終身雇用が前提だった日本でも、いまや2人に1人が転職を経験する時代となりました。
そうした中、昨年話題となった「GAFA(Google・Apple・Facebook・Amazon)」をはじめとする外資系企業への関心が高まっており、転職先の選択肢として「外資系企業」を志望する人が増えてきているようです。
一方で、「高度な英語力が必要なのでは?」「すぐクビになってしまうかも…」といったイメージを抱き、外資系企業への転職を尻込みしてしまう人も少なくないようです。
たしかに、履歴書は英文で書くことがほとんどで、人事担当者が面接で注目するポイントなども日本企業の転職とは求められる考え方やノウハウが異なります。
しかしそれが原因で一歩踏み出せずにいるとしたらもったいないことでしょう。
そこで今回は、会社員時代に累計1万人以上の採用面接をおこない、現在はグローバル・キャリア・カウンセラーとして活躍中の鈴木美加子氏による初の著書『やっぱり外資系! がいい人の必勝転職AtoZ』から、「どういった人材が、外資系で活躍できるのか」という点をはじめ、外資系企業へ転職するためのノウハウを紹介します。
外資系への転職を考えている方は、自分が外資系に向いているのかどうかを見極める参考にしてみてください。
「編集者の寄稿企画」とは?
外資系企業で活躍する人の「3つの共通点」
外資系企業で活躍している人というのは、どのような人なのでしょうか? 彼らには、いくつかの共通点があると鈴木氏はいいます。
まず、「自立心」があること。日本は素直で上に従順、忠実であることが評価されますが、ほかの国(とくに欧米)ではこの「自立心」を重要視します。
「自立心」があるというのは、たとえば次のようなタイプの人です。
- わからないことをすぐ誰かに聞くのではなく、まず自分で調べる
- 社内プロジェクトなど、やりたい仕事があることを上司に上手に伝えられる
- キャリア形成の責任は自分にあると認識し、社内外の研修で自分の成長を助けるものに、積極的に手を挙げる
また、外資系企業で「謙遜」は、好まれません。「能ある鷹は爪を隠す」といいますが、爪を持っていることをしっかりアピールできる人のほうが評価されます。
外資系で求められるのは、「YES / NO をはっきり言える」「自分の意見を相手に伝えられる」人です。もちろん、外資系であっても日本人が圧倒的に多い職場の場合、率直な物言いや「YES / NO」での発言をすると角が立ってしまう可能性があるので、相手の状況を見ながら伝え方を変えるなど、多少調整する必要があります。
しかし、基本的に自分の意見を持ち、それを言葉にする力がないと、評価されづらくなり損をすることになるかもしれません。
さらに、外資系企業では、まんべんなく普通の仕事ができるジェネラリストよりも、専門性の高い「スペシャリスト」が求められるといいます。
そもそも、外資系は人材をジェネラリストに育てるべく異動させる習慣がないので、育成されるのは自然とスペシャリストばかりになります。広く浅く仕事ができる人よりも、特定の専門分野の能力が高いスペシャリストのほうが市場価値は高いということです。
採用担当者から好印象な英文履歴書の作り方とは
外資系企業にチャレンジすることを決めたら、まず準備しなければならないのが英文履歴書です。鈴木氏によると、英文履歴書は基本的に、自分をアピールするツールなので、「盛る」ことはかなり許容されるといいます。
ただし、嘘をつかないことは大切です。たとえば、プロジェクト・コーディネーターとしての経験について書く場合、実際には3つのプロジェクトしか手がけていないのに “ many projects(たくさんのプロジェクト) ”と書くのはNGです。
経験のある採用担当者であれば、面接時に「“many”と書いてありますが、具体的に数字にするとどうなりますか?」と深掘りの質問をする可能性が高いからです。
また、この本によると、履歴書に自分の実績を書くときは、具体的な数字を挙げるのが良いといいます。たとえば、ITのヘルプデスクの仕事をしているなら、1年あたり何人くらいをサポートしているか、何年で何件くらいを扱ってきたかなど、数字でわかることが望ましいでしょう。
とくに、セールスのように売り上げに直接寄与する部署にいるなら、「2016年のノルマ4500万円、達成率105%、2017年のノルマ5000万円、達成率111%、2018 年のノルマ5100万円、達成率108%」といったように必ず数字を挙げましょう。これが書けないと、ノルマを達成できていないのかと誤解されてしまうことがあります。マーケティングの部署であれば、これまで手がけたイベント数や、セールスに寄与した活動で数字になるものを、前面に押し出して書きます。
最後に、こまかい点ではありますが、英文履歴書で使用するのに適しているフォントは決まっています。一般的に、「Times New Roman」または「Arial」という書体が好んで使われます。 これら以外の書体を使っても問題ありませんが、あまり突飛なものは使わないようにしましょう。
さらに、2次面接では、1次面接よりも面接官の年齢層が上がる傾向にあるといいます。面接官の多くは老眼であることに配慮して、文字サイズは「11pt」がお勧めだそう。10pt 以下だと、担当者が拡大コピーをすることになり、手間がかかってしまうため、喜ばれません。
このように、ただ必要書類として提出するのではなく、相手にとって読みやすい書類になるよう配慮できているかどうかも重要なポイントになってくるでしょう。
採用担当者が面接でチェックしているポイントとは書類選考を通過したらいざ面接です!外資系企業の面接ではどのような点をチェックされるのでしょうか。
採用面接で人事担当者(面接官)がどの点を見るかは、企業によって違います。しかし、ここだけはどんな企業も見ている!という共通ポイントが1 つあると鈴木氏はいいます。それは、「感じの悪い人は採用したくない」ということです。
企業としては、能力やスキル、自立心などももちろん気になりますが、それ以前に、同じ職場の仲間として一緒に働ける人なのかを見ます。外資系は個人主義かつ成果主義とはいえ、チームプレーが求められる場面も多いのです。第一印象で「暗い」「上から目線」「一匹狼タイプ」と誤解されないように、最初に名乗る際、1 回でいいので笑顔が出せると、だいぶ印象が違うでしょう。
また、鈴木氏は外資系の面接のポイントとして、アイコンタクトを意識することを挙げています。面接でのやりとりが日本語であれ英語であれ、相手の「目」を見て会話するのがよいでしょう。日本の就職指導や新入社員研修では、「人と話すときは、3割は相手の目を見て、残り7 割は相手の喉あたりを見て視線を外しましょう」と指導されることもあると聞きます。一方、外資系では、日本人同士でもアイコンタクトを取るのが当たり前なので、目を見ずに会話する方には違和感を覚えます。採用担当者に「英語でのコミュニケーションに慣れていない」と思われては不利なので、アイコンタクトに慣れていない方は、相手の目を見て会話する練習をして、面接に臨んでください。
最後に、面接が英語でおこなわれる場合、相槌の回数は多すぎないように注意しましょう。日本語での会話における相槌は、「共感(=あなたの話を聞いています)」を意味しますが、英会話における相槌は、「同意(=あなたの話に賛成します)」を意味します。つまり、英会話に慣れている人が頻繁にうなずくことは、ほぼありません。面接中にうなずく回数が多いと、相手から「英語に慣れていない」と思われてしまう可能性があるので、意識してみてください。
まとめ
外資系企業への転職でおさえるべきポイントは、しっかりと企業分析と自己分析を行えば、自身に合った職場に巡り合えるはずです。
もし行きたい会社が外資系だったとしても、「あそこは外資系企業だから…」と気負わず、ぜひ本書のノウハウを活用してチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
(Written by Publisher’s editor)