なのでこの企画では、「読む必要のない本」も忖度抜きではっきりとお伝えしていきます。
今回は、紙の本2冊と、Kindle本10冊の計12冊をまとめてレビューして、最後に「で、結局どれを読めばいいの?」という結論をまとめます。
今後、気になる新刊が出たら随時追加していきます。
- ☆の評価基準について
-
評価 (5 / 5)
誰に対してもおすすめ。これさえ読んでおけば間違いない。非の打ち所がない一冊。 (4 / 5)
おおむね誰が読んでも満足のいく内容。自分のレベルに合わせて、より易しい本や難しい本と合わせて読むのがおすすめ。 (3 / 5)
悪くはないが、十分ではない。一部、参考になる情報はあるので、つまみ食いするか、他の本と併用するのがおすすめ。 (2 / 5)
情報量が少ない(もしくは情報価値が低い)ため物足りない。人によっては一部、参考になる情報があるかもしれないが、その場合も、もっと☆の多い本を読んだほうがいいためおすすめはできない。 (1 / 5)
読む価値なし。説明が薄かったり、文章が稚拙で日本語の誤りが多かったりして内容に信用がおけず、商業出版のレベルに達していない。知識のない人が読むと間違った理解をしてしまう可能性すらある。Kindleでセルフ出版された本に多い。
NFT本12冊読んでみたレビューまとめ
①『NFTの教科書』
(4 / 5)
NFTの基本知識をしっかりと学びたい人は必読です。「アート」「ゲーム(国内・海外)」「スポーツ」「音楽」といったNFTの活用が期待される主要カテゴリーについて、最前線にいるプロフェッショナル達がオムニバス形式で執筆しています。
NFTにまつわるビジネスや技術といった社会実態にはじまり、法律・会計・税務上の取り扱いなどの制度面に至るまで、幅広くカバー。(法律・会計・税務上の取り扱いなど、制度面まで詳しく書かれているのは本書だけです)
主要なNFT取引所と、NFTの買い方についても説明されているので、実用面でも参考になるでしょう。
本書を読むと、「インターネット以来の革命が始まった」と言われることの意味がよくわかり、その可能性にワクワクするでしょう。今後インターネットでビジネスをするつもりの人は、すぐにでも読んでおくべき一冊です。
ただし、「ブロックチェーン」やビットコイン、イーサリアムといった「暗号通貨」について一切知識のない方にとっては、少々とっつきづらいかもしれません。
最初は多少わからない部分があってもスルーして、ざっと通読してみることをおすすめします。様々な書き手がいろんな角度からNFTの概念を解説してくれるので、読み進めていくにつれ、理解が深まっていくはずです。
それでも難しい場合は、次の本も合わせて読むといいでしょう。
②『だれにでもわかるNFTの解説書』
(3.5 / 5)
やわらかい文体で書かれているため、初心者でもとっつきやすい一冊です。
「NFTとは何か」「何が売られていて、誰が買っているのか」「NFTの可能性」「NFTマーケットプレイスの紹介」など、知っておくべき基本情報がコンパクトにまとまっています。
セクシー女優の波多野結衣さんやVRアーティストのせきぐちあいみさん、SKE48、Perfumeなど、日本の事例も多いので読みやすいでしょう。
また「読者特典」として、NFTの出品や購入を体験できるテスト環境の使い方を図解したPDF資料をダウンロードできます。テスト用の仮想通貨を手に入れ、無料で体験する手順をスクリーンショット付きで丁寧に説明してくれています。
ただし、法律・会計・税務上の取り扱いなど、制度面のことはほぼ書かれていないので、NFTを購入・販売して稼ぎたい人は、この一冊では不十分です。①『NFTの教科書』と合わせて読んで、知識を補完することをおすすめします。
③『NFT徹底解説』【Kindle】
(4 / 5)
Kindle Unlimitedで読める本で、NFTの基礎知識を学びたい人は、これを読んでおけば間違いありません。表紙がちょっと情報商材っぽいので敬遠していたのですが、浅はかでした。
NFTやブロックチェーンにまつわる用語や技術的な知識から、OpenSea(NFTの取引所)でのアカウントの開設方法や買い方・売り方まで、知っておくべき情報が網羅されており、図解も豊富でわかりやすいです。
他の書籍では説明されていない部分まで詳しく解説されているので、知識欲も満たされるでしょう。
ただ、情報量が多い分、全部を読み切るのはなかなか骨が折れます。完全初心者の方だと途中で挫折してしまうかもしれません。
まずは、②『だれにでもわかるNFTの解説書』や、④『NFT完全初心者への徹底解説』など、簡単でとっつきやすい本から入って全体像を把握した上で、より詳しく知りたい部分について本書を参考にするのがよいと思います。
④『NFT完全初心者への徹底解説』【Kindle】
(3.5 / 5)
NFTの基本について知っておくべき基礎知識が、わかりやすくまとめられています。
説明の詳しさやカテゴリーの幅広さ、具体例の数などは①②③には及ばないものの、技術的な説明も含め、必要な情報がコンパクトにまとまっています。初心者の方でも挫折せずに読み切ることができるでしょう。
またOpenSea(NFT取引所)の画面やその見方、OpenSeaでのアカウント開設や出品の方法など、スクリーンショット付きで説明してくれているので、ビジュアルを見ながら理解したい人におすすめです。
Kindle Unlimitedで読める本で学びたいけど、③では挫折してしまいそうな人は、まずこちらを読んでみましょう。
⑤『無料ではじめるNFTの作り方、売り方からマーケティングまで』【Kindle】
(3 / 5)
「NFTを無料で出品してみたい」という人におすすめです。必要な情報がコンパクトにまとめられているので、完全初心者でも途中で挫折することなく出品完了できます。(私も本書を参考に出品を行いました)
著者が利用しているドット絵の作画アプリや、参考にしたクリエイターやコレクションなども紹介されているので、作品を制作する上でも参考になります。
NFT界隈の有名人のSNSアカウントがまとめられているので、フォローして最新情報を入手する土台を作りましょう。
一点、「Polygon」についての説明がほぼないため、OpenSeaでNFTを販売する際に、なぜ「Polygonネットワーク」を追加する必要があるのかわからずモヤモヤしました。きちんと理解したい人は、③『NFT徹底解説』と合わせて読んだほうがいいでしょう。
また、あくまで本書は「NFTを無料で出品する方法」がメインですので、NFTの基礎知識について理解するには不十分です。「とりあえずNFTを無料で出品できればいい」という方以外は、まず①〜④のどれかを読んでおくことをおすすめします。
⑥『NFTアート絵の素人でも月10万円稼ぐ方法』【Kindle】
(3 / 5)
NFTは出品すれば売れるものではありません。無名の個人が出品しても閲覧すらされないでしょう。「では、どうすれば売れるのか?」についてアイデアをくれる一冊です。
特に、「NFTを買ってくれた人向けに限定コンテンツを用意する」という視点は参考になりました。絵が下手でも、他の付加価値をセットにすることで、購入メリットを訴求しやすくなります。
すでに知名度のある人気絵師さんや、実力のあるイラストレーターの方以外は、本書を参考に販売戦略を考えるとよいでしょう。
尚、絵が得意な人は、「次回作のラフ」や「絵の制作秘話」「絵を描く様子のタイムラプス動画」といった「副産物」を特典にすることで、絵そのもの以上の価値を用意することができます。
⑦『億り人が徹底解説』【Kindle】
(3 / 5)
日本でもいち早くNFT界隈に参入しているイケダハヤトさんの著書。フォロワー数34.2万のインフルエンサーでもあるため、「NFTならまずイケハヤさんの本から」と考える人は多いかもしれません。
しかし本書には、NFTに関する技術的な説明はほぼなく、OpenSeaへの登録や出品方法といった実用的な情報もありません。ページ数も少なく、内容も薄いため、基礎知識を学ぶには物足りないというのが正直なところ。「初心者向け」の「入門書」とありますが、初心者が読んでもほぼ意味がないと思います。
参考になるのは、NFT取引における詐欺事例についてです。これは実際にNFT取引を行っている人だからこそ語れる部分でもあるので、注意点として目を通しておくべきでしょう。
またイケハヤさん自身のコレクション運営や、それに付随するコミュニティ運営についても触れられているので、「国内のNFT界隈の人たちは何をやっているのか」を知る上で参考になります。
尚、なぜか目次のアンカーリンクが機能しておらず、「目次から該当ページに飛べない」という欠陥があり、後から振り返りたいときにストレスを感じます。
⑧『NFT超入門』【Kindle】
(2 / 5)
NFT周りの話題について一通り触れられているものの、説明が浅いため、初心者は腹落ちするような理解を得られないでしょう。
また1ページあたりの情報量が少なく、空白ばかり(タブレットで横画面にすると、1ページ丸々空白になるページがほとんど)だったり、 全ページ左上の一番目立つ位置に各章の見出しが大きく固定されており、毎ページ同じ見出しを読まされることになり、ストレスです。
内容以前に、Kindle本の作り方に問題があると感じます。
NFTの出品・購入方法については、仮想通貨取引所の登録から手順が説明されています。ただし画像はなく、テキストで概要と流れをざっと説明しているだけなので、初心者の人はイメージしづらいでしょう。
総じて、他のKindle本に勝る点がないため、読む必要はありません。
⑨『NFTアート最初の1枚を売る方法』【Kindle】
(2 / 5)
⑥『NFTアート絵の素人でも月10万円稼ぐ方法』と同じ著者のKindle本ですが、こちらはおすすめできません。
第1章では、仮想通貨とブロックチェーンについて説明されていますが、内容が浅く、具体例も疑問の残る説明のため、初心者が読むと誤った理解をしてしまう可能性があります。
また「仮想通貨」や(メルカリ、ココナラ、アップル、グーグルといった)「他の経済圏」が拡大していくと、「日本円」(法定通貨)が取り残され、使われなくなっていき、円でしか給料が入ってこない人は肩身が狭くなっていくかもしれない、だから(NFTで)仮想通貨を稼いでおいた方がいい、といった趣旨の主張をされているのですが、全く同意できませんでした。
仮想通貨の購入やOpenSeaアカウントの作成、NFTの出品・販売などの手順は記されていますが、「今後時間が経つにつれて、取引所やMetaMask、Openseaの見た目やボタンの位置など変わっていく可能性がある」という理由から、スクショは使われていません。
尚、タイトルにある「最初の1枚を売る方法」として挙げられているのは、「二次創作」や「giveaway(無料プレゼント)」の活用など、他の書籍にも書かれている基礎的な内容です。総合すると、本書を読む必要はありません。
⑩『今さら聞けないNFT』【Kindle】
(1.5 / 5)
本書は、冒頭から「いま、NFTはバブルで早く参入した人ほどがっぽり儲けている状態。月100万、月500万というのも夢ではありません」と書かれています。
他のKindle本は「NFTで稼ぐのは簡単ではない」というスタンスで書かれている中、「今NFTを始めれば簡単に稼げる」というイメージを植え付けるスタンスなので、誠実さに欠ける印象を受けます。
また誤字や衍字、「ですます調」と「である調」の混在など文章の誤りも多く、商品としての完成度も低いです。
総じて、他にもっと良心的で丁寧な解説がなされたKindle本があるので、本書を読む必要はありません。
⑪『完全無料! 0円から作るNFT』【Kindle】
(1 / 5)
読む必要ありません。文章が拙く、文法的な誤りも多いため非常に読みづらいです。説明も表面的で浅い上、文法がおかしいため書き手が本当に理解しているのか不安になります(「NFT」が何の略なのかさえ説明されていません)。
初心者の方は読んで正しく理解できないどころか、各自の解釈や想像で誤った理解をしてしまう可能性もあります。
また「固定レイアウト型」(画像)の電子書籍のため、テキストのハイライトや読み上げ機能が使えません。フォントサイズは大きめで固定されており、1ページあたりの情報量は少ないです。
文字を読むことに慣れていない人には「読みやすい」となるのかもしれませんが、私は内容の薄いページを何度もめくらなければならないことがストレスでした。
NFTを出品する上で必要となる各種サービスへの登録方法については、スクショ付きで順を追って説明されているので、参考になる部分はあるかもしれません。が、いかんせん日本語が読みづらいため、他のKindle本を読んだほうがいいです。
⑫『NFT入門書』【Kindle】
(1 / 5)
読む必要ありません。こちらも文章が拙く、誤字や文法の間違いだらけで非常に読みづらいです。説明も言葉足らずでわかりづらいため、内容に信用がおけない上、同じページが2枚連続しているミスなどもあり「商品」としても問題があります。
また冒頭からいきなりBrainの有料教材(1,980円)への導線が貼られています。しかもこの本の著者とは違う人の教材のようです。
⑬『完全無料! 0円から作るNFT』同様、「固定レイアウト型」の電子書籍のため、テキストのハイライトや読み上げ機能が使えません。フォントサイズも大きく、内容の薄いページを何度もめくらなけばなりません。
で、結局どれ読めばいいの?
NFTについてしっかりと理解したい人は、紙の本の信頼できる情報をベースに、足りない部分をKinde Unlimitedの本で補完するのがおすすめです。
①『NFTの教科書』 or ②『だれにでもわかるNFTの解説書』
+
③『NFT徹底解説』
⑤『無料ではじめるNFTの作り方、売り方からマーケティングまで』
⑥『NFTアート絵の素人でも月10万円稼ぐ方法』
できるだけ低コストで(Kindle Unlimitedの本だけで)済ませたい人は、以下の本を読みましょう。
③『NFT徹底解説』 or ④『NFT完全初心者への徹底解説』
+
⑤『無料ではじめるNFTの作り方、売り方からマーケティングまで』
⑥『NFTアート絵の素人でも月10万円稼ぐ方法』
追加予定の新刊
NFTに関する本は、新刊がどんどん出てきているので、気になる本があれば、引き続きこの記事に追記していきます。
直近では、以下の本について追記予定です。