「人生の99%はあなたに必要ないこと」元日本一のニート・pha『しないことリスト』

「人生の99%はあなたに必要ないこと」元日本一のニート・pha『しないことリスト』




 ある雑誌を読んでいると、pha(ファ)さんのことが紹介されていました。

 phaさんは京都大学卒業後、就職するもインターネットとプログラミングに出会った衝撃で3年で会社を辞めます。

 その後、無職の心得をブログに書き綴ったり、シェアハウスを立ち上げたりしていくことで、「日本一有名なニート」と呼ばれるようになりました。現在ではニートを卒業し自分なりの生き方を伝える執筆活動などをしているそうです。

 そんなphaさんの著書『しないことリスト』には、どんなことが書かれているのだろうと興味を持ち、手に取りました。

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「しなければいけないこと」に追われる2つの理由

 私たちは、日々「しなければいけないこと」に追われています。

 たとえば、

  • 「仕事だけじゃなくて、家庭のことも両立しなきゃ」
  • 「時代に遅れるから、流行をチェックしなくちゃ」
  • 「もっと時間を有効に使わなければ…」

などなど。なぜこんなにも「しなければいけないこと」に追われてしまうのでしょうか。

 その理由は2つあるといいます。

 1つは「情報が多すぎるから」。メディアでは様々な人が、口々に「幸せになるには、こういう生き方をするべきだ」「私はこれで成功しました」という情報を絶え間なく発信し続けています。

 そうした意見の一つ一つは間違ってはいないのでしょう。ただし、情報を受け取る側としては、取捨選択をしなければなりません。あまりに情報が多すぎるため、どれが自分にとって必要なものなのか判断することが難しくなっているのです。

 そのため「あれもこれもしなくては…」と思い込んでしまうのでしょう。

 もう1つは「その方が儲かる人がいて、(その人たちが)不安を煽ってくるから」です。

 人間は現状に満足すると、お金を使わなくなります。「このままではマズいんじゃないか」と不安にさせた方がお金を使うようになるので、「英語を勉強しないとヤバい」「結婚しないとヤバい」「家を買わないとヤバい」のように不安を煽って儲けようとしている人々が多いわけです。

 日々、不安を煽られることで「しなければ大変なことになる…」と思わされているのです。



「それは本当に必要なのか」を自分に問う

 phaさんは自分が何をしたいかもわからないまま、なんとなく学校に通って、なんとなく勉強をして、いい大学に入って、なんとか卒業をして、安定していそうな会社に就職をしたそうです。

 しかし就職したのはいいけれど、職場のことも仕事のことも全然好きになれなかったといいます。3年ほどして限界を感じ、「なぜしないといけないかが、自分でよくわからないことは、もうやめよう」と思い立ち、会社を辞める決意をしたのです。

 会社員を辞めた後は、ほとんどの「しなければいけないこと」を捨て、自分のしたいことと生きるのに最低限のことだけをしているそうです。

 そんなphaさん、「しなければいけないこと」を捨てるには、2つの大切なポイントを押さえることが大切だといいます。

 それは、

  1. 他人や世間の評価で行動を決めるのではなく、自分なりの価値観を持つこと
  2. 他人や世間のペースに無理に付いていこうとせず、自分のペースを把握すること

 評価基準を自分の外ではなく中に置き、「それは本当に自分に必要なのか」を一つ一つ考えることが大切なのだそうです。

36のしないことリスト

 本書は以下の章で構成されています。

  • 第1章 環境をスッキリさせる 所有しないリスト
  • 第2章 行動をラクにする 努力しないリスト
  • 第3章 意識をラクにする 自分のせいにしないリスト
  • 第4章 人生をラクにする 期待しないリスト

 各章9つずつ、合計36の「しないことリスト」が紹介されています。以下、章ごとに一つずつ「しないこと」を紹介します。

①「積み上げない」

 福本伸行さんの『天』という漫画の最終章で、広域暴力団の組長に登り詰めた成功者の原田に向かって主人公の赤木がこう言うシーンがあるそうです。

「お前は成功を積み過ぎた…!」

「どんなに金や権力を手に入れたところで…実は窮々としている…! 成功ってヤツは…人を自由にしないんだ…」

「お前 今動けねぇだろ…? 満足に…!」

 phaさんはこの言葉を引用して、「成功はいったん得たら、すぐに手放したほうがいい」と述べています。積み上げたものが自分を縛る枷になって、好きなように動けなくなってしまうからです。

②「だるさを無視しない」

 「炭鉱のカナリア」を知っていますか? 昔は炭鉱に入る際、カナリアを籠に入れて連れていったそうです。炭鉱には有毒ガスが発生している場所があって、そこに入ると人間より先にカナリアがガスを察知し、ぐったりして鳴き止むため、その場所が危険だと知ることができる、という仕組みです。

 だるさを感じるときは、「体調/精神状態が悪い」とか「今やっていることがあまり好きではない」など、漠然とした現状への違和感があって、それが体や気分のだるさとして表れているのだといいます。

 だるさを単なる怠惰な気持ちとして無視するのではなく、だるさを「炭鉱のカナリア」と捉え、方向性やペース配分を見直す機会にしましょう。

③「二択にしない」

 人は生まれ育った環境や立場によって、同じものを見たとしても見え方が全く違ってきます。

 基本的に人は、自分のポジションを基礎にしてしかものを考えられないので、ポジショントークを肯定的に捉えることが大切だといいます。それが他者の存在を肯定することにもつながります。

 「Aが正しい、Bが間違っている」と単純に決めつけることで、自分と違うものを簡単に切り捨ててしまうことになります。

 AかBかという二択ではなく、AでもなくBでもなく…と、どちらにも偏り過ぎない中間の道を探っていくことが柔軟に生きていくために必要なのです。

④「最後まで我慢しない」

 読書が苦手な人ほど、「本は最初から最後まで順番に読み切らなければならない」と思っている人が多いかもしれません。

 しかし、本は必ずしも作者が決めた読み方を律儀に守る必要はありません。

 あとがきから読んでも、好きなページだけ読んでも、会話文だけ読むのも自由です。

 読書と同じように、飲み会やイベントなども最初から最後までいる必要はありません。

 他人のペースに巻き込まれず、投資でいう「損切り」をして、自分に必要な部分だけを取り入れればいいということです。

自分の「したいことリスト」を作ろう

 本書の「おわりに」に次のような一文があります。

 人間はどうしても、出来事に意味や理由を求めてしまいがちな生き物だけど、本当は意味なんてないんだろう。(中略)それだったら、「あれをしなきゃいけない」とか「これをしなきゃいけない」とかいった決まりに縛られずに、自分の感覚のおもむくままに好きに生きればいい、と僕は思う。

 「したいこと」は人によって異なるものです。ぜひ、あなたなりの人生の「したいことリスト」をつくってみてください。

 私は本書を読む以前、「しない」というと消極的なイメージを持っていました。しかし、「しないことを選択する」ことで時間や余裕を得ることができる、ということに目を向けられるようになりました。

 日々することが多くて疲れ気味の人には、『しないことリスト』が良い処方箋になるかもしれません。

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