ビジネス教養としてのウイスキー基礎知識!高級ウイスキーは1本2億円で売れる?

ビジネス教養としてのウイスキー基礎知識!高級ウイスキーは1本2億円で売れる?




 こんにちは、ぜんたです。

 最近、国産ウイスキーの販売終了や価格の高騰に関するニュースを目にする機会が増えました。ハイボールのCMでは馴染みのあるウイスキーですが、その起源や製造法、種類など基本的なことを何も知らなかったので、『ビジネス教養としてのウイスキー なぜ今、高級ウイスキーが2億円で売れるのか』を読んでみました。

 ここでは、ウイスキーの歴史や基礎知識、ブームになった背景など、教養として知っておくべき基本的な情報を要約してご紹介します。



ウイスキーの誕生

 ウイスキーの起源は約500年前。場所はアイルランドから始まり、スコットランドに伝わったとされています。

 当時のウイスキーづくりは修道院で行われていましたが、その後は民間に移行して、小作農家によって作られていました。しかし政府によってウイスキーに重税がかけられるようになると、山奥で密造する人が増えていきます。

 このウイスキーを密売するためには、バレずに運ばなくていけません。そのための方法として、ワイン樽、チェリーの樽にウイスキーを入れて運ぶようになったのです。昔からイギリスではチェリーの消費が多かったことから、チェリーの樽を使うことが多かったと考えられます。

 そうして政府の役人にばれないように樽の中にウイスキーを入れたままにしておくと、味わいがまろやかで美味しくなることに気がつき、以降、熟成されるようになったとされています。

スコッチウイスキー

 世界のウイスキー生産量の7割を占めているとされているのがスコッチウイスキーです。歴史的にも重要なスコッチについて基礎知識を紹介します。

①種類

 スコットランドで蒸留・熟成されたウイスキーのことを「スコッチウイスキー」、または「スコッチ」と呼びます。スコッチは大きく分けると2つの種類があります。

モルトウイスキー

  • 原料:大麦麦芽(モルト)
  • 風味:香味成分が豊富で独自の個性がある

グレーンウイスキー

  • 原料:とうもろこしや小麦など、大麦麦芽以外の穀物(グレーン)が主原料
  • 風味:モルトウイスキーに比べアルコール度数は高いが、穏やかでクリーンな酒質

②製品

 スコッチを製品化したものは大きく「シングル」「ブレンド」の2種類に分かれます。

シングル

  • シングルカスク:単一の蒸留所の単一の樽の原液のみ
  • シングルモルト:単一の蒸留所のモルトウイスキーのみ
  • シングルグレーン:単一の蒸留所のグレーンウイスキーのみ

ブレンドウイスキー

  • ブレンデッドウイスキー:複数のモルツ、グレーンウイスキーをブレンド
  • ブレンデッドモルツ:複数のモルトウイスキーをブレンド
  • ブレンデッドグレーン:複数の異なるグレーンウイスキーをブレンド

 ウイスキーづくりが始まった当時はシングルモルト、シングルグレーンのウイスキーが販売されていましたが、大きな蒸留所ができてくると、樽によって味わいが大きく変わってしまいます。

 そこで複数の樽の原液を混ぜることで、味を均質にすることを思いつきました。そうして生まれたのがブレンデッドモルト、ブレンデッドグレーンです。

 さらに、この2つを混ぜ合わせてたものがブレンデッドウイスキーです。ブレンデットは飲みやすく、安価なこともあり評判が広がっていきます。市場の流通量では8〜9割がブレンドデッドで占められています。

ジャパニーズウイスキー

 日本にウイスキーが伝わったのは1853年。黒船で日本の開国を迫ったペリーによって持ち込まれたと言われています。

①製造

 1923年に寿屋(現サントリー)によって製造が開始されました。京都市郊外の山崎に蒸留所を建て、スコットランドの製法をもとに発売。しかし初期の「サントリーウヰスキー」は、市場の評価が良くありませんでした。

 その後、日本人の味覚に合わせた「サントリーウヰスキー12年もの角瓶」が販売され、今に続くロングセラーとなっています。

 それ以降、多くの会社がウイスキー事業に参入しました。1950年代〜1960年代の高度経済成長にウイスキーブームが起こり、1980年代には日本の国民酒とさえ呼ばれる存在となります。

 その後、消費量が減少していきますが、2014年、連続テレビ小説『マッサン』の影響によって第2のウイスキーブームが起こりました。しかし1980年代〜2000年代前半に消費量が減少した際に生産量を抑えたことによって、需要と供給のバランスが崩れてしまい、10年物などの熟成年数を必要とする商品は販売終了となってしまいました。


世界からの評価

 日本のウイスキーが世界中で人気になった背景には、2001年、ニッカウヰスキーの「シングルカスク余市10年」がイギリスの品評会で世界1位を獲得したことがあります。

 この快挙以降、ジャパニーズウイスキーが次々と海外の賞を取るようになりました。

 そのほかにも、メイドインジャパンの信頼感や和食のユネスコ無形遺産に登録された影響、味の面でもジャパニーズウイスキーは繊細さとバランスの良さを有している点が評価されています。

ウイスキーブームの理由は?

 昨今のウイスキーブームには、大きく分けて2つの理由があります。それは「観光」と「投資」の側面です。

①観光

 近年、ワイナリーやぶどう畑を訪ねるワインツーリズムが世界的に流行っており、その流れがウイスキーの世界にも訪れています。新しくできる蒸留所には、見学を前提として建設されている例もあります。

 見学の魅力は大きく3つあります。まず蒸留所によって設備や製法が多彩であること。そしてウイスキーの原酒が眠る熟成庫を見れること。最後に年間を通じて制作されていることから、見学の時期を選ばないことです。

 また地元の大麦を原料としたり、地元の森林から樽を作ったりすることで、地域経済にも大きな役割を果たせます。

 スコットランドの蒸留所は、年間200万人の観光客が訪れるほどの人気があるそうです。

②投資

 これまで高いお酒の中心はワインでした。オークションや投資といった面でワインが語られるがよくあります。しかし近年、新たにウイスキーが投資の対象になり始めています。

 理由は大きく2つあります。一つは、ウイスキーはワインと違いアルコール度数が高く、保存方法が容易であること。もう一つは、シングルモルト、シングルカスクのように単一の蒸留所のカスク(樽)の原酒だけを瓶詰めした物があり、年代ではなく樽によって味の違いがあることから、希少性が高い製品も存在していることです。

 2000年以降、ロンドンやスコットランドでオークションが始まり、2019年には「ザ・マッカラン」の60年物がオークションで2億円で取引されました。今後も高額なウイスキーがオークションに出てくると予想されます。

近年のウイスキー界の動き

 アメリカで起こったクラフトビールブームの影響を受けて、2010年以降、小規模の蒸留所が次々に開設されています。

 これによって日本国内でも2015年頃から全国で蒸留所がオープンし始め、2020年現在では約50箇所ほどの蒸留所があるとされています。

終わりに

 居酒屋やコンビニなど日常的に目にするウイスキーですが、その歴史や種類などを少し知るだけで、より身近な存在になった気がします。

 本書ではウイスキーの銘柄も数多く紹介されていますので、お酒好きの方はもちろん、これまでウイスキーを飲んでこなかったけど興味があった方は、ぜひ読んでみてください。




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