まもなくGoogleは衰退する!?『グーグルが消える日 Life after Google』

まもなくGoogleは衰退する!?『グーグルが消える日 Life after Google』




 こんにちは、山本淳太です。今回、紹介する本は『グーグルが消える日 Life after Google』です。

 私たちはグーグルが築いた世界で生きています。検索、画像、アイコン、動画、信条、ネット社会を支配するグーグルは資金も権力もすべて牛耳り、単なる一企業ではなく、「世界システム」になりました。

 そもそも、グーグルが築いた世界システムとは何なのでしょうか。そして将来、その世界システムはどうなるのでしょうか。

 題名には、「グーグルが消える日」とありますが、本書はグーグルという企業が消えることを予言しているわけではありません。著者も、この先10年間、グーグルは重要な企業であるだろうと認めており、検索は価値あるサービスとして提供されるだろうと予想しています。

 一方で、グーグルのもたらしたビジネスの仕組み、考え方が、今後崩壊するだろうと予測しています。

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グーグルが築いた世界システムとは?

 本書でいう「世界システム」とは、社会の技術や制度に浸透し、その文化を特徴づける様々なものを意味します。

 以下、グーグルの築いた世界システムを2つ紹介します。

①ビッグデータによって、データを蓄積し、データ分析する仕組み

 グーグルは、十分なデータと十分な処理能力で、何が私たちを満たすのかを、私たち以上に知ることが、成功への道筋だと考えています。

②サービスを無料で提供する仕組み

 グーグルは売上の95%以上が検索エンジンにおける広告収入です。グーグルは価格がゼロの戦略の将来について、限界費用ゼロの社会を目指しています。

 つまり、検索やソフトウェア、エネルギーなど、財やサービスを追加で生み出す費用がゼロになる社会ということです。

 世界のあらゆるものがIotに組み込まれるので、ネットワーク効果によってさらなる豊かさを享受できるようになり、それがグーグルの世界だと考えています。

 なぜ、グーグルの築いたこのような世界システムは崩壊すると言えるのでしょうか。



グーグル後の世界とは?

セキュリティーファースト

 グーグル後の世界のことを著者は「クリプトコズム(秘密保持の世界)」と名付けています。

 グーグルの世界では「コミュニケーションファースト」を目指し、あらゆるものが「フリー」に複製され、移動され、加工されることで、機能してきました。

 しかし、ひとりひとりの人間の存在はランダムな存在ではなく、唯一無二の存在です。グーグル後の世界では、人間がインターネット上で尊厳を取り戻し、新たな側面、新しい生活で判断するようになり、最高権力を持つのはあなた自身であると予想しています。

 このような世界では個人がセキュリティーファーストを目指し、権力の集中はなくなる世界になるだろうとしています。

 ネット上でビジネスを行っている事業者にとって、セキュリティー意識の欠如は、現在のビジネスの最大の脅威となっています。しかしグーグルのシステムは、無料であるならハッカーや泥棒から守る必要も、安定した状態を維持する必要もありません。グーグルはセキュリティーに関する責任を顧客に転嫁しようとしているわけです。

 グーグル後の世界では、セキュリティーが基本構造になるだろうと予測しています。

ブロックチェーンの導入

 ブロックチェーンを導入すれば、データはすべて可視化され、ユーザー間の相互利用も可能になります。

 セキュリティーにも優れているので、ブロックチェーン化が進めば、権力の集中ではなく、分散化されたデータの保持が可能となり、あらゆるものが分散化されるでしょう。つまりインフラを提供する側だけがデータを利用できるという状況がなくなるのです。

 一方、グーグルは、巨大なデータセンターを保有していますが、データセンターが大きくなればなるほど、追加投資のコストパフォーマンスが悪くなります。また上記のようなセキュリティ問題も孕んでいます。

 このようなシステムやこれからの社会のもとでは、グーグルの

  1. データを蓄積し、データ分析する仕組み
  2. サービスを無料で提供する仕組み

がうまくいかなくなると著者は予測しているのです。

①データを蓄積し、データ分析する仕組み

 グーグルは一貫してAIに注力していますが、AIは人間の知性に勝てないと著者は言います。

 AIには思考力がないです。思考とは、意識や意志であり、創造や想像です。AIには限界あり、新世代の技術者のアイデアは、AIが人間を超越するシナリオに合わないと予想しています。

②サービスを無料で提供する仕組み

 限界費用ゼロの社会は、実際には限界費用は「ゼロ」にならないと著者は主張します。

 価格が無料というのは、金銭で対価を払うのではなく、「注目すること」で支払っており、「時間で支払っている」ということになります。「限界費用ゼロ」社会においてほかのものが豊富になっても時間の希少性だけは変わりません。

 これこそが「無料の世界」の実態であり、広告モデルは確実に崩壊に向かっています。デジタルデバイス世界では、ユーザーが見たくない広告をキャンセルしたり、消去したり、避けたりする方法はすでに学習されています。

 次世代のイノベーターが新たな支払方法やセキュリティーモデルを作り上げれば、この傾向はさらに強まるだろうと予測しています。

まとめ

 現在、グーグルは私たち支配する世界システムになっています。技術の変化、社会が変化していくなかで、グーグルはどのような道を辿るのでしょうか。

 世界のシステムはどのような道を辿るのでしょうか。インターネット社会は今後、どのように世界を築いていくのかを考えるきっかけになる1冊です。

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