瀧本哲史『戦略がすべて』コモディティ人材から抜け出す方法とは?

瀧本哲史『戦略がすべて』コモディティ人材から抜け出す方法とは?

 前回ご紹介した『武器としての交渉思考』を読んで以降、すっかり瀧本さんの本に魅了され、読み漁っている者です。瀧本さんの本は、内容は難しいはずなのに、平易な言葉で書かれているので誰にとっても読みやすいのが特徴です。

 さて、今回のテーマは「戦略」。日本人は「真面目」と言われるように、「努力をすることが美徳」という考え方が根付いているように思います。結果が出なかったとしても「頑張ったことが大切」という考え方です。もちろん、この考えは否定されるものではありません。

 ただ、本当に「勝ちたい」「成功体験を積みたい」と思うのであれば、「どんな方法を使っても勝ちにいく必要がある」というのが本書の主張であり、そのための戦略についてを解説されています。

 多くの若者は、「戦略」を持たないまま人生を歩んでしまいます。少し前に、勉強をしたことがないギャルが有名大学に合格するという小説がヒットし、映画にまでなりました。インパクトのあるサクセスストーリーではありますが、「大学に合格すること=成功」ではありませんよね。その方は大学卒業後、就職をしたもののすぐに選んだ会社を辞めてしまったそうです。

 実は私も、大学受験をがんばった系女子でした。死にものぐるいで勉強し、憧れの大学に入学できたものの、そこからの目標を見つけることに苦しみました。受験合格が最終目標となっていた典型的なパターンです。そして戦略を持たないまま就職して、1社目の会社を短期で辞めています。

 学んだことも多くあったため、その結果について後悔したことはありません。ただ、もし私が「戦略的」に考えていたら、もっと短いルートで描きたい将来に向かって歩んでいけたのではと思うことはあります。

 今回は本書の中から、 について紹介します。自身の望む成功を得るために必要な道を、最短で掴み取るためのきっかけになれば嬉しいです。

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「戦略」とは?

 戦略とは、「競争に勝つ」ためのものです。「競争」というと「同じ方向に走って、がんばった人が勝つ」というようなイメージを持つかも知れません。マラソン、あるいはチームでタスキをつなげ合う駅伝のイメージです。

 しかし実際の競争は、それほど甘いものではありません。全く違うルートを開発したり、今までのルールを変えたりすることができる者が勝利するのです。走っている人を横目に自転車を持ち込んでも、自動車を発明して桁違いのスピードで追い抜いていっても、全く問題ありません。

 戦略を考えるというのは、今までの競争を全く違う視点で評価し、各人の強み・弱みを分析して、他の人とは全く違う努力の仕方やチップの張り方をすることなのです。

 その意味で、戦略は「弱者のためのもの」だと言えるでしょう。真っ向勝負では敵わない相手に対して、様々な策を講じ、勝利を手繰り寄せるためのものなのです。



「コモディティ人材」と「人材ビジネス」

 「コモディティ化」とは、特定のジャンルにおいて、どの商品の品質も同じように高まると、顧客によって代わり映えしなくなってしまう状態のことを指します。この状態になると、あとは価格のみが基準となって、際限のない値引き競争の流れに飲み込まれてしまいます。

 コモディティ化は、今や製品だけではなく「人間」にも押し寄せています。コモディティ化した人材は、採用する側にとって「誰でも同じ」に見えています。「一番安い人材」が採用基準となったとき、賃金低下、長時間労働に陥る結果となるのです。

 その一方で、コモディティ化を抜け出した一部の有用な人材に需要が集中するという二極化構造が、今後顕著に進んでいくでしょう。

 だからこそ、コモディティ人材にならないための「戦略」が必要です。

コモディティ人材から抜け出すには?

 「コモディティ化人材」を抜け出す最大の秘訣は、ずばり「競争社会に参加する」ことです。

 多くの大企業は新卒採用をしており、「みんな平等」にチャンスが与えられています。マネジメント層は、数多く入社してくる新卒社員に対して、「ある程度まで」教育することを職務だと考えている人がほとんどです。しかしこれが、コモディティ人材を生む最初のワナなのです。

 違う個性を持った人材を同じカリキュラム、同じローテーションで教育をする過程が効果的だとは到底思えません。

 気づいたときには、その会社の中でだけ役に立つスキルや能力しか身につけられず、永遠にその企業で働く以外の選択肢がなくなってしまうのです。

 これからは、自ら競争社会に身を置き、チャンスを掴み取りに行かなければなりません。

 会社に育ててもらう時代はすでに幕を閉じています。ただ目の前の仕事をこなしているだけでは、コモディティ人材から抜け出すことはできないのです。

コモディティ人材を脱却するチャンスは増えてる?

 一方で、コモディティ人材を脱却するチャンスは増えていると瀧本さんは説きます。

 人材を採用・育成するにあたって、経営側が最も避けたいことは、「投資した人材が投資しただけの成果・リターンを出してくれないこと」でしょう。

 そして、そのリスクを軽減するために、人材のプラットフォーム化が進んでいます。

 特徴的な例として、AKB48の仕組みを考えてみましょう。(2015年刊行の本なので、当時のAKB48を想定してください)

 AKB48は、人材のプラットフォーム化のよって、「誰が当たるかわからない」というアイドルビジネスにおける最大のネックをカバーしています。移り変わりが早い現代では、求められるものも日々変動しています。今優秀とされている人材が、将来的にもずっと価値がある状態かは誰にも予測できません。であれば、たくさんの人材にチャレンジさせ、時代のニーズにあった人材を、ユーザーに選ばせていったほうが合理的といえます。

 もちろん秋元康さんが初めから「売れる」と思った子もいるでしょうが、全然マークしていなかった子が上がってきたというパターンもあるでしょう。反対に、この子は「人気が出るぞ」と思っていた子が意外と伸び悩んだり、早々に脱退してしまったりということもあるはずです。

 プラットフォーム化によって「多くの人材をチャレンジさせてみよう」という前提があるからこそ、様々な魅力や才能を持った人材が集まり、予想を超える成功を遂げることができるのです。

 コモディティ人材から抜け出すためには「競争社会に参加する」ことが必要であり、若者にとって、そのためのチャンスは増えているということなのです。

「コモディティ人材」にならないための3つの方法

 競争社会に身を置き、コモディティ人材から抜け出すために己を磨き続ける覚悟を持った方は、次の3つの方法を実践してみてください。

①コンピューターができる仕事はやめる

 自分を律して厳しい環境に身を置いたとして、具体的にどんなことをすればコモディティ人材から抜け出せるのでしょうか? 単に人よりも多く働けばよいというわけではありません。

 まずは、自身の業務を見直してみましょう。入力作業や頭を働かせずにできるルーティン作業ばかりに忙殺されていませんか? 「コンピューターにできる仕事をしない」ことがコモディティ人材を抜け出す1つ目の方法です。

 以前、私は人材紹介会社の法人営業として働いてました。ある程度成績を残していたこともあり、当時は「サービスを売ることはコンピューターではできない」と考えていました。しかし業務を分解して考えてみると、ほとんどが定型化できる業務だったと今は思います。

 たとえば、メール返信業務も内容を考えることはほとんどなく、面接日程の調整をいかに速く返すかが重要でした。また新規企業開拓での打ち合わせも、ヒアリング内容が企業によって大きく変わることはなく、同じようなことを聞くことが多々ありました。

 これから求められるのは、コンピューターができる仕事ではなく、コンピューターと人とをつなぐ仕事ができる人材です。コンピューターを使いこなした上で、さらにその改善や提案をするような業務を率先して取り組んでいくべきなのです。

②勝つための土俵を選ぶ

 競争社会に身を置くのならば、やはり負けてばかりは嫌ですよね。勝ちたいと思うはずです。

 「勝つための土俵を選ぶ」とは、あまり頑張らなくても構造的に勝ちやすいドメインを選び、「楽勝でできることを徹底的にやる」ということです。

 たとえば、「オリンピックで多くのメダルを取ること」が最終的な目標だったとします。この時、どの競技を選ぶのが最も勝てる戦略でしょうか? サッカーや野球など世界的に人気があるスポーツは競争率が高く、難しいでしょう。また柔道のように選んだ階級だけしか出られないスポーツも、1つ分のメダルしか得ることができないため、効率的ではなさそうです。

 であれば、競争人口が少ないマイナーなスポーツや水泳や陸上、体操など1人が複数の種目に出場できるものが戦略となります。

 土俵=ドメインを選んだら、次に「場」を選びます。これは「環境」と言い換えてもいいでしょう。東大生をごろごろ排出するような高校で切磋琢磨しながら受験するか、「東大なんてムリムリ(笑)」と言われるくらい東大を受験者数が少ない高校で、孤独に受験勉強を戦うかでは雲泥の差。

 周りにコモディティ化人材ばかりがいるような場だと、自分だけが競争に参加して頑張り続けることは難しいし、苦しくなってしまいます。

 成功しやすい環境を選ぶことも、成功するための戦略の一つです。

③多様な人的ネットワークを持つ

 3つ目は、多様なコミュニティに所属するという方法。人間は、自分に賛同してくれるや似た価値観を持つ人と一緒にいることで心地よさを感じます。

 一方で、自分の耳に痛いことばかり言ってくる人とは一緒にいたくないと思うはずです。

 しかし、この違う価値観による「異見」こそが、イノベーションを起こす上で最も必要な要素になると言います。

 自分と同じような意見を持っている人ばかりと付き合っていると、周囲が自分を肯定してくれる人間だけとなり、刺激も向上心を持つことも難しくなってしまいます。

 知識を学ぶだけではなく、どのようなコミュニティを通して、どのような人材と、どのような経験をしていくことができるか。

 そのためには、今までインプットしたどのような知識を、どのように活用できているかが重要となってきます。

 「アニメが好きだからアニメの話ができる人のコミュニティへ」ではなく、車の話も、芸能人の話も、経済の話もそれぞれ相手に合わせてできるようになることで、多様なネットワークを持つ人材となれるのです。



まとめ

 日本企業では、階級や年次によって役割が変わっていくことがほとんどです。「良き平社員が係長に」「良き係長が、課長に」という具合に。

 もちろんどのポジションもやってのける才覚のある人はいますが、多くの人はその内に限界点に到達します。

 あなたの周りにも、「あの人はマネジメントよりもプレイヤーの方が向いてたよねー」とか、「係長のときみたいに2、3人をまとめてたときはいいリーダーだったのにね」と言われている人がいるのではないでしょうか。

 一方、グローバル企業では、業務内容を大きく変えることなく、「リーダーはリーダー」と決めて、かなり早い段階から経験を積ませています。

 トップマネジメント層を外部から雇うことが一般的になっている中で、「会社の全ての業務を経験させてからしか上へと上がれない」という日本型のシステムは、自分の武器となる「特化した職能」を磨きにくい環境と言えるでしょう。

 「その会社に長くいることでできるようになること」ではなく、尖ったスキルや自分の強みを作る経験を早いうちから積んでいくことで、この競争社会を勝ち抜いていきましょう。

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