こんにちは。ノイエです。今回は、教会の牧師様であり、心理カウンセラーでもある後藤哲哉さんの著書、『世界に通用する「個性」の育て方 聖書に学ぶ「自己肯定感と自立心」を高める子育て』を読んでみました。
「聖書に学ぶ」という文言に興味が引かれたのがきっかけです。というのも、わたしはクリスチャンではないのですが、最近キリスト教に関心があり、旧約聖書や新約聖書、イエス・キリストの教えに関する入門的な書籍を多く読んでいるからです。
またわたし自身が5歳の娘と2歳の息子を育児中ということもあるため、キリスト教の観点から、子育てのヒントを得たいとも思いました。
欧米の子育ての根底には「聖書の教え」が流れており、「生まれてきた子供はすでに一人の人格であり、自分の所有物ではない」と考えられているそうです。そのため「子どもを自立させる」ことがゴールとなり、親が「こうなって欲しい」という願望を子どもに押し付けることはありません。
後藤さんは、聖書というのは「人間を取り扱う説明書」であり、「2000年にわたり受け継がれてきた子育て本」でもあると表現しています。
とすれば、本書には子育てに関する画期的なヒントがたくさん載っているはず。そう思って読んでみたところ、目から鱗の発見がたくさんありました。
この本では「夫婦が親密であること」が子どもにとって最重要であると語られています。わたしにとってこれは盲点でした。というのも、夫婦にとって一番重要なのは子育てであり、仲の良さは二の次でよいといつの間にか思い込んでいたからです。
この記事では、自戒もこめて、夫婦関係を良好に保つことが、いかに子育てをする上で重要かについてご紹介します。
人間関係の最上位は「夫婦関係」
わたしはこれまで、夫婦の最大の任務は子育てだと思っていました。しかし後藤さんはそれを否定し、「互いを愛し、互いにいたわり合うことが夫婦における最大の目的」であると説いています。
結婚式の中で最も大事なプログラムは、神の前での誓約であり、その内容は、「親から離れ、夫は妻を、妻は夫を、地上における人間関係の最上位に位置づけます」というものだそうです。「あなたは健やかなるときも、病めるときも、この妻を愛し〜」という有名なフレーズですね。これこそがキリスト教の結婚式なのです。
そのため欧米では、夫はどんなときにも妻の味方になるべきだと考えられています。日本では第一に子ども、第二に親、最後に夫婦という場合が多いかもしれませんが、キリスト教では第一に夫婦関係、第二に親(父母を敬う教えがあるので、結婚するまでは親が第一)、その次に自分の子どもという優先順位なのです。
なぜ夫婦関係を第一に考えるべきなのかというと、夫婦の幸せなくして、子どもの幸せはないからです。
後藤さんは、「夫婦が仲良くて、互いに信頼している絆があれば、他に何がなくても子どもはまっすぐに育つ」と述べています。
欧米では、夫婦が親密であればあるほど、子育てに向かう力を養うことができると考えられているのです。
夫婦の会話の量と子どもは幸せは比例する
楽しく笑っている人を見ると気分が良くなり、疲れた人とずっと接していたら自分も疲れてしまうように、感情というのは連鎖するものです。
そのため子どもの性格や表情を明るいものにしたけば、困難な出来事が起こっても、親が安定的な感情で対処するということが大切だといいます。
明るく楽しい家庭を求めるなら、お母さん、お父さんが積極的に笑ったり、冗談を言ったりすべきなのです。
また子どもの心に寄り添うために、夫婦の会話を増やすことも重要だそうです。
後藤さんは、夫婦の話し合いの量に比例して、子どもは幸せになっていくと説き、次のような公式が成り立つといいます。
「夫婦の話し合いの量」=「子どものために考える時間」=「子どもへの愛」
人と人との関係は、全員が同じ考え方ではないので、少なからず摩擦が生じるものです。そこを埋めるためには、やはり「相手の意見を尊重した話し合い」が一番。
意見は違っていたとしても、話し合いの時間をたっぷり持つことで、信頼感と満足感が高まっていきます。また本音で意見を交換し合うことで、「受け止めてもらえた」という安心感から、欲求不満が解消され、気持ちも安定します。
それは親の精神的な余裕にも繋がるため、子ども対して感情的になってしまう機会が減り、笑顔で受け止められるようになっていきます。
これは何よりも大切な子どもへギフトだと思います。
自分が満たされなければ
他者を顧みることはできない
心理学に「自分が満たされなければ、他者を顧みることはできない」という考え方があります。
自分が満たされていないのに、子ども最優先で世話をし続けていると、いつしかガソリンが切れて、動けなくなってしまいます。
そのため、時には子どもを預けて、夫婦だけのかけがえのない時間を作り出すことが大切だといいます。
日本では、「子どもを預けて夫婦で出かけるなんてありえない」「子どもが可哀想」のように否定的に考える人が多いかもしれませんが、欧米では「子どもの幸せ」よりも「夫婦の幸せ」のほうが大切だと考えられているため、夫婦の時間を必死に守るそうです。
有料で子どもを見てくれる機関や人に預けるのは日常のことなので、ベビーシッターを頻繁に利用して、定期的に夫婦で食事などのデートをしているのです。
子どもを預けて夫婦だけの時間を楽しもうという姿勢に対し、「親として無責任だ」と考える人もいるでしょう。
しかし「子どもに一瞬でも、寂しい思いをさせないこと」が責任を果たすということではないと後藤さんは指摘します。大切なのは「子どもを自立させる」という責任を果たすことであり、そのためには夫婦だけの時間を確保することが必要なのです。
そのため「私たち夫婦だけで楽しむ時間がないと、子どもにも迷惑をかける」くらいに思っていいと後藤さんは説いています。
わたし自身、育児中なので、子育てがいかに神経をすり減らし、体力を消耗し、ときにストレスが溜まるものであるかよくわかります。
それに立ち向かうためには、懐の広さ(余裕)と意志力が必要で、そのためには何よりも「夫婦でかけがえのない時間を過ごす」ことが大切なのだと学びました。
子どもを預けることがいいとか悪いとか、欧米と日本の文化の違いという話ではなく、「子育ては子どもを自立させることがゴール」「夫婦が本当に満たされて、初めて子どもも満たされる」といった本質を守るために、「子どもを放って自分だけが楽しんではいけない」という自戒の念は捨て去ろうと思います。
子どもを預けてデートに行こう
日常に追われて心に余裕をなくすと、ついつい本質を見失ってしまいます。
わたしの場合、家事や育児に忙殺されて、夫婦関係の大切さを全然気づかずに過ごしていました。この本を読んで、夫婦で話し合うことの大切さを改めて認識しました。
心のガソリンが切れて、子どもを怒るばかりの毎日になってしまう前に、子どもを預けて、あえて夫と二人きりの時間を持ってみよう。そのために少しづつ日々のルーティンを変化させたり、行動や考え方を変えたりしてみよう。
そんな気持ちになれた一冊でした。