『すべての子どもは天才になれる』賢い親がやっている子育て方法

『すべての子どもは天才になれる』賢い親がやっている子育て方法




 こんにちは、ヒイラギです。今回はいつもとは趣向を変え、ビジネスパーソンにおすすめしたい育児書『すべての子どもは天才になれる、親(あなた)の行動で。』をご紹介します。

 今は男性も女性も、働きながら子どもを育てるのが当たり前の時代です。いくら仕事がデキても、子どものことはパートナー任せでは、現代を生きるビジネスパーソンとしてはちょっと残念。身近にいるデキるビジネスパーソンを見てみてください。仕事で忙しいはずなのに、子どもを難関校に進学させていたり、名門サッカークラブに入部させていたりと、育児に時間をかけて向き合う”デキる親”でいるケースが多くないでしょうか。

 そう、デキるビジネスパーソンは、子どもの育て方もうまいのです。

 本書の著者、Toru Funatsuさんは、金融会社勤務を経て、幼児教育、英語教材の開発に携わったのち、ハワイにTLC for Kidsを設立。現在は同校で、独自のバイリンガル教育で「グローバルに活躍できる人材」の育成に尽力されています。TLC for Kidsは、その実績が評判となり、今では多くのスポーツ選手や芸能人が子どもを入学させようと順番待ちをするほどの人気だそうです。

 そんな人気スクールをリードする著者が教える「賢い親たちがやっている子育ての方法」とは何なのでしょうか。数ある知識の中から、すぐに実践できるものを厳選してご紹介します。

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読書ノート



優秀な子どもに備わっている3つの柱

 本書のタイトルには「すべての子どもは天才になれる~」と書かれていますが、実際に自分の子どもを本気で天才児にしたいと考えているご家庭は多くないかもしれません。

 とはいえ「有名私立中学に通わせたい」「プロゴルファーにしたい」など、子どもに高い期待を寄せているのはどのご家庭でも同じでしょう。

 でも、ちょっと待ってください。「有名私立中学に合格させる」ことは、子育ての目標として適切なのでしょうか。

 著者がいう子育てのゴールとは、「子どもが自分の才能(特性)を見つけて、自分の人生を選択できるようにすること」です。

 つい「子どものため」と考えて有名校に入れることなどを目指しがちですが、それは著者が言うゴールの先にある数多くの選択肢の1つに過ぎません。にも関わらず親が1つの道を選ぶことは、他の多くの可能性を絶ってしまう危険な行為とも言えるのです。

 では、親はどうすればよいのでしょうか。ここで押さえておくべきなのが、優秀な子どもに備わっている「3つの柱」です。

  • 「よい習慣」
  • 「思考力」
  • 「アイデンティティの確立」

 この「3つの柱」が備わっていると、子どもは自分の才能を見つけ、やりたいことに向かって人生を選択できるようになると言います。その結果、子どもの方から「中学受験に挑戦したい」「プロゴルファーを目指したい」といった目標を自発的に言ってくるようになるのです。

 つまり親が子どもの目標を決めるのではなく、この「3つの柱」が備わるように育児をすることが親の役割だということです。

①「よい習慣」

 「よい習慣」とは、人間としてのベースをつくる行動習慣を指します。性格やメンタリティ、やる気などの人間性は、よい習慣によって作られます。

②「思考力」

 「思考力」は、子どもがよりよい道を自ら選んで進んでいくために欠かせない能力です。特に、周囲に惑わされず物事の本質を見抜く思考力と、柔軟な思考を可能にする地頭力を身につけることが大切です。

③「アイデンティティの確立」

 そして「アイデンティティの確立」、これこそが教育の最終目標だと著者はいいます。自分は何者であり、どう生きたいかを子ども自身が明確に持つことができるようになったら、もう親は温かく見守るだけです。

 この「3つの柱」は自然に身につくものではなく、親の習慣によって備わるものです。では、親はどのような習慣を持つべきなのでしょうか。

賢い親に共通する6つの習慣

 賢い親には、以下の共通した習慣があるといいます。

①「勉強しなさい」と言わない。

 賢い親は「何が大切か、どう大切か」は教えますが、「どうすべきか」は指図しません。子どもの自主性を尊重し、自分で選択して行動できるようにサポートします。

②習い事をさせる。

 習い事で子どもの「強み」を伸ばします。この点は後ほど、詳しく説明します。

③子どもを子ども扱いしない。

 子ども扱いせずに、言葉で説明して考える場を与え、子どもにきちんと納得してもらうようにします。

④無意識の行動を意識的な行動に変えていく。

 周囲に流されたり、無意識のうちに行動していないか考えさせます。毎日は選択の連続であることを、子どもが自覚できるようにします。

⑤食事中の雑談を大切にする。

 食事の時間は、コミュニケーション力を高めるのに欠かせない時間です。この点を意識して、子どもが何でも話せる場になるように心掛けます。

⑥子どもを忙しくさせる。

 子どもを忙しくさせることで自己管理力、時間管理力が養われます。

 繰り返しになりますが、最も重要なのは何事もまずは親が見本になることです。時には子どもに小言を言いたくなることもあるでしょう。そんな時は自分の行動を振り返ってみてください。もしかしたら、自分の習慣が子どもの行動に影響を与えてしまったのかもしれません。

 良いことも悪いことも、親が習慣にしていることは、子どもの習慣になります。だからこそ親が見本となる行動を心がけるべきなのです。



習い事で子どもの才能を開花させる方法

 さて、先述した「習い事」についてです。著者いわく、子どもの強みを伸ばすのに最も優れているのが「習い事」だそうです。

 もちろん闇雲に習い事をさせればいいわけではなく、そこには3つのコツがあります。

  • 習い事を単なる趣味ではなく特技レベルまで引き上げさせる。
  • 勉強と習い事、どちらも同じくらい真剣に取り組ませる。
  • 人と「競争する」機会を活用する。

 水泳でもピアノでも、習い事が特技レベルに達していると、子どもは自分に自信を持つことができます。そして習い事を通じて得た「自分はできる」という感覚は、勉強と向き合う際にも役立ちます。

 習い事と勉強、バランス良く熱意を注ぐことで、どちらかが行き詰ったときには片方が息抜きになりますし、万が一、一方を諦めなくてはならなくなった時、燃え尽き症候群の予防にもなります。

 また「本番に弱い」「人前で実力を発揮できない」という悩みは、子どもの時から競争経験を積むことで回避できると言います。最近は子どもに人と競うことをさせまいとする親が多いですが、上手に競争の場を活用すれば、子どもは自分の強みや弱点に気づくことができるのです。

 尚、習い事を続けるにあたって考えるべきなのは、弱点の克服ではなく、強みの強化です。弱点克服のための習い事は楽しくありませんが、得意なことをもっと得意にするためなら、子どもは喜んで取り組むでしょう。

どんな習い事をさせるべきか?

 では、具体的にどんな習い事をさせるべきなのでしょうか。

 習い事を選ぶ際のポイントは、「長く続けられるもの」「本人の特性に合っているもの」の2つです。

 書道でもテニスでも、長く続けると子どもの「特技」となり、自信が持てるようになります。著者は最低10年は続けるべきだと言います。

 とはいえ、本人の特性に合っていないものだと習得に時間がかかり、「自分はできる」という感覚を積ませることも難しくなります。

 どうすれば子どもの特性に合った習い事を選べるのでしょうか。

 特性(強み)とは「人と違う部分」だと著者は言います。他の子よりも負けず嫌い、すばしっこい、世話好き…etc。どうでしょう、自分の子どもにはどんな特性がありそうですか?

 次の観点で子どもを観察してみると、もっと具体的な特性が見つかるかもしれません。

  • 一番長く集中できるのは何をしている時か?
  • どんなおもちゃで遊ぶのが好きか?
  • 子どもの身体的特徴(容姿を含む)は何か?
  • 子どもの性格を一言で表すと…?

 なお、理想はスポーツとアート系の習い事を1つずつ選ぶことだそうです。体を動かすことが苦手でも、継続できるスポーツを1つ見つけてあげましょう。スポーツは身体を鍛えるだけでなく、メンタル面も強化してくれるからです。

 はじめから教室に通わせる必要はありません。まずは家で色々やってみて、子どもが好きそうであれば習わせてみればOK。その際は、周囲の子どもよりも「少しできる」状態にしてあげてからスタートさせてあげるとよいでしょう。何事もはじめが肝心です。上手にできると、子どもはもっとやる気を出します。

 習い事を賢く利用して、子どもの強みを伸ばしてあげましょう。

子どもの思考力の伸ばし方

 大量の情報があふれる現代において、自分で考え、自分の責任で人生を選択していくためには、思考力を伸ばすことは欠かせません。

 欧米では、「クリティカルシンキング」を身につける教育が当たり前のように組み込まれています。クリティカルシンキングとは、物事の本質を見抜く思考を指し、一般的には「批判的思考」とも呼ばれています。

 物事を無条件に受け入れるのではなく、きちんと吟味して、より良い意思決定をするための思考法で、最近は日本でも幼いうちから学ばせようとする傾向が強まっています。

 クリティカルシンキングを子どもに身につけさせるには、どうすればいいのでしょうか。ポイントは「多面的に問い続ける」ことだそうです。

 家庭でクリティカルシンキングを鍛えるには、親の「雑談力」「質問力」がカギとなります。

 具体的には、以下のように質問をします。

  • 「どうして」「教えて」と上手に質問を重ねる。
  • YES/NOでは答えられない質問をして、深く考える習慣を身につけさせる。
  • 日常に疑問を持たせる問いかけをする。例えば、「テレビはどうして映るんだろう」「1日はなぜ24時間なんだろう」とたずね、子どもの「なぜだろう」を刺激する。
  • 本を能動的に読むための問いかけをする。本を読み終えた子どもに、「主人公はどんな気持ちだろう」「この後どうなるんだろう」と質問をする。

 ぜひ上記ポイントを押さえた質問をお子様にどんどんしてみてください。

優れた「地頭力」のつくり方

 デキるビジネスパーソンをはじめ、世の中の優秀な人はよく「地頭がよい」と言われますよね。

 この「地頭力」には「知識や技能を応用できる力」「見聞きしたことを理解し、再現できる力」「柔軟で多面的な思考」「問題解決能力の高さ」といった要素が含まれています。

 地頭力を鍛えるにはどうすればいいのでしょうか。最も重要なのは「国語力」だそうです。国語力に含まれる「聞く」「話す」「書く」「読む」力が地頭力には欠かせないからです。

「聞く力」

 「聞く力」には2種類あります。「理解しようとして聞く力」と「共感して聞く力」です。

 「理解しようとして聞く力」があると、授業の中だけで、学習内容をきちんと理解できるようになります。まずは、普段から子どもに対して愛情や感謝の言葉、褒める言葉を伝えましょう。言われて嬉しい親からの言葉がけは、子どもの言葉への感受性を高め、きちんと相手の言葉を理解して聞こうとするようになります。

 「共感して聞く力」は、人間関係を築く上でとても重要です。この力を伸ばす方法はとてもシンプル。家庭で雑談をたくさんすればいいのです。ポイントは、親自身が子どもに共感しようという気持ちで会話すること。まずは親の方からたくさん話をしましょう。親が楽しそうに話をしていると、子どももどんどん話してくれるようになります。

「話す力」

 子どもが小さい頃は、遊びの中で「話す力」をトレーニングするのが一番。なかでも「ごっこ遊び」や「おままごと」がオススメだそうです。

 欧米の学校では、人前で話す教育法が多く取り入れられていますが、先生の話を一方的に聞くスタイルの授業に慣れている日本人は、人前で話すのが苦手な人が多いです。

 幼い頃から人前で話すアクティビティを積極的に取り入れ、話すことに慣れさせましょう。

「書く力」

 そして「書く力」。これは自分の思考や心の中と向き合うために役立つ能力です。文章というのは、思考をきちんと整理できなければ上手に書くことはできません。

 つまり書く力を鍛えると、おのずと論理的に考える力も鍛えられるのです。

 「書く力」は、物語づくりをしながら楽しくトレーニングすることが勧められています。オリジナルの物語を考えるのが難しいようであれば、「桃太郎」などの昔話を順序立てて、口頭で説明することから始めてみましょう。

「読む力」

 最後に「読む力」ですが、これはもう読書をするしかありません。本が好きな子どもにするには、どうしたら良いのでしょうか。

 子どもが小さい時に、絵本の読み聞かせをしてあげる親は多いと思いますが、著者は子どもが自分で本を読めるようになってからも、時々読み聞かせをしてあげるのが大切だと言います。自分で読むのと、大人に読んでもらうのとでは面白さが全然違うからです。

 子どもが大きくなってからは、簡単な本を多読させるようにします。そうすることで「本を流暢に読む力」が身につきます。特に読書が苦手な子は、実際の学年よりも2学年ほど下げたものを、毎日20~30分読むことを日課にしようと勧められています。

家庭でできる英語教育

 今の世の中、英語はできて当たり前で、子どもの頃から触れさせた方が習得が早いとよく言われています。しかしネイティブのような英語を日本人家庭で学ばせることは容易ではありません。

 どうすれば海外で育ったかのような流暢な英語を子どもに身につけさせることができるのでしょうか。

 バイリンガル教育の専門家である著者によれば、英語力を伸ばすには「リーディング力」を鍛えるのが最も効果的だそうです。

 そうはいっても、いきなり子どもに英語の本を読ませることはできませんよね。まずは英単語を正しく発音して読めるように準備してあげる必要があります。この準備段階が、ネイティブのように英語を使えるようになるか否を大きく左右するのだそうです。

 準備段階のポイントは2つ。「フォニックス」「サイトワーズ」です。

 「フォニックス」とは、英単語を文字ごとに分解して読み方を教える方法です。

例)DOGであれば「D/ドゥ」、「O/オ」、「G/ッグ」

 「フォニックス」を学ぶことで、知らない単語でもほぼ正しい発音で読めるようになります。ただし「ドッグ」ではなく「ドゥ、オ、ッグ」と拾い読みしやすくなるという弱点もあります。

 一方「サイトワーズ」は、単語のまま読み方を教えます。

例)DOGであれば「ドッグ」

 日本の学校ではこちらの方法で英単語を学ばせることが多いと思います。しかし単語の読み方をそのまま丸暗記するので、知らない単語は発音できないという問題点があります。

 そのため「フォニックス」と「サイトワーズ」、両方の方法で学習することが有効なのです。

 「フォニックス」は、インターネットで検索すると歌や動画が無料で配信されています。それらを利用すれば、飽きずに楽しく学習できるでしょう。

 「サイトワーズ」は、you, and, thatといった頻出する単語から覚えるのがコツです。300単語覚えると、どんな英文でも約70%が読めるようになると言われています。著者は「Dolch Sight Words」と呼ばれる約300単語のリストを覚える方法をオススメしています。これもインターネットで検索すれば簡単にリストが入手できますので、ぜひチェックしてみてください。

英語学習はいつから始めるべき?

 本書では英語力を「生活英語力」と「学習英語力」に分けています。

 「生活英語力」とは、日常生活で必要な英会話力のこと。これは年齢が低いほど楽に身に付けることができるそうです。一方、読み書きがメインの「学習英語力」は、日本語でも読み書きができる小学生の方が効率よく学ぶことができるそうです。

 なのでストレスが少なく、もっとも効率よく英語を習得するには、

  • 4~5歳で生活英語の学習をスタートし、
  • 小学校に入る頃から学習英語に移行する

というのが最適のようです。

 家庭で英語教育を始めようと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

さいごに

 仕事が忙しく、なかなか子どもと過ごす時間が作れなかったとしても、心の中ではいつも子どものことを考えているのが親というものです。

 限られた時間の中で、子どものために良かれと思ってしたことが、逆に子どもの才能を宝の持ち腐れにしてしまっては、こんな悲しいことはありません。

 本書では賢く子育てをするアイデアがたくさん紹介されています。ぜひ、お子さんの才能を伸ばすための参考にしていただければと思います。

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