こんにちは。ノイエです。
今回は、現役東大生である西岡壱成さんの『東大読書』を読んでみました。
大の読書好きで、暇さえあれば本を読んでいるわたしですが、読んだ内容がきちんと身になっているかどうかわからず、果たして、今の読み方のままで良いのだろうか? と疑問が湧いたことが、本書を手に取ったきっかけです。
読んでみると、「装丁読み」「取材読み」「推測読み」「検証読み」「パラレル読み」など、全部で9種類ものユニークな読み方が提案されています。
個人的に、本を2冊同時に読むことの効用について以前から気になっていたので、この点について触れられている「検証読み」の章に焦点を当ててご紹介したいと思います。
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「検証読み」で多面的なモノの見方を
身につける
多くの人は、本を読むとき「1冊読み終わってから次の本を読み始める」という読み方をしていると思います。
しかし西岡さんは「同時並行で複数の本を読む」方が、「1冊の本からより多くのインプットを得られる」として、この読み方を「検証読み」と名付けています。
なぜ同時並行で読んだ方がよいのでしょうか。それには3つの理由があります。
①「意見の偏り」を避けることができる。
本というのは、基本的に1人の著者によって執筆されており、1人の著者が、その人の言葉で、その人なりの意見を述べています。
それはあくまで「1人」の意見であり、その意見だけを無批判にインプットしていると、どうしても偏りが生じてしまいます。
人の数だけの正しさがあって、人の数だけ意見がある。だからこそ、同時に複数の本を読む「検証読み」をすることで意見の偏りを避けることができるのです。
②「受け身の読書」を避けられる。
本の内容を「なるほど、それが正しいんだな」とただ受け入れるだけだと、なかなか考える力が身につかず、「得た情報を自分なりに使いこなす」ということができるようになりません。
「本当かな?」「他の本ではどう言っているんだろう?」と一歩引いて、客観的な目線を持ちつつインプットすること、つまり「主体的な読書」をすることで、自分が使いこなせる知識になるのです。
本書では、次のような例で説明されています。
「ヒトラーは悪だ!」という本と「一概にヒトラーだけを悪者にするのは良くない!」という本を同時に読むことで、「ヒトラーのやったことは紛れもなく悪だけど、歴史的な背景を考えると、たしかに一概に『ヒトラーは悪だ』と言えない部分もあるかもしれない」と、より深く、そして客観的にヒトラーや歴史のことを学べますし、考えるきっかけにもなるのです。(P.145)
受け身の読み方をやめて、複数の本を客観的な視点で読み進めることで、多面的な「使える」知識をインプットし、考える力をつけることができるのだといいます。
③同時に読んだ方が記憶に残りやすい。
もう一つの理由として、本は複数冊を同時に読んだ方が、人間の記憶に残りやすいという点が挙げられています。
そのロジックは以下の通りです。
- 人間は、一日経つと7割以上を忘れてしまう。
- でも、復習して何度も見直すと覚えられるようになる。
- その復習は「新しい角度からの復習」のほうが効果がある。
「1冊読んでから次の本」という読み方では、2冊目を読む頃には1冊目のことをほとんど忘れてしまい、「検証読み」による効果が得づらくなってしまいます。
しかし複数の本を同時に読み進めるようにすれば、同じ情報が別の文脈で語られているケースに遭遇するため、「新しい角度からの復習」をしている効果が得られます。同じ情報をさまざまな角度や視点から何回も目にすると、脳が重要だと捉えて長期記憶記憶に残りやすくなるそうです。
さて、では具体的にどのように「検証読み」をすればよいのでしょうか。それが「パラレル読み」と「クロス読み」です。
「パラレル読み」で客観的で多面的な
思考力が身につく
「検証読み」をさらに発展させたのが「パラレル読み」です。西岡さんは「パラレル読み」をすることで、偏りなく複合的に、さまざまなことを考えながら読むことができるようになると言います。
以下、「パラレル読み」の具体的な手順についてご紹介します。
パラレル読みの手順
①関連性のある2冊の本を選ぶ。
「共通する部分が多い」「でもちょっと違う」本を2冊選ぶ。
②選んだ本を、なるべく同じスピードで読み進めていく。
1冊の本を1章分読み終わったら、もう1冊の本の1章分読み進めたり、読んでいてわからないことが出てきたときや飽きてきたときに、もう1冊の本に移って読み進めたりする。
③2冊にはどんな共通点があって、どんな違いがあるのかを考えてみる。
まったく同一の本でない以上、「共通点」もあれば「相違点」もあるはずなので、それを探していく。
④思いついた共通点と相違点を、付箋に書いて貼っていく。
「共通点」と「相違点」を付箋に1枚ずつに書いて貼っていく。「共通点の付箋の色」と「相違点の付箋の色」を分けておくのがオススメ。また相違点は必ずペアで書き、「①」や「②」という風に同じ数字を振っておく。
⑤読み終わった後に相違点の付箋を見直して、1つひとつ「検証」していく。
「どうして両者の主張が食い違っているんだろう?」「なんで意見が分かれているんだろう?」と問い、自分の中で結論を出してみる。その結論が正しいかどうかは気にせずOK。自分の中で1つの「結論」を出そうと考えてみる行為、それ自体に意味がある。
実際に「パラレル読み」をしてみると、同じ分野の話なのに、相違点がたくさんあることに気がつくはずだと西岡さんはいいます。同じことについて語る本でも、著者によって考え方や受け取り方、語り口が全然違うからです。
「パラレル読み」によって「共通点」と「相違点」を探し、最後に「相違点の理由」を考えることで、「多面的な思考力」が鍛えられるのです。
まとめ
今回は、「検証読み」の中の「パラレル読み」の部分を切り取ってご紹介しました。
本書では、「パラレル読み」の応用編である「クロス読み」についても解説されています。「クロス読み」では、「パラレル読み」以上に「相違点」をはっきりさせ、「意見と意見が交錯するところ」をとらえて、「2つの意見がどう異なっているのか」「議論が分かれる点はどこなのか」を考え、理解することを目指します。
この記事を読んで、「検証読み」「パラレル読み」「クロス読み」をはじめとした、「東大生の本の読み方」に興味を持った方は、ぜひ本書を手に取ってみてください。
冒頭でもお伝えしたように、西岡さん独自のバラエティに富んだ読書ノウハウがこの本には詰まっています。
わたしは面白いと思う著者の本を連続して読む癖があるため、今後は関連性のあるテーマの別の著者の本を「検証読み」して、意見の偏りを避ける客観的な読書をしたいと思いました。
ご自身の読書法のバリエーションを増やしたい方はぜひご一読ください。
「取材読み」について知りたい方は、こちらの記事をチェック!