こんにちは。ノイエです。
先日、たまたまイケダハヤトさんがYoutubeにアップしている「ブログがオワコンである5つの理由」という動画を視聴しました。この動画で、イケハヤさんは「これからは動画の時代」と言い切っています。
わたしの中で動画への関心が一気に高まっていたところ、明石ガクトさんの『動画2.0 VISUAL STORYTELLING』という本を知りました。
なぜ「これからは動画の時代」と言えるのか、本書を読むと納得することができます。
押さえておくべきポイントは、以下の2点です。
- スマホによって、動画の視聴方式が「1人視聴」に移って来ているものの、それに対応する動画コンテンツがまだまだ少ない。
- 2020年以降、5Gと8Kが実用化され、高速回線でリッチな動画コンテンツが見られるようになると、動かないコンテンツでは物足りなくなっていく。
今回は、Chapter2の「五年後の世界」に焦点を当てて、これら2つのポイントについてご紹介したいと思います。
大勢で観るスクリーンから
1人で観るビデオへ
明石さんは、現代の動画ビジネスは「エジソン的回帰時代」であるといいます。どういうことでしょうか。
端的にいうと、現代は「大勢で観るスクリーンから、一人ひとりで観るビデオへ」と視聴方式が変化しており、そのことをエジソンが発明した「キネトスコープ」という視聴方式の時代に回帰していると表現しているのです。
エジソンといえば誰もが知る発明家ですが、彼の発明の中に、動画に関係するものが含まれていることは意外と知られていないかもしれません。1891年に発明された「キネトスコープ」は、映画を見るための一つの方式で、小さいスクリーンを箱に組み込み、一人で映像を覗く視聴するものでした。
一方、わたし達が現在「映画」と聞いて想像するのは、大きい部屋に、大きいスクリーンを置いて、大勢で視聴するスタイルですよね。これはリュミエール兄弟によって発明された「シネマトグラフ」という方式であり、エジソンの「キネトスコープ」に影響を受けて発明されたと言われています。
ここで注目すべきは、「キネトスコープ」の箱を覗き込む方式は、わたし達がスマートフォンを覗き込む視聴体験と共通する部分があるということです。
スマートフォンと自分の顔の位置は、テレビのそれと比べるとものすごく近く、明石さんは「スクリーンと自分との距離の近さ、それがもたらす没入感こそがキネトスコープ的体験そのもの」であると説きます。近年話題になっているVRデバイスは、さらにキネトスコープ的な視聴体験が得られるものです。
これらの視聴方式の違いは、制作されるコンテンツにも影響を与えます。シネマトグラフは「大勢で観る」という指向性を、キネトスコープは「一人で観る」という指向性をコンテンツに与えます。
たとえば、サッカーのワールドカップやオリンピックなど大勢で観るコンテンツは、これまでと同様にシネマトグラフ的な環境で楽しむ方向に進化していくでしょう。
一方、「一人で観る」コンテンツは、「みんな」で観るためのものではなく「あなた」のためのものです。1人で見て自己完結して楽しむという制約はあるものの、その分、視聴者とコンテンツの体験の結びつきが強くなります。
エジソン的回帰時代においては、この「あなた」のためのコンテンツの需要が高まっていきます。明石さんは「これはマスというものがなくなりかけている現代社会にもリンクしている」と指摘し、「そんな思想で作られた動画コンテンツが現状アダルトビデオくらいしかないことは大チャンスだ」と述べています。
なぜなら、動画コンテンツを視聴する環境にエジソン的回帰が進めば進むほど、新世代のコンテンツクリエイターにとってのブルーオーシャンが広がっていくからです。
確かに、「みんな」向けではなく「あなた」向けにカスタマイズされたコンテンツというと、わたしの場合、Youtuberくらいしか頭に浮かびません。
テレビや映画などの「みんな」向けのコンテンツが飽和状態である一方、「あなた」のためのコンテンツはまだまだブルーオーシャンなので、これから新しいものがどんどん作られていくのでしょう。
5G・8K時代、動かないコンテンツでは
物足りくなる
さて、「これからは動画の時代」と言える理由について、もう一つ押さえておくべきなのが5Gと8Kについてです。
5G
5Gとは、次世代高速回線のこと。現在はご存知のように4Gですね。5Gはフルハイビジョンの映画をおよそ1.5秒でダウンロ―ドできるスピードで、落合陽一さん曰く、「人間の出入力感覚では遅れを体感しないレベル」だそうです。
YoutubeやNetflixがPCを中心に成長してきたのは、映像ファイルという大きなデータを扱うのに、モバイル環境では不十分だったからです。つまり映像や動画を扱うリッチなインターネットメディアはまだまだ本気を出せておらず、5Gが実現することで、そのあり方に大きく変化を及ぼすことになるのです。
ここに8Kが掛け合わされると、そのインパクトはさらにすごいことになります。
8K
8Kとは画面の解像度を示す用語であり、理論上、人間が見ることのできる限界と同じ解像度だといいます。つまり、「8Kは自分の目で見る現実と変わらないくらいキレイ」ということです。
明石さんは「最初に8Kの映像を再生可能なデバイスを手にするのはスマートフォンになるだろう」と述べています。4Kテレビを持っている人が少ない一方、4Kスマホを持っている人がどんどん増えている現状を考えれば、この結果になることは想像に難くありません。
8Kの映像を、5Gの回線速度で遅延なくダウンロードして視聴できるようになれば、恐ろしく綺麗なコンテンツを手のひらで即座に楽しめるようになります。
こうなると、現在、写真やイラストなどの静止画が入っているところは「動かないと物足りなくなる」ようになり、「コンテンツやメディアは可能な限りどんどんリッチにならざるを得ない」と明石さんは説きます。
だからこそ「これからは動画の時代」で言えるのです。
2020年の東京オリンピックに向けて、通信環境もデジタルサイネージ(電子看板)も設備投資がどんどん進んでいき、わずか数年後には、こうした未来が現実のものとなると考えられます。
他のメディアと比べてリッチな視聴体験ができることがテレビの優位性の一つだったわけですが、8Kのコンテンツを自分のスマホで観られるようになったとき、両者の関係はどのように変わっていくのでしょうか。
5G・8Kがわたし達の生活に与える衝撃は、今想像している以上に大きいものになるかもしれません。
まとめ
本書を読むと、スマホやVRデバイスで視聴する動画コンテンツは、まだまだポテンシャルを秘めていることがよくわかります。明石さんの言う通り、ブルーオーシャンが広がっているのでしょう。
2020年以降、5Gと8Kが普及した時代に向けて、今どんな動画コンテンツを制作するべきなのか。この記事を読んで、これからの動画の新時代にワクワクした方は、どうぞこの本を手に取ってみてください。