NETFLIXのハイパフォーマンス文化を築いた6つの人事戦略とは?

NETFLIXのハイパフォーマンス文化を築いた6つの人事戦略とは?




 こんにちは、ヒイラギです。みなさん、おうち時間はいかがお過ごしですか? 思うように外出できない中、本を読んだり、NETFLIXやAmazonプライムビデオなどの定額制動画配信サービスを楽しんだりしている方も多いのではないでしょうか。

 海外ドラマが大好きなわたしにとって、NETFLIXはなくてはならない存在。しかし自宅にいながらリモコン操作で簡単に好きなドラマや映画を楽しめるようになったのは、ここ数年のことです。

 このNETFLIX、あっという間にわたしたちの生活に浸透し、GAFAと肩を並べるほどの大手アメリカIT企業となりましたが、もともとは数十名の従業員を抱えるDVDレンタルサービス会社だったことをご存知でしょうか。

 同社が瞬く間にグローバル企業へと急成長した秘密を解き明かしているのが、『NETFLIXの最強人事戦略』です。著者は、長年NETFLIXで最高人事責任者を務めたパティ・マッコード氏。同社が驚くような進歩と成長を続けている秘密は、ハイパフォーマンス文化を育む斬新な人事論にあったのです。

 20世紀の企業の常識を引きずっていては、21世紀に飛躍的な改新を遂げるどころか、現代の企業が直面している課題を対処することすらできないと著者はいいます。

 本書には、ハイパフォーマンス文化を育むための具体的な方法が、あらゆるレベルのチームリーダーに向けて書かれています。この記事では、日本企業でも取り入れられそうなものや、少人数のチームリーダーでも応用可能なものを6つピックアップしてご紹介します。

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NETFLIX6つの人事戦略

①正しくモチベーションを引き出す

 優秀な人たちは、仕事をする中でどのような時に大きな喜びを感じるのでしょうか。それは、みんながお手上げ状態の難しい問題を解決することに貢献できた時です。

 ハイパフォーマンスを発揮する人たちにとって、報酬や昇格、従業員特典といった従来型のインセンティブは、必ずしもモチベーションアップにつながりません。

 優秀な人材がハイパフォーマンスを発揮するのは、お金などではなく、魅力的な課題を与えられた時なのです。

 著者がいう「優秀な人材」とは、単なる有名大学出身者やトップセールスマンではありません。チーム(会社)が解決を迫られている問題に、わくわくしながら取り組むような人のことです。そして、前途多難な状況であっても、一人前の大人として挑戦に立ち向かうことを自ら望むような人のことです。

 このような人材を集めることで、チームのレベルは驚くほど上がります。なぜなら、どんなことをしてでもチームの目標に到達しようというマインドが共有されるからです。そして周りに優秀なメンバーがそろっていればいるほど、モチベーションは高まり、チームのやる気はさらにアップします。

 もしチームが抱えている課題に面白みを感じていないメンバーがいたら、本人のためにもチームのためにも、早々にチェンジすることが賢明です。魅力的な課題は、人によって異なります。課題とうまくマッチングさせてあげることが、ハイパフォーマンスを発揮させるカギとなります。

▼ポイント▼
夢中になれる課題、有能な同僚が何よりのインセンティブになる。

②従業員全員に事業を理解してもらう

 経営陣や管理職だけが会社の内情を知っていれば良い、という考えは時代遅れです。NETFLIXでは、ハイパフォーマンス文化を育むために、どんなレベルの従業員にも事業をきちんと理解させるようにしているそうです。

 事業のしくみやビジネスモデル、経営状況を教えることは、実はどんな従業員研修よりも役に立ちます。なぜならこれらを学ぶことで、自分やチームの課題だけでなく、会社全体が抱える課題や競争環境などを大局的に理解することができるようになるからです。事業全体の事情を念頭に置いた上で自分のタスクに取り組むことで、ハイパフォーマンスへとつながっていきます。

 また企業やチームが大きく成長、進化するために軽視してはいけないのが、従業員同士のコミュニケーションです。自分以外の役職の人がどのような課題を抱えているのか、他の部署がどのような仕事をしているのか意外と知らないのではないでしょうか。

 これはコミュニケーション不足によって起こるものです。流行りの仲間意識を育むための楽しいイベントでは解決できません。大切なのは、お互いの仕事内容や課題を気軽に質問し合える機会を提供することです。そうしたコミュニケーションが盛んになればなるほど、ランクや部署にかかわらず、従業員たちから驚くようなアイデアや、斬新な問題解決方法が生まれるそうです。

▼ポイント▼
・事業の理解がハイパフォーマンスにつながる。
・活発なコミュニケーションが成長や、進化のきっかけをつくる。

③ミスや問題点を正直に指摘する

 仕事仲間に問題があるとき、それを指摘するのはあまり気持ちの良いものではありません。しかし相手が気分を害することや、関係が悪くなるのを恐れて、ミスや問題点を大目に見ていると、相手も自分もハイパフォーマンスを発揮できる機会からどんどん遠ざかってしまいます。

 「敬意と誠意をもって正直な話をするのは残酷なことではない」と著者はいいます。「プレゼン能力が低いな」と心の中では思われているのに、表面的に「今日のプレゼン良かったよ」と言われて嬉しいでしょうか。誰しも一番聞きたいのは、本当のことです。

 部下の仕事ぶりに問題があれば、きちんと指摘する。それだけで、上司は部下のミスをカバーしなくてはという負担から解放されて、自分の課題に集中できます。部下自身も行動を改める機会を得られることができ、成長するきっかけを掴めます。正当に問題が取り上げられることで、他のチームメンバーも気持ち良く目の前の仕事に取り組むことができ、結果的にチーム全体のパフォーマンスが向上するのです。

 ここで大切なのは、フィードバックの与え方。できるだけ問題行動の具体例を挙げ、時には解決策を提示します。フィードバックは相手が改善できることでなくてはいけません。目には見えない性格的な面ではなく、行動面にフォーカスしてみましょう。そして感情を交えず、わかりやすい言葉で相手に伝えます。鏡の前や友人相手にフィードバックを与える練習をしてみてもいいかもしれません。

 NETFLIXでは、ランクや職種に関係なく、互いにフィードバックし合うシステムがあるそうです。自分が成長する機会を得られることを知っている従業員たちは、喜んで人からの批判を受け入れているそうです。

▼ポイント▼
・仕事ぶりに問題があったら、正直に適切なタイミングで、面と向かって気になる点を相手に伝えることに勝る解決方法はない。

④積極的に議論の場をもつ

 NETFLIXの企業文化の特色の一つは、議論の活発さです。議論を大切にしている理由は、互いの理解を深め、敬意へとつながるからです。積極的に議論することを意識するようになってから、噂や陰口が驚くほど減ったそうです。社内やチーム内の雰囲気が良くなってパフォーマンスが向上するだけでなく、時間の節約にもつながります。

 また、議論によって人の考えを聞くと、自然と視野が広がっていきます。未知の世界を知ると、おのずと好奇心が沸き、学習意欲が向上します。

 NETFLIXでは、とにかく何でも議論するようになってから、社内外での学習の機会を持とうとする意識が高まったそうです。

 とは言え、単にお互いの意見をぶつけ合えば良いというものではありません。議論する上でのルールがあります。

  • 根拠に基づく意見を述べるように意識する
  • 「事業や顧客のためになる議論を行う」という原則を忘れないようにする
  • 必要とあれば自分の主張を捨て、議論に負けたことを素直に認める
▼ポイント▼
・活発な議論によって社内(チーム)の雰囲気や、働く姿勢をポジティブな方向に変えることができる。

⑤未来の理想のチーム(会社)を今から作り始める

 次に、NETFLIX流のチーム作りについてご紹介します。「未来の理想のチーム(会社)を今から作り始める」とは、徹底して未来に目を向けるという意味です。

 想像してみてください。6か月後、あなたは素晴らしいチームを指揮し、信じられないほどの業績を達成しました。さて、その時にチームメンバーが持っているのはどんなスキルですか?

 システム導入に詳しい人がいい、新規事業開発が得意な人がいいなど、将来のビジョンを出発点として考えると、具体的な理想のチーム像が見えてくるかと思います。

 目指すべきは、優れたスポーツチームのマネージャーです。世界の舞台で活躍するトップチームは、つねに最高の選手をスカウトし、素晴らしいメンバーをそろえています。そしてチームにマッチしない選手や、パフォーマンスが低い選手は否応なしに外します。

 自分のチームを眺めた時、強化すべきはどのポジションでしょうか。プロジェクトの初期に活躍していたメンバーが、今後も期待できるかを考える必要もあります。また、やたらに人数を増やしたところで、作業量や質が高まるとは限りません。人数は少なくても、ハイパフォーマーがそろっていた方が良い場合もあります。

 ぜひスポーツチームのマネージャーになったつもりで、チーム作りについて考えてみてください。

▼ポイント▼
・つねに未来に目を向けて理想のチームをイメージする。

⑥マッチする人材だけを配置する

 NETFLIXの元人事最高責任者である著者が、いつもマネージャーたちに言っていたことがあります。それは「優れたチームを作るのが、マネージャーの一番大事な仕事」ということです。

 優れたチームを作るのには、適切な人材をチームに引き入れ、最適なマッチングを実現させることが重要です。あるプロジェクトチームのA級プレーヤーは、別のチームではB級かもしれません。

 先述の通り、優秀な人材とはいわゆるエリート社員ではありません。胸を躍らせながら問題に取り組むような人のことです。自分のチームが取り組んでいる課題に対して、目を輝かせているのは誰かを見極め、適任者を採用をすることがマネージャーの仕事なのです。

 これは単にチーム作りに限らず、企業が新卒採用者や中途採用者を選ぶときも同じです。履歴書に書かれている表面的な情報に惑わされず、求めている人材としっかりマッチする人だけを採用することが、ハイパフォーマンス文化を築くための第一歩になります。

 会社につなぎとめている従業員のうち、本当に必要なスキルと経験を備えた人材はどれほどいるでしょうか?

▼ポイント▼
・マッチングの良し悪しで、人はA級プレイヤーにも、B級プレイヤーにもなる。

おわりに

 これまで当たり前だと思っていたことを少し変えるだけで、パフォーマンスの質は変わります。常識を捨てたことで、NETFLIXは進歩し、大きく成長しました。

 本書には、ここでご紹介した以外にも、人事評価制度の廃止や、従来の有給制度を取り止めて自由に有給を取らせる仕組みなど、目を見張るような人事論が語られています。常識にとらわれない新しい企業文化づくりに興味のある方は、ぜひ手に取って一読してみてください。

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