シリコンバレー企業が強い秘密!「プラットフォーム」ビジネスのポイントとは?

シリコンバレー企業が強い秘密!「プラットフォーム」ビジネスのポイントとは?




 Google、Facebook、Apple、Amazon、Microsoftといった世界の時価総額ランキング上位を占める企業たち。このような超・強豪企業のビジネスに共通しているのが「プラットフォーム」モデルです。

 今回は、プラットフォームビジネスについて紹介した本、『プラットフォーム革命――経済を支配するビジネスモデルはどう機能し、どう作られるのか』の中から、

  • なぜ、プラットフォームは強いのか?
  • 強いプラットフォーム作りに必要なポイントとは?

 についてご紹介します。



そもそもどんなモデル?

 簡単にプラットフォームモデルの説明をしましょう。「プラットフォーム」とは、消費者(ユーザー)とプロデューサー(価値を生む人)との間での価値交換を円滑化するビジネスモデルのことです。

 たとえば、「Airbnb」では「家を借りたい人(消費者)と貸したい人(プロデューサー)」のマッチングをしており、乗車サービスの「Uber」では、「車に乗って移動したい人(消費者)と車の空きスペースで人を運んでお金を稼ぎたい人(プロデューサー)」を結びつけていますね。

 これらの企業のように、消費者とプロデューサーの価値交換を自動マッチングやレビュー機能などを用いて円滑化し、何らかの収入を得ているビジネスがプラットフォームモデルです。収益方法は取引手数料や広告など、プラットフォームによりさまざまです。

 では、なぜこういったプラットフォーム企業が世界の時価総額トップを占めるのでしょうか。

なぜ、プラットフォームモデルは強いのか

 今回は本書の中から3つをピックアップしてご紹介します。

  1. ネットワーク効果による指数関数的成長
  2. 限界費用0モデル
  3. 個人のファン化によるプラットフォームの強化

 一つずつ説明していきましょう。

①ネットワーク効果による指数関数的成長

 「モノを作って、売る」、「サービスの契約数を増やして稼ぐ」といったよくあるビジネスモデルと異なる点がこれでしょう。

 一般的なビジネスモデルでは、自分が提供したものに相応する対価をもらうのに対し、プラットフォームでは(ネットワーク効果によって)指数関数的に価値交換量が増えていきます。

 この点について、筆者は次のように説明しています。

 プラットフォームに新しいユーザーが加わると、そのユーザーはたった一つの関係ではなく、そのプラットフォームですでにいるユーザー全員との関係を構築する。つまりプラットフォームは直線的ではなく、指数関数的に成長する。(p.51)

 たとえば、あるユーザーがAirbnbを始めたとします。そのユーザーは、サービスに満足すると、2回、3回…、と価値交換に参加し、プラットフォームに参加する全員と価値交換をする可能性を持ちます。

 このような原理が一人ひとりに働くので、取引数は指数関数的に成長していき、結果、プラットフォームが成長していくわけです。

②限界費用0モデル

 プラットフォームが成長するにつれて、プラットフォームのコスト構造は最適化されています。

 たとえば、Airbnbは自社では家を抱えず、家の維持にかかる管理費などはプロデューサーに負担してもらっていますよね。また、プロデューサーは社員ではないので、雇用人数(人件費)も少なくて済みます。同じくらいの売上でも、アリババは3.5万人、ウォルマートは200万人と何十倍も違います。

 また、プラットフォームのシステム自体も初期投資を除けば、利益と比較して相対的に低コストで運用可能になります。

③個人のファン化によるプラットフォームの強化

 成功しているプラットフォームをみると、プロデューサーが自分の利益を追求するだけでなく、コミュニティを作って自主的にプラットフォームの改善や支援、防御を行っています。

 たとえば、Uberの競合企業でもあるリフトでは、ドライバー同士のつながりを強化するために、定期的にオフ会を開いているそうです。このようにしてユーザーのコミュニティー意識を高め、ベテランから新人へのベストプラクティス共有につながっています。

 ユーザーのファン化のメリットについては、以下の記事で詳しく説明しています。

 ここまでで、「プラットフォームがなぜ強いのか」を説明しました。でも読者の方が知りたいのは、「どうすれば、プラットフォームを自分たちの活動に利用できるのか」ですよね。

 ここからは、強いプラットフォームを構築するために必要な要素をまとめていきます。



コア取引と4つの機能が必要

コア取引

 プラットフォームには、集まった人が相互に価値交換する設計が必要です。なぜなら、それがないと「人が集まっているだけ」で終わってしまうからです。ここで設計する、「消費者とプロデューサーが価値交換のためにしなければならない一連の行動」を「コア取引」といいます。

 どんなプラットフォームにも、

  1. (プロデューサーが)創造する
  2. (プロデューサーと消費者を)結びつける
  3. (価値を)消費する
  4. (消費者が)対価を支払う

 という4つの基本ステップが必要です。

 たとえばメルカリでは、①売りたい人が出品。②買いたい人が検索を通して見つける。③条件に満足すれば、購入。④商品が届いたら確認し、売った人に対価が支払われる。という流れになっていますね。

4つの機能

 コア取引が設計できたら、次に必要なのはそれを円滑化するための仕組みやサービスの開発、そしてルールや基準の設定です。本書では「4つの機能」に分けて解説しています。

  • ⅰ オーディエンス構築
  • ⅱ マッチメーキング
  • ⅲ 中核的ツールとサービスの提供
  • ⅳ ルールと基準の設定

 ⅰに関しては、そもそもプラットフォーム(メルカリ)に価値を提供する人(出品する人)がいないと消費者(買いたい人)が集まらないので、双方を一定以上(本書でいう、クリティカルマス)獲得する必要があります。

 ⅱは、正しい消費者とプロデューサーを結びつけて、取引を円滑にすることです。ユーザーの数が多くなればなるほど、マッチングコストがかかりミスマッチが起こりやすくなります。メルカリでは、アプリを立ち上げた最初の画面におすすめ一覧が表示されます。これにより、ユーザーが興味のある商品を探す手間が省けますね。

 ⅲは、ユーザーの取引費用を下げ、かつ参入障壁を取り除き、コア取引を支援するツールとサービスをつくることです。気に入った販売員の「フォロー機能」や、「大型らくらくメルカリ便」、ライブ配信での商品販売機能「メルカリチャネル」などなどのより取引を円滑化するための機能が提供されていますね。

 ⅳは、禁止事項や行動規範などのガイドラインです。メルカリでは、マネーロンダリングにつながる理由から現金出金を禁止しています。

次のプラットフォームはどこに

 本書を読むと、「世界を牛耳るプラットフォーム企業がなぜ強いのか」、「どれだけシステムが作り込まれているのか」がよくわかり、今まで使っていたサービスの見方が変わってきます。

 他にも「プラットフォームの失敗分析」や「次のプラットフォームを見つけるコツ」なども書かれているので、起業家志望や企業の経営者、新規事業担当者など、プラットフォームビジネスを実際に立ち上げようと考ている人はぜひ読んでみてください。

 私も紹介されているコツを参考に、プラットフォームモデルを考えてみたいと思います!






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