こんにちは。仕事をしていて、集中力が続かないことに悩んでいる小野寺です。そのせいで、生産性が落ちている気もします…。
ビジネスパーソンの生産性の低下については、日本全体でも同じことが言えるようです。日本生産性本部の「労働生産性の国際比較2017年版」によると、2016年の日本の時間あたりの労働生産性は、46ドル(4,694円)とOECD加盟国中20/35位であり、1位のアイルランドの95.8ドル(9,773円)の半分以下。
つまり、アイルランドでは、日本の半分の労働時間だけで同じアウトプットを出しているということです。
「真面目に働いているのに、どうしてこんなことになるのだろう?」ーーこの疑問に対して「長時間働いて疲れているから成果がでないのだ」と主張するのが、Googleの元人事で、現在は人材育成や組織開発、リーダーシップ開発などに取り組んでいるピョートル・フェリークス・グジバチさん。その著書、『Google流 疲れない働き方』では、仕事のパフォーマンスを高めるために、自分のエネルギーをマネジメントするという考え方を教えてくれています。
自分のエネルギーをマネジメントする
自分のエネルギーとは以下の4つに分けられます。
- 体のエネルギー
- 感情のエネルギー
- 集中のエネルギー
- 生きることの意義からくるエネルギー
「体のエネルギー」とは、健康の土台となる毎日の食事や睡眠からくるエネルギーです。寝不足でうとうとしている時に、効率よく仕事を進めることなんてできませんよね。
「感情のエネルギー」は、パフォーマンスに影響を与える感情の変化についてです。疲れていると相手にイライラしてしまい、いつもと接し方が変わったり、人によっては攻撃的になったりしてしまうことがあると思います。
「集中のエネルギー」は、雑念を考えず、「今この瞬間」に意識を向けることによって生まれるエネルギーです。心理学者のミハイ・チクセントミハイ博士が提唱した「フロー」を意識的につくることで、疲れずに、短時間で、高いアウトプットが得られるようになります。(「フロー」については、ミハイ博士がTEDにて説明している動画あるのでぜひチェックしてみてください)
「生きることの意義からくるエネルギー」は、仕事と自分の価値観が合っていることからくるエネルギーです。好奇心旺盛な価値観を持つ人が、定型的な作業ばかりすると、価値観が満たされないために飽きてしまいますよね。仕事の自分の価値観軸を合わせることで、疲れない仕事をすることができるのです。
これら4つのエネルギーをマネジメントしてこそ、Googleのような高い生産性を発揮することができます。そのために、仕事で実践できるものを本書から紹介します。
「スプリント」でメリハリをつけた仕事を
Googleの仕事の仕方として有名なものに「スプリント」があります。「スプリント」とは、ずっと仕事を続けるのではなく、ある仕事について集中する時間を決めて作業を行い、そのあとはしっかり休息をとるという、メリハリのある働き方のことです。
日本のビジネスパーソンは、平日は同じようなペースで働いて、週末に休み、翌週もまた同じように働く…というように、ずっと同じようなペースで走っているマラソン型の働き方が多いようです。ずっと走り続けるマラソンでは疲れてしまいますので、平日のビジネスタイム内でも、きちんと「何もしない」時間をつくることが重要です。そうすることで、より集中して創造的な仕事をすることができるのです。
「スプリント」を意識した働き方をするためは、90分毎にタスク管理をするとよい、と著者は勧めています。
その理由は、人間の体には、「ウルトラディアンリズム」という90分刻みの体内時計があるからです。これに反すると、「集中力が続かない」状態に陥ってしまうので、90分で刻み、意図的に集中時間と集中していない時間を分けるのが効果的なのです。
実際に作業をするときに意識することは次の4つです。
(1)メールをみない。関係のないブラウザを閉じる
タブを開きすぎて、どのタブが今使うタブかわからない状態になっていませんか? また、SNSの通知で仕事が中断してしまい、集中力が途切れてしまうこともあると思います。
「スプリント」をするときは、メールやSNS、ブラウザなどで使わないものは全て閉じるようにします。
(2)必要なものをすべてそろえておく
「スプリント」の90分に入る前に、必要なものは揃えておきましょう。たとえば、資料作成の仕事をする場合、必要な調査やデータを集めた状態でスタートします。
作業をしている途中で「あのデータどこにあったっけ」と探してしまうようだと、集中して仕事に取り組むことができません。目の前の作業に集中する状態を作り出すことで、このような事態を回避するようにします。
(3)90分で出したい最低限のアウトプットを決めておく
90分の時間で出すアウトプットの目標を明確に決めます。たとえば、「プレゼン資料の構想を作りきる」とか、「プレゼンのラフ画を描き終わる」など。
ゴール地点を明確にすることで、ゴールに関係のない無駄な作業をしなくて済みます。
(4)90分で行うタスクを細切れにしておく
90分の時間で区切ったとしても、やることが明確になっていないと、何からやろうか考えている間に集中力が途切れてしまいます。そのため、90分のタスクを分解して、一つひとつに集中して取り組めるようにします。
たとえば、資料を作成する場合、
- 「全体構成を作る」
- 「文章だけの部分はすぐに入れる」
- 「データは、数字を集めグラフ化する」
- 「グラフを貼る」
- 「全体調整をする」
のように、タスクを分解してから90分の集中時間に入るようにします。
仕事に対する考え方を変えてくれる
シリコンバレーにあるGoogle本社では、真昼間から、大の大人たちが会社でバレーボールをして遊んでいたり、近くをランニングしていたりするそうです。
これだけ聞くと、「業務時間中に遊ぶのはちょっと、、、」と感じるかもしれません。あるいは「儲かっているGoogleだから遊んでいられるのだろう」と思うかもしれません。
しかしそうではないと著者は言います。
仕事で重要なのは、付加価値、アウトプットがいかに大きいかであって、どれだけ長時間職場にいたかではありません。グーグルの社員たちは、何もしなくても給料がもらえるからあそんでいるのではなく、最大限のアウトプットが出せるよう、心と体の状態整えるために休息しているのです。(p.15)
つまり、「Google流の疲れない働き方」とは、自分のエネルギーをマネジメントすることで心身体を整え、アウトプットを最大化する働き方なのです。
仕事に集中できず、アウトプットの質が下がってしまうくらいなら、体を動かして気分転換したり、しっかりと休んだりして、アウトプットの最大化に努めたほうがいい。
仕事に対する根本的な考え方が、自分とは大きく異なるなと感じました。仕事とというのは、職場のデスクに向かって溜まっているタスクをこなすことではなく、自分のエネルギーをコントロールしながら、最大限のアウトプットを出すことなのです。
この働き方を実現するためにも、自分も仕事のやり方を工夫したいなと思いました。今回紹介した方法以外にも、4つのエネルギーをマネジメントする方法を知りたい方は、ぜひ本書を手に取ってみてください!