今回ご紹介するのは、「AbemaTV」や「グランブルーファンタジー」などのスマホアプリ、インターネット広告を提供している株式会社サイバーエージェントの副社長・日高裕介さんの著書、『組織の毒薬』です。
これは、日高さんが自社の社員に向けて書いた66のコラムをまとめたもので、どれも胸がアツくなるメッセージが込められています。
その中からわたしが最もいいなと思った3つのコラムをご紹介したいと思います。
「気合と思考停止は紙一重」
みなさんは上手くいくことと、いかないことを分ける最終的な差は何だと思いますか? 日高さんは「結果に対する執念」だといいます。一言でいえば、気合いです。
これは進む方向が曖昧なままでがむしゃらに突っ込んでいくということではありません。それでは単なる思考停止。そうではなく、「意地でも目をつぶらずに思考を止めず、あの手この手で攻撃し続けること」が日高さんのいう「気合い」なのです。
攻撃とはつまり、自分に「これで本当にいいのか?」と問い続け、答えのない思考と妄信を繰り返すこと。この苦しい作業を行ってこそ、困難を乗り越える希望を見つけることができるのだそうです。
壁にぶち当たった時、焦りや諦めの感情から次の一歩が踏み出せなくなってしまいがちですが、そんなときこそエンジンをかけ直して、悩みながらも前に進む姿勢を忘れないでいたいですね。
私の仕事は追い込むこと
日高さんはご自身の「マネジメント」の仕事を、「社員を追い込むこと」だとしています。
追い込むとは「当事者意識を持たせること」。仕事のダメ出しをしたり、どんどん課題を出したりして、あえて負荷をかけていくことで、オリジナルの責任感を引き出すことができるといいます。
「もう失敗してもいいやと開き直ってしまうくらいにその仕事について悩んで考えることが大切だ」という日高さんの言葉にとても共感しました。
確かに、ただ無難にこなしていくだけでは自分の必要性を実感できないし、本当によい仕事ができるはずがないですよね。
言い訳ができてしまう環境はつくらない
自分がやるべき仕事に対して、「なんで今これをやっているんだっけ?」と疑問に思ったり、「何のためにやるのか分からないけど、決まりだからやっている」という主体性を失ったりした状態になることがあるかもしれません。
こうした状態は、先ほど述べた当事者意識の薄れでもあるわけですが、この状態ではモチベーションも上がらずパフォーマンスは低下する一方でしょう。
これには
- 言われたことを全てその通りにやる
- 納得いかないことは全て説明を求める
のどちらかの方法しかないと日高さんはいいます。どちらをとるにしても、重要なのは「言い訳のない状態で、全力で目の前の仕事をやる」ということ。
言い訳ができてしまう環境や逃げの選択がある場面では、心から納得するものは得られないといいます。
これは仕事に限らず、普段の生活でも意識すべきであると感じました。誰かのせいにしたり自分を甘やかしたりする前に、目の前の仕事に全力で向き合い、きちんと当事者意識をもって取り組むことを心掛けたいです。
以上、厳選した3つのコラムを紹介させていただきました。
本書は、組織で働く方々に向けた本ですが、学校や家庭など身の回りの「社会そのもの」を生きる上で、誰が読んでも気づきが得られる内容だと思います。
本書のタイトルにある「毒」とは、緊張をもたらす刺激となる「高い目標」や「意見のぶつけ合い」のことです。自分を鼓舞する毒薬は、成長するためになくてはならないエッセンスといえるでしょう。