ファイナンスの基礎知識を女子高生社長による出版社再建ストーリーで学ぶ

ファイナンスの基礎知識を女子高生社長による出版社再建ストーリーで学ぶ




まるこ
新社会人の方や、経理部に配属されて数年の方、会社のお金関係に強くなりたいと思っている方におすすめの一冊です!

 こんにちは、まるこです。普段は会社員で、海外子会社の財務諸表分析や、新しい国への進出に伴う情報収集などを本業にしています。

 特に経営学や会計学などを専攻していたわけではないので、仕事内容の割には数字が苦手です…そんな私が本日紹介したいのが、『女子高生社長、ファイナンスを学ぶ がけっぷち経営奮闘記』という本です。

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まずは、クイズで肩慣らし

 突然ですが、問題です。財務諸表は3つの表で構成されていますが、その3つとは何でしょうか?

 正解は、

  • B/S(Balance Sheet:貸借対照表)
  • P/L(Profit and Loss Statement:損益計算書)
  • C/F(Cash Flow Statement:キャッシュフロー計算書)

 ですね。

 簡単すぎましたか?

 では、第2問。

 あなたは「ファイナンス(財務)」と「アカウンティング(会計)」の違い、分かりますか?

 正解は、

  • ファイナンスは「未来」、すなわち企業が将来生み出すキャッシュフローを扱うのに対し、
  • アカウンティングは「過去」の数字を表している。

 実は私、この質問については、お恥ずかしながらこの本を読むまで自信を持って答えることができませんでした…。(まだまだ、勉強の余地があるということですネ)

 前置きが長くなってしまいました。今回ご紹介する『女子高生社長、ファイナンスを学ぶ がけっぷち経営奮闘記』は、タイトルにある通り、会社の「未来」を扱うファイナンスに焦点が当てられています。

 物語の主人公は、高校生の美鈴。小さな出版社、森下書房の社長を務めていた父が突然亡くなり、会社を継ぐことになった美鈴は、会社の存続の危機に直面します。

 苦しい資金繰り、不況にあえぐ出版業界、返品の山…このような事態に、財務経理担当で、亡き父と同級生でもある御園(みその、あだ名はミソじい)や、喫茶店オーナーでありながらファイナンスに異常に詳しい石島の力を借りて、解決していくという物語です。
 
 とても軽快なテンポで進む物語。読み進めていくうちに、森下書房を救うために美鈴と一緒に問題解決をしているような気持ちになれてしまう本書は、今までファイナンスに触れたことのなかった方でも、楽しみながら財務の基礎を学ぶことができます。

 面白すぎて、私はわずか1時間38分で読み終えてしまいました。

本書から学べること

 もちろん、本書はただストーリーが面白いだけではありません。至る所に、ファイナンスの知識が散りばめられています。その一部をご紹介しましょう。

  • お金の時間価値
  • 企業価値の算出方法
  • 投資判断の方法

 など、こうして羅列してみると、とても難しそうですね…私も、見ただけでアレルギー反応を起こしそうです…。でも、安心してください。本書では美鈴と仲間たちが優しく丁寧に教えてくれます。



お金の時間価値

 ひとつ、「お金の時間価値」について取り上げてみましょう。お金には、「将来価値」と「現在価値」があります。

 またまた突然ですが、ここで第3問。

 あなたの目の前に、100万円をくれるという大富豪が現れました。受け取る日は「今日」か「1年後」のいずれか。あなたは、どちらを選びますか? 今日受け取る100万円と、1年後に受け取る100万円、どちらの方が価値が高いのでしょうか?

 正解は、今日の100万円。なぜなら、今日100万円を受け取って銀行に預けた場合、その分だけ利息が入り、価値が上がるからです。

 一方、1年後に受け取る100万円は、現在価値に直すと100万円の価値がないことが分かります。

 詳しく見てみましょう。例えば、銀行に1年間お金を預けた場合の利息が3%だとします。

 今日100万円を受け取ると、1年後は103万円になりますね。この103万円が「将来価値」と呼ばれるものです。

  • 「将来価値」 100万円×(1+3%)=103万円

 逆に、1年後に100万円を受け取りたい場合は、今いくら銀行に預けたら良いでしょう?

  • 「現在価値」 100万円÷(1+3%)=97.08万円

 なんと、1年後に受け取る100万円は、「現在価値」に直すと97.08万円という結果になります。(この現在価値に直す過程は、「1年後のキャッシュを割引率3%で現在価値に割り引く」と表現され、このときに使われる利率のことを「割引率」と言います)

 つまり、大富豪から100万円をもらう時期を1年後にした場合、「あなたは今、100万円か97.08万円のどちらが欲しい?」と聞かれているのと同じことになるのです。

 すでにお分かりの通り、お金の価値は受け取る時期で変わるのです。私の会社でも、経理部が「支払いはなるべく遅らせてもらう。お客さんからの入金はなるべく早くしてもらう」と口酸っぱく言っているのは、こういう理由だったんだなぁ、と納得。

 もちろんファイナンスの知識は、会社だけではなく日常生活にも役立ちます。例えば日常のお買い物。「お金の時間価値」で考えるならば、現金払いよりも、支払いを遅らせることのできるカード払いの方がいいですよね。(もちろん、手数料の発生するリボ払いや分割払いを使わない場合に限り、ですが)

誰にでも役立つファイナンスの知識

 いかがでしたか。「お金の時間価値」について、理解していただけたでしょうか?

 他にも沢山のファイナンスに関する知識が散りばめられている本書は、

  • この春から新しく社会人になった方
  • 「会社のお金周りのことはどうも苦手なんだよなぁ〜」という中堅社会人
  • 家計改善に取り組みたい主婦の方

 など、どなたが読んでも学びのある一冊です。あなたも、美鈴と一緒に森下書房を救ってファイナンスの知識を身につけましょう!

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