こんにちは。ノイエです。今回ご紹介させていただくのは、家入一真さんの著書、『なめらかなお金がめぐる社会。 あるいは、なぜあなたは小さな経済圏で生きるべきなのか、ということ。』です。
最近、ミニマリズムという言葉が流行しています。ミニマリズムとは「必要最低限のもの以外は持たず、モノに対する執着から距離を置くことで自分にとって本当に大事なものを浮かび上がらせる生き方」のこと。
もともと、戦後の日本には「大きいことはいいことだ」というイデオロギーがありました。「豊かさ」を目指して、人々がとにかく走り続ける高度成長期の日本では、「大きな会社に入りたい」「大きな家がほしい」のように、大きなものを手に入れることが幸せとされ、それがモチベーションになっていたのです。
しかしバブルは弾け、今あたりを見渡してみると…少子高齢化、労働人口の減少、地方の過疎化、慢性的な財政赤字、震災からの復興、心の問題、ブラック企業…等々、問題は山積みです。
かつては当たり前だった「大企業に入れば安泰」「頑張って働けば給料が上がる」といった神話は崩壊し、貧富の格差はますます拡大しています。ミニマリズムの流行も、こうした背景から来ているのかもしれません。
今の時代の「幸せ」とは、一体何なのでしょうか。
「大」から「小」の時代へ
家入さんは「幸せ」について、次のように述べています。
幸せとは何かと考えたら、「自分のやりたいことができる」ということなんじゃないか、と思う。だとすれば「いい社会」とは「各自が自由に、自分の幸せを追求できる社会」ということになる。つまり、経済的というよりも、精神的に持続可能な社会だ。
そしてクラウドファンディングサービスの「CAMPFIRE」によって、「各自が自由に、自分の幸せを追求できる社会」を実現しようとしています。
クラウドファンディングとは、「こんなモノやサービスを作りたい」「世の中の問題を、こんなふうに解決したい」といったアイデアやプロジェクトを持つ起案者が、インターネット上で世の中に呼びかけ、共感した人から広く資金を集める方法。新たな資金調達方法として、世界中で注目されています。(参照:https://a-port.asahi.com/guide/)
つまり、「自分のやりたいこと」に共感してくれる個人から、直接お金を集めることができる仕組みです。
かつて、モノやサービスをつくるプロジェクトは、いわゆる「大きなもの」(大企業、行政など)がやることでした。従来のお金の流れ方には、必ず真ん中に銀行や大企業、行政などが必要とされていたのです。
しかし、今は違います。
それを取っ払って、個人同士のお金のやり取りを活発化したい。それがクラウドファンディングの基本スタンスだ。
家入さんのいう「小さな経済圏」とは、ズバリ、個人同士のお金のやりとりがなされる場のことであり、「個人を中心とした経済圏」のことなのです。
自分のデザインしたTシャツを作りたいと思えば、CAMPFIREで資金を集めて、できたTシャツを販売することができます。
「小さな経済圏」が広まれば、「自分のやりたいこと」を形にしやすくなり、「各自が自由に、自分の幸せを追求できる社会」に近づきます。
CAMPFIRE社は、次のようなミッションを掲げています。
「資金調達を民主化し、世の中のだれしもが声をあげられる世の中をつくる」ということ。有名な人でも、無名な人でも、金額が大きくても小さくても、等しく「挑戦」という名の小さな火を灯そうとする行為だ。
「だから僕は選択肢を増やしたい」
なぜわたし達は「大きなもの」に憧れたり、ときにそれがないと生きていけないと思い込んだりしてしまうのでしょうか。家入さんは、
それは、富や権力が自己実現の可能性を広げる唯一の選択肢だと思ってしまう状況があるからだ。だから、僕は選択肢を増やしたい。
と述べています。
わたしはこの言葉に非常に共感します。なぜなら、わたし達が人生に不安を感じ、本当の意味での幸せを感じられていないのは、「(自分の幸せのためには)これしかない」という思い込みのせいのような気がするからです。
学校なり会社なり家庭なりがその人の世界のすべてになってしまって「ここからこぼれたら自分はもう生きていけない」と思っている人も多い。でも、実はそこから一歩外に出てみると世界は広いということに気づけたりするんですけど、その一歩がなかなか踏み出せない。
これからの時代は、大きなものや既存のものをよしとする風潮に縛られることなく、どんなにささやかでも、自分で何か行動を起こすことで、自分なりの幸せを見つけることが大切なのではないかと思いました。
この本は、既存の価値観という不自由さから解放されるきっかけを与えてくれる一冊です。