会議やミーティングでの発言をはじめ、報告、連絡、相談、交渉、営業、プレゼンテーション等々、ビジネスパーソンであれば、多かれ少なかれ仕事中に「話す」や「書く」というアウトプットが求められます。
このようなアウトプットの場で「ダラダラ話」や「先の見えない話」「支離滅裂な話」をしてしまう人ほど、仕事効率や生産性が低い傾向にあります。相手の時間を奪うことになるため、周囲の信頼もなかなか得られません。ミスやトラブルを引き起こすケースも多い。そんな彼ら彼女らの共通点が、実は「要約ベタ」なのです。
『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』は、「要約ベタ」な人を「要約上手」へと導く指南書です。これまで編集者やライターとして大量の情報を処理し、1万人以上に伝え方や書き方の指導をしてきた筆者が、要約プロセスを以下の3ステップで解説しています。
- ステップ1【情報収集】良質な情報を集める
- ステップ2【情報整理】情報をグループ分け+優先順位づけ
- ステップ3【情報伝達】簡潔に相手に伝える
各ステップの精度を高めることによって、最終的なアウトプット(話す・書く)時に、わかりやすい伝え方ができるようになります。
様々なアプローチで良質な情報を収集!
要約プロセスのステップ1は「情報収集」です。食材がなければ料理が作れないのと同様に、情報がなければ、いいアウトプット(要約)はできません。伝え上手になるためには、その前提として情報を手元に集めておく必要があるのです。
以下は主な情報収集アプローチです。
- 人から聞いた話
- 書籍や書類、資料などで読んだもの
- 現場で体験したこと(感じたこと)
- 研修やセミナーなどで勉強したこと
- 新聞や雑誌などのメディア情報
- ウェブサイトやSNS上の情報
世の中は、玉石混淆の超情報化社会です。闇雲に情報を集めるのではなく、信頼できるソース(情報源)から良質な情報を得る意識をもつことが肝心です。集める情報の鮮度や信憑性、正確性などが高いほど、質の高いアウトプットにつながりやすくなります。
グループ分け&優先順位づけで情報整理!
要約プロセスのステップ2は「情報整理」です。要約力が乏しい人の頭の中は「汚部屋」と同じ。情報が雑然としているため、必要なときに必要な情報を取り出すことができません。それは頭の中が未整理状態だからです。
一方、要約力がある人の頭の中は、整理整頓が行き届いた部屋と同じです。情報がわかりやすく整理されているため、どんな状況下でも適切かつスピーディに情報を取り出すことができます。
情報整理のポイントは「グループ分け」と「優先順位づけ」です。たとえば、あなたがオススメするラブロマンス系映画は何ですか? あなたの頭の中で、これまで見た映画のジャンル分け(グループ分け)ができており、なおかつ、その中で優先順位が明確になっていれば、瞬間的に答えることができるはずです。
あなたが普段よくアウトプットするテーマについては、グループ分けと優先順位づけを済ませておきましょう。
「死んでもこれだけは言っておく!」を見つける
あなたが人に何かを伝えるとき、10秒しか時間がないとしたら何を話しますか? あなたが文章を書くとき、100文字しか与えられていないとしたら何を書きますか?
限られた枠の中で伝えられることは、ワンメッセージがいいところです。2つも3つも盛り込もうものなら、その時点で「伝わらない話」「ピントのボケた話」になりかねません。
本書では「要約力とは何か?」の答えとして、「死んでもこれだけは言っておく!」を見つけること────と定義しています。アウトプットするときには、その言葉(ワンメッセージ)を見つけることが何よりも大切です。
もちろん時間や文字数が許されているときは、「死んでもこれだけは言っておく!」を伝えたあとに、その内容を具体的に掘り下げて伝えていきます。このときは、以下の順番(幹→枝→葉)を意識することで、相手が受け取りやすくなります。
- 幹:結論やメッセージ(「死んでもこれだけは言っておく!」)
- 枝:理由や根拠など
- 葉:体験談や事例、方法などの詳細
木を見ればわかるとおり、「葉」は「枝」に、「枝」は「幹」についています。「幹→枝→葉」の流れを意識することは、話を脱線させない工夫でもあるのです。
枝葉から話を始めることが許されているのは、話芸のある芸人さんのエピソードトークや、家族や友人と会話を楽しむ場面くらいなものです。ことビジネスシーンで「幹」のない話をしてしまうと、伝わらない。興味をもたれない。信頼してもらえない、と良いことがひとつもありません。
要約プロセスの3ステップを磨こう!
価値のある情報を持っているにもかかわらず、それが相手に伝わらない。これは自分と相手の双方にとって悲劇と言えるでしょう。仕事の現場であれば、仕事効率の向上は望めず、成果にもつながりにくくなります。何よりも「要約できない人=仕事ができない人」と思われかねません。
断言しますが、「要領を得ないダラダラ話」は小手先のテクニックでごまかせるものではありません。要約プロセスの3ステップ(情報収集→情報整理→情報伝達)の精度を高めていくことが、「伝えベタ」から「伝え上手」へ向かう唯一のチケットとなります。
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