サブスクリプション・ビジネス成功のポイントとは?

サブスクリプション・ビジネス成功のポイントとは?




 近年、スマホの普及に伴い、膨大な量のコンテンツが世の中に溢れ、人々の消費行動に変化が生まれています。

 以前の消費といえば「モノに対して対価を払う」といった「モノの消費」でした。高価な服やバッグ、靴などが手元にあることが豊かさの証明となり、物質的な豊かさがそのまま心の豊かさと結びつきました。

 しかし「モノ」が満ち足りている今、人々は「物質的な豊かさ」から「体験としての楽しさ」を求めるように移り変わってきました。「モノ消費」から「コト消費」への移行です。「モノ」はあって当たり前で、その上で、どのくらい「サービス」という付加価値を得られるのかということが重視されるようになっているのです。

 たとえば、会員制スーパーのコストコに行くとき、「2時間いたけれども買った商品は1点のみだった」ということはありませんか? 消費者はコストコに行くとき、「欲しいモノを安く大量に手に入れる」だけが目的なのではなく、「海外で買い物しているような楽しさ」や「何か自分の知らないような商品を見つけるワクワク感」といった「消費までのストーリー」を求めているのです。

 この「消費体験」は、モノそのものの価値だけではない「付加価値」と言い換えることができます。コストコは、安く商品が手に入るだけじゃない「楽しさ」「ワクワク感」という付加価値があるからこそ、会員制スーパーとして成功しているのです。

 こうした消費行動の変化の中、今注目を集めているのがサブスクリプション型のサービスです。

 サブスクリプションとは、「定期購入」「定額制」「会費制」「ストックビジネス」などと呼ばれ、毎月一定額の料金を払うことで商品を手に入れたり、サービスを継続的に利用したりすることができるビジネスを指します。

 今回は、サブスクリプション・ビジネスのポイントについてご紹介します。



サブスクリプション4つのモデル

 サブスクリプションモデルは、大きく4つに分類することができます。

①定期購入モデル

 特定の商材を販売するモデルです。定期購入の商品やウォーターサーバーはこのモデルにあたり、日常的に使用するものや習慣性の高い商材が適しているモデルです。

 まとめ買いと同じように、大量に購入してくれる消費者には価格を下げることが可能なので、顧客はより安価な値段で商品を手に入れることができます。

②頒布会モデル

 事業者側がコース設定を行い、毎回異なる商材を販売するモデルです。ワインやコーヒーのように多くの銘柄や品種がある嗜好品には、「どれを選べばいいかわからない」という顧客ニーズがあり、頒布会モデルはこれに応えているのです。

 このモデルは「新しい商品と出会う機会」を付加価値として提供しており、普段使わないけれども「挑戦してみたら意外と良かった」と思えるような商品が入っているコスメボックスや、旬な野菜・果物が献立と一緒に送られてくる詰め合わせボックスなども当てはまります。

 企業としても在庫の組み合わせに融通がきかせることができる分、在庫・売上計画を立てやすくなるというメリットがあります。

③会員制モデル

 サービスやコンテンツを利用する権利を貸与するモデルです。Amazonプライム会員やNetflix、Microsoft Office 365 もこのモデルにあたります。サブスクリプションと言われると、このモデルをイメージしやすいかもしれません。会員制モデルは非常に幅が広く、レンタル/シェアリング系、デジタルコンテンツ系、SaaS系、実店舗系とさらに細かく分類されます。

 レンタル系は洋服やDVD、車までもレンタルし放題、あるいはシェアリングサービスを提供しています。デジタルコンテンツ系やSaaS系は、上述の映像系サービスやfreee、マネーフォワードなどソフトウェアサービス、実店舗系はエステや脱毛サロン、ヨガやジム、最近では会員制の飲食店などが挙げられます。

 会員を募ることで顧客は大きなサービスを低価格で利用することができます。

④レコメンドモデル

 顧客一人ひとりの嗜好や状況に合わせて、専門家が商品やサービスを提案(レコメンド)したり提供したりするモデルです。

 たとえば「どんな洋服が自分に似合うのかわからない」という方に対してスタイリストがその人にあった洋服を提案するといったサービスが該当します。衣類の他にも、食品など顧客の嗜好や個人の特性に左右されるものが商材となります。

 このモデルは、顧客に対して「特別感」という付加価値を感じてもらうことで、他社に比べ圧倒的な顧客ロイヤリティを獲得することができます。

 尚、サブスクリプションにおいて、取り扱う商品・取り巻く環境は非常に重要です。たとえば海外では、日用品が定期的に届く「サブスクリプションボックス」というサービスが人気です。しかしこれを日本で実現しようとしても、恐らくうまくいかないでしょう。日本は、アメリカのように広大でスーパーが家から何十キロも離れているということはまずないですし、何か必要なものがあればコンビニで買おう、となるからです。定期的に商品が家に届くというだけでは、価値感じる人は少ないのではないでしょうか。

 取り扱う商品や付加価値を考えるだけでなく、ビジネス環境に配慮して適切なモデルを選定することが重要となります。

サブスクリプション成功の鉄則

 さて、ここまででサブスクリプションにおいて付加価値が重要である、ということはご理解いただけたかと思います。では、その付加価値はどうやったら作り出せるのでしょうか。

 今からサブスクリプションビジネスを実践したい!という方向けに、でサブスクリプションビジネス成功のための3つのポイントと考え方をお教えいたします。

サブスクリプション成功の3つのポイント

 「O=お得」「N=悩み解決」「B=便利」の3つ、略してONB(オンブ)。サブスクリプションビジネス成功のためには、この3つの特徴のどれかを押さえている必要があります。

 「O=お得に買い物ができる」ことは、顧客にとって強い価値となります。ただ顧客によっては、価値を感じることができれば高い金額を支払う人もいるため、「何がお得なのか」は顧客によって異なります。

 「通常2つしか買えない価格で3つ分買える」をお得に感じる人もいれば、「月会費10万円の会員制バーでドリンク飲み放題」をお得と感じる人もいるかもしれません。後者は、お酒をたくさん飲む人や「会員制」という一部のハイレベルな人たちとのコミュニティへの参加資格、それがビジネスに発展する可能性を考える人にとっては高い金額ではないとも考えられます。

 「N=お悩み解決」は「ダイエットがなかなか続けられない」「デートの食事選びで失敗したくないが知っているお店がない」という課題を持っている方に対してアプローチをしていく場合です。やはりここでも「では、どういった属性の方がダイエットをしたいと思い、どういった要因で続けられないのか」をはっきりさせなければなりません。

 また現代は便利になりすぎていて、ちょっとした不便さを感じるだけでも消費者が不満を募らせるシーンが多くなっています。「簡単に手続きができる」「口に出さなくても自分の好みを把握してくれる」といった「B=便利さ」はサブスクリプションを成功させる秘訣となります。

サブスクリプション成功の考え方

 サブスクリプション成功のためには、「ターゲットの選定」を念入りに行う必要があります。誰に向けて提供するかによって、サービス内容はもちろん、求められる付加価値や適正金額は変わってくるからです。

 それにはまず、あなたのビジネスにおいて何度も商品を購入してくれる「VIP顧客」はどんな人かを考えなければなりません。

 3回目の壁という言葉をお存知でしょうか。「3回利用してくれた人は次も必ず利用してくれる」という考え方です。逆に言うと、2回利用してくれていてもそれは偶然で、3回目は他社にとられてしまう可能性が十二分にあるということです。

 たとえば、美容院を想像してみてください。3回通った美容院がある場合、1回目は恐る恐る、2回目は1回目に「良いな」と感じた「サービスが確かなものなのか」の確認、そしてその2回の門をクリアすることができれば、よっぽどのことが無い限り3回目、4回目と通い続けると思います。

 「VIP顧客」=「3回以上商品を購入してくれる人」が、なぜあなたのサービスを繰り返し使ってくれるのか、使ってくれる人はどんな人のなのかを選定していくことで、お客さんが求めている価値がだんだんと見えてくるはずです。

まとめ

 サブスクリプションは、消費者にとってのみメリットがあるものではありません。企業は顧客との継続的なつながりによって、顧客の反応を見てサービスの改善を重ねていくことができますし、安定的な収益の獲得により事業の見通しが立ちやすくなります。すると新たなチャレンジ・投資に資金を回しやすくなり、顧客の意見を反映させやすい環境が整っていきます。

 つまりサブスクリプションモデルは、顧客は利便性や新たな体験を得ることができ、企業は収益基盤が安定して経営の見通しが立ちやすくなり、社員も潤い、企業に投資している投資家も潤う。顧客・企業・社員・投資家にとって「Win-Win-Win-Win」の理想的なビジネスモデルと言えるのです。

 サブスクリプションビジネスにおいて、何よりも大事なことは「お客様と向き合い続ける」ことです。自社のサービスについて自信をもってお客さんに勧められますか? 利益ばかりを優先させて品質はそれなりに、という姿勢では顧客はついてきてくれません。

 サブスクリプションビジネスは唯一、顧客の声を継続的に・直接聞くことができるビジネスです。もし、サブスクリプションがうまくいっていないとしたら、どこかのWinが抜けているのではないでしょうか。

 顧客の声を反映させながら、全方位が「Win」となるビジネスモデルを構築することができれば、サブスクリプションビジネスの成功に近づくことができるでしょう。




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