こんにちは、Yukaです。今回ご紹介するのは、尾原和啓さんの『どこでも誰とでも働ける』です。
ここ数年、異常に過酷な環境でも、我慢して働き続けなければならない若い人たちがたくさんいることを知り、私自身、他人事ではなく働き方について真剣に考えなければならないと感じています。本書を読めば、これからの時代の「働き方」について知ることができるのではと思い手に取りました。
本書のタイトルである「どこでも誰とでも働ける」には、次の2つの意味があります。
- どんな職場で働いたとしても、周囲から評価される人材になる。
- 世界中のどこでも、好きな場所にいながら、気の合う人と巡り会って働ける。
今の働き方が定着していると、なかなか新しい一歩を踏み出すのが難しいと感じてしまうかもしれません。しかし、尾原さんが示す働き方は決して「理想論」ではなく、激動する時代をサバイブするための、もっとも「現実的」な方法なのだといいます。
尾原さん自身、現在はシンガポールやバリ島を拠点としつつ、ベルリン、シリコンバレー、深圳、ウクライナなど、世界中を自由気ままに訪れては、日本に定期的に戻ってくるというスタイルで働かれているそうです。
どうすれば尾原さんのように自由な働き方を実現できるのでしょうか?
これまでの働き方が根底から変わる理由
本書で尾原さんは、これから働き方を変えようとしている「大きな変化」について、次の3つを挙げています。
①社会やビジネスが、いっそうインターネット化する
糸井重里さんが『インターネット的』という本で語っているように、インターネットの本質は「リンク」「フラット」「シェア」の3つで表現できます。
世界がインターネット化することによる影響は無数にありますが、個人の働き方でいえば、多くの人や企業と対等(フラット)の関係でつながり(リンク)、知識や成果を分け合う(シェア)形に進むと予想されています。
むしろ、そうした働き方に適合する人でなければ、ビジネスの輪の中にいることができなくなっていくと尾原さんはいいます。
②これからの仕事で活躍できるのは、プロフェッショナルだけになる
インターネット化した社会やビジネスに適合し、「リンク」「フラット」「シェア」の働き方ができる人は、必然的に何らかの専門性を持ったプロフェッショナルになります。
プロフェッショナルの語源は、自分が何者であるか、何ができて何ができないかを、自分の責任で「プロフェス(公言)」することです。
そのため、
- 自分で自分を律して成果を出し、
- それを相手にしっかり説明して、
- 相手がそれを評価してくれる
これら3つを行うことができれば、どんな職種であれ「プロ」と名乗ることができます。そしてネットで自分の考えをプロフェスしていくと、信頼がたまっていき、信頼される「プロ」になれば、「どこでも誰とでも」働けるようになるといいます。
③会社と個人の関係が根底から変わる
働く人の多くがプロフェッショナルになれば、必然的に会社と個人の関係も変化します。
尾原さんは、これまでの正社員を前提とした終身雇用的な関係から、フラットにつながりながら利益をシェアする関係が主流になると予想しています。
多くの人が100歳まで生きる社会が現実になれば、80歳程度の寿命を想定していた従来の就職や転職の仕組みは大きく変わらざるを得ません。
ずっと学び、ずっと働きながら、自分の趣味を全うする、しかも変化する時代の中で、常に自分も変化し続ける、そんな働き方が求められるようになるのです。
こうした視点を持つと、「自分はどんな専門性を持っているか?」「これからどんな専門性を磨いていけばいいのか?」ということが気になりますよね。
本書では、「どこでも誰とでも働ける」ようになるためには「どんな職場でも求められる」人材になることが重要であるとして、そのための仕事術や働き方のヒントがたくさん紹介されています。
中でも、第2章の「人生100年時代の転職哲学」については、今の自分の働き方と照らし合わせて共感できる点や、考えさせられるところがたくさんありました。
転職するつもりがなくても転職活動する
現在、多くの企業では60歳が定年とされていますが、年金制度の問題や平均寿命の延びもあり、働く期間がどんどん長くなっていくことは明らかです。
一つの職場で定年まで働き続けられる人の方が珍しくなっていく中で、どのように自分の価値やスキルを理解し、磨いていけばいいのでしょうか。
尾原さんは転職するかどうかにかかわらず、ずっと転職サイトに登録して、外から見た自分の評価を更新し続けているといいます。
なぜなら、入社後、同じ会社で働き続けていると、会社の中での自分のポジションはわかっても、世の中から見た自分の評価は、就職活動をしていた時のまま更新されていかないからです。
数年ごとに転職活動をしてみて、自分の価値を客観的に知ることができ、それには自分の市場価値を測る上で大きな意味があるといいます。
通常、退職しない限り、履歴書や職務経歴書を作成することはないと考えていましたが、本書を読んで、私も入社から現在までの職務経歴を振り返ってみました。仕事に対して真剣に向き合ってきたことが実感できたり、様々な困難を一緒に乗り越えてきたメンバーにあらためて感謝したいと思えたり、いくつもメリットが実感できました。
たとえ転職する気がなかったとしても、今いる環境を見つめ直し、自分に足りないものや改めて力を入れるべきところなど、新たな目標につながる気づきを得られるという点で、定期的に転職活動をしてみることは意味があるんですね。
まとめ
本書では、尾原さんがこれまで勤めてきた企業での学びがたくさん紹介されています。
いまの働き方に不安を感じている方や、一歩踏み出すための行動ができずにいる方、人間関係に悩みを抱えている方に、迷いなくお薦めできる1冊です。
私も悩みを抱えることが多く、よく立ち止まってしまうので、「どこでも誰とでも働ける」自分になるために、本書を参考にして行動していきたいと思います。