【要約】絶対にミスをしない人の「脳」の習慣とは?

【要約】絶対にミスをしない人の「脳」の習慣とは?




 うっかりミスをしてしまうことって誰にでもありますよね。わたしもミスが少ないとは口が裂けても言えず、最近は「自分はミスが多いんだ」と自覚し、「自分を信用しない」ことでなんとか対策をしていました。「1度聞いただけで明日まで覚えているほど賢くない」と言い聞かせ、忘れてしまっても思い出せる仕組みづくりに力を費やしてきたのです。

 おかげで大切なことをうっかり忘れていた、という重大なミスは減ったのですが、意識していないときのちょっとしたミスやプライベートでの忘れ物などは相変わらずです。

 以前働いていた職場では、査定の評価に「徹底確認力」という項目がありました。もちろん、こんなわたしですから、この項目の評価が高かったことはありません。しかし当時は、他の項目(たとえば営業成績)が良いと、その他が著しく悪くない限り昇給する手法がとられていたため、さほど気にしていませんでした。

 ただ現在の仕事では、以前のように1日に何百というメールを返したり、営業の業務に加えて新卒の研修プロジェクトを進行させたりといったマルチタスクではありません。リモートで働いている人が多いため、「あの仕事どうなった?」というコミュニケーションを頻繁にとれるわけでもなく、任されたひとつの仕事を完璧に抜け・漏れなくこなすことが求められています。他でカバーするというロジックが通用しないのです。

 1つのタスクへの集中力を高め、ミスをなくす、あるいはなぜミスが起こってしまうのかを知る必要があると感じたため、この本を手に取りました。

 わたしのように、仕事を頑張りたいと思っているのにどうしてもミスをしてしまう方は、ぜひ最後まで読んでいただけますと幸いです。

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ミスの原因はあなたのせいではない

 ささいなミスや重大なミスをしてしまって、「なんでこんなこともできないのだろう」「こんなミスをしてしまうなんて自分はどうかしてるんじゃないか」と、心の底から自分が嫌になった経験がある方もいるのではないでしょうか。

 そんな、ミスによって自己嫌悪に陥っている方に声を大にしていいます。

 すべてのミスは脳の情報処理に関わる「仕組み」のせいです。決して、あなたの能力が低いせいではありません。もう一度いいます。そのミスはあなたができないヤツで、ダメなヤツだから起きたのではありません。

 もし問題があるとすれば、ミスをしてしまったこと自体ではなく、「脳がミスを起こす状態にしてしまっている」ことです。ミスをなくすには、「自分の脳がいまどんな状態であるのか」を把握することから始めましょう。

 よくドラマで、几帳面で徹底した性格の主人公が、恋などの悩み事が発生した途端、ささいなミスをしてしまい、上司から「〇〇がミスするなんて、珍しいな!今日は仕事を早くきりあげてゆっくり身体を休めろよ!」と言われるシーンありますよね。実はこれ非常に的を射ています。

 ある調査によると、ミスの原因は、「集中力の低下」「ワーキングメモリの低下」「脳疲労」「脳の老化」の4つしかないことがわかっています。

 ワーキングメモリとは、脳のキャパシティのようなもの。数が多ければ多いほど、情報処理のスピードは的確に、速くなります。最近の研究では、人のワーキングメモリは「3」が基本であると発表されました。例えばおつかいを頼まれたとき、卵と牛乳とほうれん草の3つまでを覚えるのはたやすいけれども、4つ目からはメモをしないと完璧に覚えておけるか不安ではないでしょうか。

 また多くのビジネスパーソン向けに開かれているセミナーでも、「ポイントは3つです」とはよく聞きますが、4つですと言っている人はあまり見たことありませんよね。

 「昔からよくミスをする」という人はワーキングメモリが通常よりも少ない可能性があります。逆に仕事ができる、同時に色々な処理を行える人は多いかもしれません。

 もしキャパシティが人より少ない2しかないとしても、嘆くことはありません。ワーキングメモリは鍛えることが可能だからです。さらにワーキングメモリが100%の力を発揮できるようにすれば、キャパシティが3や4の人よりも速く的確に処理をすることができるようになります。

 ミスをしない人は、「自分の脳が最大限のパフォーマンスを発揮できる」ような状態を維持している」と言えるのです。

ワーキングメモリを鍛える9つの方法

 さて、ワーキングメモリは鍛えることが可能だとお伝えしました。ここでは、その具体的な方法を9つご紹介します。

①7時間以上の睡眠

 持っているワーキングメモリが100%の力を発揮するためには、必要な睡眠時間(7時間以上)がきちんととれていることが必須です。睡眠時間が6時間を切った段階から認知機能の低下が見られることが証明されています。

②やや速足のウォーキングなどの有酸素運動

 運動はワーキングメモリに限らず、注意力・集中力・記憶力・学習機能など多くの脳の働きを活性化します。「最強の脳トレ」と言っていいでしょう。おすすめなのは、ランニングや速足のウォーキングなどの有酸素運動です。週に2時間以上の運動が推奨されています。

③自然の中での運動

 自然の中ではリラックス効果が得られることに加え、「考えたり、判断したりしながら運動する」ことが脳の活性化につながります。

 運動中のに石や木があれば、その都度どのように避けるかを瞬時に判断する必要があるため、これがワーキングメモリを使うことにつながります。

④読書

 ワーキングメモリの容量が多い人は「高い読解力」を有し、文章全体の論旨を把握する「文脈をとらえる能力」に長けていることがわかっています。ワーキングメモリと読解力は相関関係にあり、読書をして読解力が鍛えられれば、ワーキングメモリも比例して鍛えることができます。

⑤暗記するなど、意識的に記憶力を使う

 何かを意識的に暗記する「記憶力を使う」ことがそのままワーキングメモリのトレーニングになります。3つまでしか覚えられないキャパシティのものを4つまで覚えられるようにトレーニングしているわけです。おすすめは、趣味など直接的にビジネスに関係ないものでもいいので資格を取ることです。

⑥暗算

 暗算するには、頭の中で一旦、数字を仮置きします。これがワーキングメモリには非常に良いとされています。

 例えば16+59の計算をするとき、1の位は6+9で15+10の位が1+5+先ほどの繰り上がりで+1となりますね。このとき脳のスペースの中に15を仮置きしている状態となる。この仮置きの過程でワーキングメモリを使用するため、暗算によってワーキングメモリを鍛えていることになるのです。スマホやパソコンに電卓機能がついているおかげでどんどん暗算する機会は減っています。簡単な計算は意識的に暗算をするようにしましょう。

⑦ボードゲーム

 チェス・将棋・囲碁などのボードゲームは認知トレーニングとして非常に有効であることが知られています。このようなゲームは、2,3手先をよみながら行います。このシミレーションの過程でワーキングメモリが使われるのです。

⑧料理で「段取り力」をつける

 料理はパスタをゆでながらの10分間で、野菜の皮をむいてみじん切りにしておく。終わったらフライパンを加熱してソースの準備、というように複数の作業を同時進行でこなしていく必要があります。複雑な段取りを組み立てながら実行する料理は脳のトレーニングとなります。さらに、レシピなどを見ながらではなく、料理のレシピを頭にいれておいて、料理をするとさらにワーキングメモリを鍛えることが可能です。

⑨マインドフルネスで「今・この習慣」に集中する

 マインドフルネスとは、「今この瞬間」の自分に注意を向けて、現実をあるがままに受け入れることです。ストレス対処法のひとつとして医療、ビジネス、教育などの場で実践されています。あのGoogleが社内研修に取り入れたことでも注目を集めていますね。

 ストレスホルモンを抑制する効果、前頭葉を活性化させる効果だけでなく、セロトニンを活性化させる効果も報告されています。セロトニンとは脳内で働く神経伝達物質のひとつで、感情や気分のコントロール、精神の安定に深く関わっています。

明日からできるミスをしないための対策3箇条

①ミスをしにくい時間帯を狙う

 朝起きて、すぐに今日のニュースや、twitterをチェックして情報収集している、という人は結構いるのではないでしょうか。はい、わたしです。なんとここ半年以上毎日やってきたこれ、実は脳にはとっても悪いらしいのです。

 朝起きた瞬間の脳は、ワーキングメモリの容量をなにも使っていない状態です。何をしてもさくさくと作業を進めることができる状態にあるのですね。そこに、大量の情報を入れてしまうと、収集した情報でワーキングメモリが埋まってしまいます。いざ業務をはじめようとしたときには、既にいっぱいになったワーキングメモリによって効率が低下している状態になっているのです。

 1日の中で集中力の高い時間帯は間違いなく午前中です。目が覚めてからの2時間はその中でもゴールデンタイムと言われています。ミスができない仕事、集中して取り組みたい仕事は午前中に片づけるようにスケジュール管理をするだけでも大幅にミスの軽減につながるはずです。

 出社してすぐにメールチェックをする、というのはもしかしたらゴールデンタイムにする必要のないルーティンワークかもしれません。

 逆に、ミスをしやすい時間帯というものも存在します。想像すれば容易かもしれませんが本来寝ているような夜遅い時間、お昼ごはんを食べて終えた14時ごろは集中力も低下し、ミスが起こりやすい時間帯です。

 わたしも最近、ミスをしました。しっかりと自身のスケジュールをみてから、先方に送ったはずのアポイント日程が既存アポイントともろ被りしていたのです。

 実はこのメールを返信したのは深夜12時過ごろ。わたしはもう寝ようとベットに入り込んでいたところでした。そこに急に先方からの問い合わせメールがきたため、忘れないよう本日中に返しておこうと、おもむろにパソコンを開いてしまったがゆえに起きたものだったのです。次の日、自分で何度もメールを見返しましたがほんとうに怪奇現象としか思えないくらい理解不可能でした。

 このミスをしやすい時間では、集中力、判断力が著しく低下しています。社外に送るメールなど重要度が高いものはミスをしやすい時間帯を避けて対応するように気を付けましょう。

②同時進行をやめる

 一度に、複数のことを処理しようとすると、脳の処理速度がおそくなり余計に作業に時間がかかってしまいます。そして、脳が情報処理の許容を超えた瞬間、ミスが発生してしまうのです。

 最近の脳科学研究では、「人間の脳はマルチタスクができない」ということが明らかになっています。

 例えば、「ながら勉強」。テレビを見ながら勉強するしている場合、2つのことを同時に行っているように見えますが実は違います。「テレビを見ること」と「勉強をすること」を別々に行っていて、頭の中で高速にスイッチを入れ替えているのです。このスイッチの入れ替えは、猛烈に脳に負荷を与え、脳の処理能力を低下させてしまいます。

 勉強している途中、友達からのLINEをつい、返してしまう。そしてまた勉強にとりかかったところできた返信LINEにまた返信する、なんてことをしていたら脳への負荷は恐ろしいものです。

 2つの作業を同時に行わせたとき、80-95%も効率の低下が見られた、という研究報告もあるほどです。

 わたしもよく、こうした原稿を執筆している合間に、Slackで別のタスクを依頼されることがあります。Slackで依頼されたタスクがあまり時間のかかるものではない場合、執筆を中断し、新たに依頼されたタスクを優先して片づけてしまうことが多くあります。

 しかし、思い返すと、わたしの周りの仕事ができる人たちは確かに、1秒で終わることを依頼しても「これが終わってから」と言います。言われているこちらとしては少しいらっとしますが、これはスイッチの切り替えによる脳への負荷を無意識に軽減させている行為なのですね。

 なにかしている最中に、他のことが気になったりスマホを覗きたくなったりした場合は「いかん、いかん。脳に負荷がかかって、作業効率が悪くなってしまう」と言い聞かせることでできるだけ始めた業務が終わるまで他のことをしないように律していきましょう。

 少しお話しは変わりますが「ながら」というと音楽をききながら、作業したいという人は多くいますよね。これはマルチタスクになるのでしょうか?

 実は一概に「なる」「ならない」とすることは難しく、仕事の内容によって変わってきそうです。

 例えば、封筒を同じようにひたすら折っていく、運動などの頭を働かせない「作業」であれば音楽はプラスに作用することが多いそうです。

 逆に「読書」「記憶」などの言葉を読解する業務の場合、音楽で流れてくる歌詞の読解と本に書いてある内容の2つの読解となるため言語機能の妨害となる可能性があります。

 仕事中に音楽を聞きたい場合は、仕事の内容によってうまく使い分けるようにしていきましょう。

③寝る前、2時間の過ごし方を変えてみる

 長期的にストレスを受け続けると副腎皮質ホルモンである「コルチゾール」=通称ストレスホルモンが増加します。

 コルチゾールは1種の抗ストレスホルモンで、ストレスに対処し、分泌されることで1日を元気に過ごすことができるようにしてくれます。コルチゾールは朝から昼にかけて多く分泌され、夜になるにつれて減っていきます。

 しかし、長期にストレスにさらされている人は夜間にコルチゾールが下がらなくなってしまい、十分な休息、免疫力を高めることができなくなってしまうのです。

 また、コルチゾールが増加すると、「記憶の仮置き装置」である「海馬」に悪影響を及ぼします。海馬は脳の真ん中あたりにある、アーモンド状の小さな部位です。脳への入力情報はすべて一旦この海馬を通過し、2‐4週間ほど保管されます。その間に保管している情報が何度か使われると、脳はこの情報を「重要」と判断し長期記憶として保管するのです。

 つまり、この海馬の働きが弱まると「記憶の仮置き」ができなくなり、聞いたはずのことを忘れてしまう、というミスにつながりやすくなってしまうのです。

 そのためには、日々のストレスを溜めない、溜めたストレスを整理することが大切となります。

 寝る前の2時間でリラックスした状態をつくり、1日のストレス解消、体の疲れを癒す時間に使うことでストレスに対処できる体制をつくっていきましょう。

 寝る前にやっていけないことは、「食事」「飲酒」「激しい運動」「熱い風呂」「視覚系娯楽(ゲーム・映画)」「光るものを見る(スマホ・パソコン・テレビ)」「明るい場所で過ごす(職場・コンビニ)」「カフェインの摂取」「喫煙」です。

 人間には、「交感神経」と「副交感神経」があります。寝る前に、緊張状態の「交感神経」からリラックスしている状態である「副交感神経」に切り替えることで、体と脳を休ませています。

 やってはいけないことをしてしまうと、「交感神経」優位にまま眠りについてしまいます。これだと、睡眠中に脳が休めておらず、次第に機能が低下してしますのです。脳もずっと動いていると疲れてしまいます。休ませるべきときにはに休ませ、緩急をつけて働かせてあげないと、出番だぞ!というときにうまく機能をしてくれません。

 この「副交感神経」への切り替えを意識することができれば、どんなに仕事が忙しくても次の日もばりばりとミスなく働くことができるはずです。

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