こんにちは、大関です。
『広辞苑』が10年ぶりに改訂されたことが話題になりました。言葉は生き物です。時代に合わせて新しい言葉が生み出されたり、古い言葉が淘汰されていったりします。
しかし時代が移り変わっても変わらない言葉はありますし、知らなかったで済まないものや、意味を間違えて恥をかいたりする言葉もあります。
また言葉を知らなければ自分の伝えたいことを伝えることも、相手が言いたいことを理解することも困難です。そう、語彙力はコミュニケーションの根源なのです。
書評を書くようになって気づいたのは、自分の語彙力のなさ、言語表現のバリエーションの少なさでした。言葉の使い方や伝え方が間違っていたら致命的! ということで、語彙力を身につけるために『大人の語彙力大全』を読んでみることにしました。
著者は明治大学文学部教授の齋藤孝さん。ベストセラー『声に出して読みたい日本語』をはじめとする著書の執筆に加え、バラエティやニュース番組のコメンテーターとしても活躍されています。
本書では、以下のように章分けして語彙が紹介されています。
一般語彙
- 1章 基本語
- 2章 敬語
- 3章 言い訳
カタカナ語彙
- 4章 頻出語
- 5章 ビジネス語
上級語彙
- 6章 漱石語
この本一冊持っていれば、社会人の語彙力、常識力としては十分です。
齋藤さんがこうおっしゃるだけあって、本書には社会人にとって必要十分な語彙が収録されています。
ここでは、本書の中から僕がこれまで間違って理解していた語彙を4つご紹介したいと思います。
1.「遺憾」
遺憾は「思い通りでなく残念なこと」という意味です。よく使われているけれど、間違って理解していました。「遺憾に思う」には「申し訳なく思っている」という意味が含まれると思っていたのです。
しかし「遺憾」という言葉自体に「謝る」という意味はなく、自分の責任を回避する言い回しである一方、相手を非難する意味合いを持つ言葉なのです。
「遺憾に思う」というと、どこか他人事のような雰囲気を醸し出してしまいますので、謝罪の場面で使ってしまうと全く反省していないように思われてしまうといいます。
○使用例
- 誠に遺憾ながら、出席できません。
- 今回のできごとにつきましては誠に遺憾です。
×間違った例
- 極めて残念で遺憾なことだ。
2.「やぶさかでない」
「やぶさか」とは「もの惜しみする」という意味なので、否定を意味する「〜ない」と合わさって「それをする努力を惜しまない」となります。「仕方なくする」といった意味だと間違って覚えていました。
また「すすんで〜する」というよりも、「〜してもいいですが」というニュアンスが強いと紹介されています。使う場面には注意が必要ですね。
○使用例
- この事業に協力するにやぶさかでない。
×間違った例
- 頼まれた仕事をするのは、やぶさかでない。
3.「時宜を得る(じぎをえる)」
「よい時期をとらえる。タイミングがよいこと」という意味の言葉です。読みは「じぎ」であって、「じき」ではありません。
そのため「時期を得る」や「時機を得る」は誤用だそうです。
○使用例
- 今回の企画は時宜を得ている。
×間違った例
- 時期を得る。
- 時機を得る。
4.「杜撰(ずさん)」
「間違いが多く、いい加減なこと」という意味です。
「杜撰な管理」のように「物事」がいい加減な場合に使う言葉であって、「杜撰な人」という使い方はしないようです。
○使用例
- ○○社の杜撰な管理体制が明らかになった。
×間違った例
- 彼は杜撰だ。
- 杜撰な人。
ここで紹介した語彙はほんの一部です。
「社会人として、仕事人として不安を持たれるようなマイナス要因を払拭するためには、まずは語彙力です」とは著者の言葉。
あなたの語彙力をレベルアップさせてくれる本です。大人の語彙力を身につけましょう。