『集中力はいらない』注意散漫でミスが多い人にこそ知ってほしい思考のススメ

『集中力はいらない』注意散漫でミスが多い人にこそ知ってほしい思考のススメ


 突然だが。みなさんは集中力がある方だろうか…?

 聞いておいてなんだが、私は最近まで自分に集中力があるともないとも考えたことすらなかった。しかしごく最近、気づいてしまった。自分は集中力が皆無な人間だったんだと。

 気づいたきっかけは、頻発するミスの原因分析と対策立案について、上司から仰せつかったときであった。ミスを集め、エクセルに入力する。そこまではよかった。でも、そこからが…。原因を分類したり、深堀したり、再発防止の手段を考えたり。やらないといけないのに、気づけばぼうっと別のことを考えてしまう、そんな状況に陥っていた。締切のことばかり頭に浮かび気は急くのに、全然進まない。なんて集中力のない人間なんだと、愕然とした。

 集中力って何だろう。どうやったら身につくんだろう。そんなことを考えていたところに、真反対のタイトルが目に飛び込んできた。『集中力はいらない』という本だ。

 集中力がいらないってどういうこと?! しかもそう言うのは、多作な作家の森博嗣さん。本一冊を書くのには相当な集中力が必要なはずなのに、なぜそんなことを言うのか…?

 半信半疑で手に取ったが、目から鱗。読み切ったときには「確かに、集中力はいらない!」という考えに変わっていた。

 今回は本書のエッセンスを、

  1. 「集中力」とは何か?
  2. 「集中力」より大切な「発想」
  3. 発想を生み出す「分散思考」

 の3つにまとめて紹介する。

①「集中力」とは「機械力」である

 集中力とは、「機械力」。本編にすら入っていない、まえがきでの一言だ。

 欲しい欲しいと追い求めている集中力って、機械になること…? ガツン、と一発喰らったような衝撃だった。

 でもなぜ、集中力が機械力といえるのか。著者は、巷で「集中力が必要だ!」と声高に叫ばれている根底には、「ミス」の存在があると指摘している。「ミスするのは注意散漫だから。じゃあミスをなくすためには集中しなければ」という論理だ。

 しかし人間は必ずミスを犯すもので、一方の機械はミスと無縁である。なので「ミスをしない人間」というのは、「機械のような人間」ということになる。集中力の正体とは、「機械のように働く力」のことなのだ。

 日常を振り返ってみても、例えばキャベツを千切りしているとき、ふと仕事のことが頭に浮かび、手元がおろそかになる。目で手元は見てはいるが、心ここにあらず。結果、指を切ってしまったり(…不器用だから、というのは置いておいて)。例えば、エクセルにデータを入力しているとき。お昼はなに食べようかな、なんて考えていたら一行ずれていたり。

 文字にするとトホホなことばかりだが、きっと私がするよりも、スライサーや自動入力のアプリにお願いした方が、よほど正確にやってくれるだろう。ミスしないように集中して取り組むということは、機械へ一歩近づくことなのかもしれない。

 悔しいというか、悲しいというか。そんな気持ちが湧き上がってくるのは、私だけだろうか。集中とは機械のようになること。しかしこれは、裏を返せば「集中しない」ことは、機械にはできないということだ。そして著者は「集中しないことで、機械にはできない人間本来の能力を発揮する」ことができると言う。これが「集中力はいらない」の本意である。

 つまり「集中力が必要なもの」は機械に任せ、人間は人間本来の能力を発揮することに注力すればいいということだ。

 では、人間本来の能力とはいったいなんだろうか?



②「集中力」より大切な「発想」

 機械にはできない人間本来の能力、それは「発想」だという。著者は研究者としての半生を振り返りながら、発想について語っている。

 研究者というのは、問いのないところに問いを見つけ、その答えを探すのが仕事なのだそうだ。毎日問題について悶々と考えに考える。その没頭のなかで、ふと「変なこと」を思いつく。その思いつきが鍵となり、解決に向かって突き進む。著者は若い頃、そういう日々を過ごしたのだそうだ。

 ではその思いつき、つまり発想の芽生えは、神のみぞ知る、降りてくるのを待つしかないものなのだろうか。否、である。著者は発想が生まれやすい瞬間を突き止めている。

 その瞬間には2つの要素が必要らしい。一つは「事前にその問題だけを考えていた期間がある」こと。ただし「その問題だけ」といっても文字通りではない。その問題をもとに、「きょろきょろ辺りを見回」すことも含まれるのだそうだ。ほかになにか使えるものは? 同じようなものはないのか? など、あちこちに思考の触手を伸ばす。

 そんな思考を続けたあと、「何も考えない状況に飛び込む」。これがもう一つの要素だ。突然なにも考えない状況に放り出されたとき、発想は生まれやすいらしい。

 発想とはどうやら、脳内に点在する考えを結びつけ、問題の答えにたどり着くきっかけになるもののようだ。この、ある種アクロバティックな思考は、確かに人間にしかできないものだろう。

 問題の一面だけにこだわらず、ああでもない、こうでもないと、視野を広くもってたくさんの可能性を検討するから、発想が生まれやすい。

③発想を生み出す「分散思考」

 「きょろきょろ辺りを見回す思考」のことを、「分散思考」あるいは「発散思考」と著者は呼んでいる。

 著者のイメージでは、頭の中に複数の人間がいて、彼らがてんでバラバラのことをしているような感じらしい。そんな分散思考をするには、「天邪鬼な頭」が必要なのだそうだ。

 天邪鬼。好きなものをわざと嫌いと言い張ったり、空が青いと誰かが言えば、いやいや紫だ! なんていう…そんなイメージ。素直じゃない。ひねくれてる。面倒くさい。

 しかし分散思考には、そのひねくれ者の視点が重要だという。一方向からの見方にこだわらず、反論してみたり疑ってみたり。「沢山の視点を持っていること、その視点を次々と切り替えられること」が大切なのだ。また「まだ見ぬ領域へ常に目を向け、チャレンジすること」も同様に大切だという。

 要するに、一つの考えに凝り固まらず、アレコレつまみ食いしながら柔軟に可能性を検討する力ということだろう。

 今の世の中、必要なのは集中力よりもむしろ、自ら問いに気づき、分散思考によって新たな発想に至る力ではないだろうか。

 自分の身に置き換えても、冒頭で触れたミス分析の中で手が止まったところは、どうしてそこを間違ったのか? 次にそのミスを起こさないようにするには? など、次元は違うにせよ、考えることが必要な場面だったように思う。

 「集中力」が気になっているみなさん、もしかしたら、必要なのは集中力ではないかもしれない。

執筆者プロフィール

上 峰子
29歳、ライター志望。
読んだり書いたり呑んだりな日々をおくってます。

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