著作権、肖像権の基礎知識まとめ!『クリエイターのための権利の本』

著作権、肖像権の基礎知識まとめ!『クリエイターのための権利の本』




 SNSやブログなどを通して、個人が簡単に世界に情報発信できる今、気をつけなければならないのが著作権の問題です。他人の著作物を無断で利用して著作権侵害を訴えられた場合、「知らなかった」では済まされません。

 私も最近noteやブログを始めましたが、執筆していると「あれ? これって載せていいんだっけ? 引用はどこからとればいいんだっけ?」と考えるシーンが多々あります。

 著作権の侵害かどうかは、作品の類似性や状況などを踏まえ、裁判所によって総合的に判断されるため、「これをしておけば著作権侵害には絶対にあたらない」ということはありません。そのため気づかぬうちに権利を侵害して訴えられてしまう可能性を下げるためにも、著作権について最低限の知識を身につけておくべきです。

 今回は、『クリエイターのための権利の本』から、クリエイター以外にも役立つ初心者」けの情報を抜粋してご紹介します。

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東京五輪エンブレム問題

 直近での著作権問題として、オリンピックのエンブレム問題があります。日本のデザイナー・佐野研二郎氏がデザインしたエンブレムが、ベルギーのデザイナーのものと酷似していたというものです。最終的には著作権侵害が認められ、佐野氏のデザインは取り下げられてしまいました。佐野氏が意図的に模倣をしたのかは定かではありませんが、著作権侵害は意外と身近に起こる犯罪であり、意図せず引き起こしてしまうことがあるかもしれません。

 さて、あなたは「著作権とはなにか?」と聞かれて自信を持って人に説明できますか? 「なんとなくはわかるけど、人に説明できるほど詳しく理解していない」という人がほとんどではないでしょうか。

 著作権とは知的財産権の一つで、「財産的な価値ある情報」の利用をコントロールする権利のことを言います。価値ある情報というと様々ありますが、著作権はその中でも、文化の発展に寄与するものを対象としていることを覚えておきましょう。

 著作物と認められる条件は、大きく2つあります。

①見ること、聴くことで知覚できる表現である

 「見ること、聴くことで知覚できる表現」なので、味や香りなどの表現は著作物にあたりません。また時間や外的要因による変化が激しいものは、原型の精査が難しいため、一定の期間、人間の手を入れずとも形を有しつづけるものでないと著作物とは認められないようです。

②創作的に表現したものである

 個性が現れているものであれば、高度なものである必要はないと定義されています。例えばピカソの作品です。ピカソの絵には、幼稚園児でも描けるのではと思うようなものもありますよね。この点では模倣し、描くこと自体はそこまで難しくないかもしれません。しかし圧倒的な個性が現れている作品のため、著作物の対象となっています。

 もし著作権を犯してしまった場合は、10年以下の懲役、または1,000万円以下の罰金、もしくはその両方が課される場合があり、日本のこの罰則は他国と比べても非常に厳しいものと言われています。漫画やアニメなど独自の文化が根付いている国柄だからこそ、こうした財産を大事にしていくべきだという考えが法律にも反映されているのでしょう。

肖像権について

 肖像権とは、人が有する「みだりに自己の容ぼう等を撮影されない、法律上保護されるべき人格的利益」のことをいい、生活の中で侵害してしまう恐が最も高い著作権のひとつです。

 Instagramに写真をあげる際、後ろに知らない人が写り込んでしまったことってありますよね。この写真は果たしてそのまま投稿してもいいのでしょうか? この写真が肖像権侵害にあたるかどうか、3つのポイントと照らし合わせる必要があります。

①写っている人が特定できるか

 顔がはっきりと写り込んでいる写真は、本人の許諾を得ない限り、肖像権侵害にあたってしまいます。

 また、顔以外でも個人が特定できるものはNGです。例えばスポーツ選手のユニフォームには名前や背番号が書かれているため、顔が写っていなくても個人が特定できてしまいます。こうした場合も肖像権侵害の対象となるので、注意をしておきましょう。

②撮影した場所や状況

 撮影した場所がイベント会場や観光地・遊園地など、撮影されるであろうことが推測できる場所の場合は、肖像権の侵害を訴えられることはまずなさそうです。

 逆に言うと、家の中や私的な領域での撮影は肖像権侵害の可能性が非常に高くなります。古い裁判の事例で、井上ひさしさん(日本の小説家、劇作家、放送作家)の交際相手として取り上げられていた女性が、自宅の台所で料理しているところを週刊フライデーの記者に撮られた事件があります。この記者は夜間に背伸びをして、塀の外から家の中の様子を無断で撮影して掲載したため、私的領域の観点から肖像権の侵害が認められています。

③写真のメインビジュアルであるとき

 遠くにある東京タワーを撮影しようと思ったのに、シャッターの瞬間に通り過ぎた人物が半分以上を占めた写真になってしまった、ということはありますよね。この写真をそのまま使用した場合、客観的に見て東京タワーよりも人物の方がメインになってしまうため、意図せず肖像権の侵害になってしまうケースが多いです。どうしても使用したい場合は、必ず被写体に許可をとるようにしましょう。

 また、子どもが写り込んでいる写真もトラブルになりやすいため、掲載する場合は許可をとるよう気をつけた方がいいでしょう。

ウェブサイトのスクリーンショット・フリー素材の使い方

 パソコンでもスマホでも、スクリーンショットが手軽にで撮れるようになりました。フリー素材といわれる写真もウェブ上にたくさんあります。しかしこれらの素材は、何も考えずにそのまま使ってしまうと、著作権侵害となってしまう場合があります。

ウェブサイトのスクリーンショットを使用したい場合

 スクリーンショットは画面の完全なるコピーのため、撮影は自分で行ったとしても、著作権はコピー元に帰属します。スクリーンショットを使う場合は、必ず「引用」として掲載するようにしましょう。出典先がわかるように、サイト名・URL・アプリ名などをなるべく詳細に明記しておけば、引用として認められる可能性が高くなります。

フリー素材を使用したい場合

 フリー素材の「フリー」には、「無料」と「自由」の2つの意味があります。多くのフリー素材は「無料」という意味で使われていることがほとんどです。ただし、ここで言う「無料」とは、「著作者から提示された条件に沿っている限りにおいて」無料で使用が可能という意味であり、決して「自由」に使っていいという意味ではありません。

 さらに、ウェブ上でよく目にする「ロイヤリティーフリー」という言葉。これも、「使用許諾を得た」以降は許諾の範囲内で何度でも使用できるという意味の言葉です。許諾を得てからなので、最初から無料のものもあれば、最初に使用料を払えば後は無料で使えるというパターンもあるため、使用前に規約を読み込むことを忘れないようにしましょう。

 基本的にどのフリー素材のサイトにも規約が明示されていますが、出典の記載をしなくても無料で使用していいものや、出典を記載したとしても同じウェブページの中に3つまでなど数の制限がある場合もあります。

 フリー素材やスクリーンショットは非常に便利で、コンテンツを見る立場としてもあった方が分かりやすいケースが多いですよね。コンテンツを作る側の方は、意図せぬ著作権侵害とならないように、ぜひルールを知った上で、利用するようにしてください。

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