「ブルー・オーシャン・シフト」を成功させる3つの鍵〜「人間らしさ」を取り入れた戦略とは?

「ブルー・オーシャン・シフト」を成功させる3つの鍵〜「人間らしさ」を取り入れた戦略とは?


 会社員の方なら一度は経験したことがあるであろう「新規事業募集」の企画。みなさんの会社でも、上司や役員から新規事業の提案を求められたことがあると思います。

 でも、「事業を創るといたって、どうすれば独創的なアイデアが出てくるんだ…」というのが本音ではないでしょうか?

 そこで今回ご紹介したいのが、『ブルー・オーシャン・シフト』です。

 ブルー・オーシャン戦略は、大学生の時に経営学の授業で学んだ戦略論の一つ。競合ひしめく血の海(レッド・オーシャン)で戦い続けるのではなく、誰もいない未開の海であるブルー・オーシャンを切り開くことの重要性を説いたものです。

 ただ、正直なところ「理論的にはもっともだけど、実行するのはちょっと難しいのでは?」と思っていました。

 そんな声を汲み取ってか、新作の本書では、レッドオーシャンからブルー・オーシャンへ移行(シフト)するためのプロセスやステップについて、極めて具体的かつ実践的な内容が記されています。

 著者のW・チャン・キム氏とレネ・モボルニュ氏らが、10年以上にわたって新たに研究と分析を行った末にたどり着いた、「ブルー・オーシャン・シフトを成功させるカギ」とは何なのか。

 今回は「ブルー・オーシャン・シフトを成功に導く3つのカギ」についてご紹介します。



ブルー・オーシャン・シフトを成功に導く
3つのカギ

 著者が挙げている3つのカギとは、以下のものです。

  1. ブルー・オーシャンの視点を取り入れて視野を広げ、事業機会の所在についての考え方を改める。
  2. 市場創造のための実用的なツールやブルー・オーシャンの視点を具体化するための指針を持つ。
  3. 人間中心のプロセスを持つ、いわば「人間らしさ」をプロセスに組み込む。

 第一のカギは、現在の市場での競争だけに焦点を当てるのではなく、ブルー・オーシャンの視点を持つことで、従来にない核心的なやり方で事業機会やリスクを眺め、新たな可能性を見出そうというもの。

 第二のカギは、実際にブルー・オーシャンを見つけたり、開拓したりするために、市場創造のための実用的なツールや適切な指針を持とうということです。本書ではたくさんの市場創造ツールがテンプレートとともに用意されています。

 そして第三のカギ、「人間らしさ」をプロセスに組み込むというのは、本書の肝とも言える極めて重要なポイントです。

 というのも、たいていの人は「ブルー・オーシャン・シフト」のような大きな変化を伴う、遠大な目標を掲げられたとき、「自分達にそんなことを実現する力があるのだろうか」「そもそもブルー・オーシャンなどあるのか」と、不安や猜疑心を抱いてしまうものであり、こうした「人間らしい」自然な反応への対応がなされていなければ、プロジェクトは失敗に終わってしまうケースが多いからです。

 「人間らしさ」をプロセスに組み込むというのは、ブルー・オーシャン・シフトを単なる机上の空論で終わらせず、現実的に実行していく上でなくてはならない視点です。

 そのため、ブルー・オーシャン・シフトのプロセスには、各ステップにおいて人々の不安を和らげ、自信を培うことができるように、「人間らしさ」のさまざまな側面に対応した要素が組み込まれています。

 それは、「細分化」「実体験に基づく発見」「公正さ」の3つです。

 以下、簡単にご紹介しましょう。

人間らしいプロセス作りに必要な3つの要素

①細分化

 一つ目は、課題を細分化し、対処しやすいように小分けにすることです。

 ブルー・オーシャン・シフトは、市場へのアプローチの大胆な変更を意味するため、上述の通りメンバーは不安にになったり、自分達にそんなことできるのかと自信を持てなくなったりしやすいです。そこで目標を細分化することで、あえて大きな目標と受け取られないよう配慮するのです。

 取り組み全体を小さな具体的ステップに分けて、少しずつ前進しながら自信を引き出していくようにすれば、不安が和らぎ、どのステップでも途中で挫折してしまうことがなくなります。それでいて、これら小さなステップを積み重ねていくことで、ブルー・オーシャン・シフトが実現するのです。

②実体験に基づく発見

 2つ目は、そもそもの変革の必要性や戦略の立案について、誰かから結論を示されるのではなく、チームメンバー自身が、自らの実体験から悟るような状況を生み出すというものです。

 具体的には、オフィスから飛び出して現場へ向かい、顧客だけでなく非顧客とも言葉を交わし、購入者の立場になって製品やサービスと関わり、顧客が常々経験している苦労や不便さを自ら体験するなど、要するに、理屈ではなく直感に基づく知見を集めるというプロセスです。

 この過程で、メンバーはそれまで見えなかったものが視野に入り、変革の必要性を確信するとともに、それを実現するための戦略にも目が向くようになります。そして「分からない、知らない」といった脆弱な意識から、「分かっている」という静かな自信に変わっていきます。

 また、あらかじめ結論が決まっているわけではないため、誰かから強制されたり、メンバーが「操られている」という印象を抱くこともありません。

③公正なプロセス

 最後は、リーダーがチームメンバーに対して公正なプロセスを用いるということです。

 具体的には「関与」「説明」「明快な期待内容」という3つの原則に凝縮されます。

 要約すると、戦略的判断をするにあたって、みんなに意見を求めたり、互いの考えに疑問を投げかけることを認めたりすることで、メンバー同士が「関与」し合う状況を生み出し、戦略的判断の基本をなす考え方をメンバーにきちんと「説明」して理解を得たり、各ステップにおいて何を「期待」できるのか、役割と責任は何かをはっきり説明したりするということです。

 こうした「公正なプロセス」によって、メンバーのことを個人としてどれだけ尊重しているかを伝えることができれば、みんな安心して心の底から全力を尽くそうと思ってくれると言います。

 以上、3つの要素は、それぞれ「人間らしさ」の別々の側面に対応しており、全体を通してブルー・オーシャン・シフトを実現するための自信を生み出してくれます。

ブルー・オーシャン・シフトを実践しよう

 ここまで見てきたように、「人間らしさ」がプロセスに組み込まれていると、チームの意識が変わり、変革に適した感情を生み出すことができます。

 「戦略を実行しよう」という意欲が内面から湧いてくると、みんなが自発的に戦略を支持、遂行していくため、ブルー・オーシャン・シフトを実現できるというわけです。

 本書では、ブルー・オーシャン・シフトを成功させるための方法論や手順について事細かに記されており、(今回はご紹介できませんでしたが)市場創造のためのツールも多数紹介されています。

 ブルー・オーシャン・シフトを実現するプロセスには、どんなステップがあり、各ステップでは何をすれば良いのか? そこで注意すべきことは何で、事前に対策しておくべきことは何なのか? など、すべて具体的な事例とともに示されていて、著者の「理論だけでは終わらせない!」という気持ちが伝わってきました。

 「ブルー・オーシャン」とは、誰も開拓したことがない未知の領域。だからこそ「自分なんかに見つけられるのか?」と疑問に思う人もいるでしょう。

 そんなあなたには、本書の冒頭に書かれていた次の言葉が響くはずです。

 「何事も成功するまで不可能に思えるものである」byネルソン・マンデラ (iiiより)

 現在の熾烈な競争から脱し、ブルー・オーシャンへの移行を遂げたい経営者や、誰も作ったことがないビジネスを創造することに興味がある人は、ぜひ読んでみてください。

執筆者プロフィール

オノデラ
「美女読書 編集室」第1期メンバー
テックメディアでインターン中/22/
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