シリコンバレー式「1on1ミーティング」のやり方!部下との時間、とれてますか?

シリコンバレー式「1on1ミーティング」のやり方!部下との時間、とれてますか?




 こんにちは、ひとはです。

 日本では、アメリカで流行っているというと何でも良いものだとして、無条件に受け入れてしまう風土があるように思います。それはビジネスの世界でも同じで、これまで数多くのアメリカ発のビジネス戦略やマネジメント手法が話題となり、実際に取り入れられてきました。

 今回ご紹介する「1on1ミーティング」も、シリコンバレーというアメリカの最先端のIT企業が集まる場所で実践されている人材育成手法です。しかし本を読んでみると、実はかつて日本企業が行ってきたことをアメリカ流にアレンジしたものではないかという思いを強く抱きました。

 最近では、「会社とプライベートは別」と割り切った考え方が浸透し、職場での人間関係が希薄になってきている会社も多いと思います。そしてそれが、日本企業の強みであった「チームワーク」を弱体化させる原因となっているように感じるのです。

 結果として、上司は部下のことを深く理解できず、仕事上の悩みやプライベートな問題にも気づかないまま、ある日突然辞表を提出されて慌ててしまうという事態になりがちです。

 今や労働市場の流動性が高くなり、転職が当たり前の時代になっています。そうした中、人材こそ企業の成長の源泉と考えるアメリカのIT企業が導入しているのが、「1on1ミーティング」なのです。

 日本企業が忘れてしまったことや、過去に置き去ってきてしまったことを取り戻す意味でも、本書は役に立つ一冊と言えるでしょう。



1on1ミーティングとは?

 本書の冒頭に、1on1についての定義が書かれています。

 1on1ミーティングとは上司と部下による1対1の定期的な対話の時間です。一般的な面談との大きな違いは「これは部下のための時間」だということです。

 「部下のための時間」というのは、業務の打ち合わせや人事評価についての面談ではなく、部下との対話を通して信頼関係づくりや不安の解消、心身状態の確認などを行う場であるということです。

 これによって業務を円滑に進められるようになる効果も期待されますが、最も期待されるのは、人材育成に関する効果です。

 もちろん、俺は日頃から部下とちゃんとコミュニケーション取っているよ、と言う上司の方もおられるかもしれません。

 でもそれは、「結果を出すための情報交換」をしているだけではないかと著者は疑問を投げかけます。

 部下が今どんな状態にあって、どんな思いで仕事をしているのか、仕事を進める上で不安なことはないかなど、部下の話をよく聞いて、部下の立場で考えることができているでしょうか。

 1on1では、このように部下一人ひとりの内面的な部分に焦点を当てた対話が、継続的な結果をもたらすと説いています。

 メールやSNSでのコミュニケーションが主流となり、部下の管理や仕事の状況把握に困っている上司の方々にとっても、1on1は悩みを解消する有効な手段となるはずです。



1on1では何の話をすればいいの?

 この本の大きな特徴は、1on1のやり方を具体的かつ詳細に解説している点です。まずは、1on1で話し合うテーマを7つに分類して紹介しています。

  「信頼関係づくり」ステージとして、

  1. プライベート相互理解
  2. 心身の健康チェック
  3. モチベーションアップ
  4. 「成長支援」ステージとして、

  5. 業務・組織課題の改善
  6. 目的設定/評価
  7. 能力開発/キャリア支援
  8. 戦略・方針の伝達

 の計7項目です。

 いきなり「プライベート相互理解」という項目が出て、少々驚いた方もおられるかもしれません。シリコンバレーの手法ですから、個人主義が強く、プライベートなことは話題にしないのではと思いがちですよね。

 1on1では、プライベートな会話をすることで雑談的な要素を持たせ、場を柔らかい雰囲気にする効果を狙っているのです。

 そしてプライベートのことをどれだけ話せるかが、信頼のバロメーターになるとも言っています。

 もちろんプライベートなことを根掘り葉掘り聞けばいいわけではありません。本書には、具体的にどのような話をすればよいのか、例を挙げて解説されているのでとても参考になります。

 また「部下について、仕事以外のことをどれだけ知っているのか」を診断するチェックテストも付いており、信頼関係が深まるにつれ、どのように話題を広げていけばよいのかも分かるようになっています。

1on1を始めてみよう

 会社の人事部や上司からの指示であれば、新しいことを始めるのにそれほど抵抗はないかもしれません。

 しかし自ら1on1という新しいマネジメント手法を始めるのは、経験ある管理者としても躊躇してしまうのではないでしょうか。

 心配無用。この本では、1on1の始め方、そして進め方まで具体例を示しながら微に入り細に渡って解説してくれています。しかも30分の1on1でどのようなことを話せばよいか、時間配分も示しながら解説している念の入れようです。

 さあ、この本をお手本にして、あなたも1on1を始めてみませんか。実は書評子が勤務している会社でも、以前から1on1を行っています。

 やり方は部署によってまちまちで、半年に一回だったり、毎月実施していたりする管理者もいます。実際にやってみて一番良いと感じるのは、部下たちと気楽に話ができるところではないかと思います。

 どうしても仕事の話が多くなりがちですが、普段はなかなか話せないような一歩踏み込んだような話も、1on1という時間と場所が設定されることでしやすくなっていると感じます。

 1on1は、社員旅行や会社の運動会とは全く異なる手法ですが、職場の上司と部下がお互いを理解し合い、信頼関係を築くにはとても良い手法だと思います。そしてそれが、組織全体の力を高めることにつながります。

 本書はシリコンバレー式の1on1について、その意義や効果から具体的なやり方まで親切丁寧に書かれていますので、1on1の基本書としておすすめの一冊です。

 各企業や組織の実情に合わせてアレンジしていくことで、大きな改善効果を生み出すことができるでしょう。






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ひとは
会社勤めの中で開発から管理から国際ビジネスまで、随分と長い道のりを歩いてきました。 その間、本から得た知識や教えが支えてくれたのは間違いありません。

だけど本当は純文学が大好き!ビジネス書も奥深い名著を紹介したいと思っています。




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