『ビジネス書図鑑』35冊の話題書の学びを仕事に生かそう!

『ビジネス書図鑑』35冊の話題書の学びを仕事に生かそう!




 本が好きで、本を読むことを仕事にするために会社を辞めた私ですが、最近、分厚いビジネス書を手に取ることを躊躇するようになりました。

 これまでは分厚くて読み応えのある本ほど知的好奇心が湧いていたのですが、最近は(本を読むだけの仕事ではなくなっていることもあり)重厚で濃密な本を読み切るまでの時間を考えると、手が伸びづらくなってしまっているのです。

 近年の話題書である『21Lessons』『FACTFULNESS」や、ちょっと前で言えば『LIFE SHIFT』『サピエンス全史』など、どれも読めていません。

 これはよろしくない。全編を読み切らずとも、最低限どんなことが書かれた本なのかは、ビジネス書の書評・要約サイトを運営している立場として把握しておくべきです。

 まさにそうしたニーズに真正面から答えてくれるのが、グロービス荒木博行さんの『見るだけでわかる! ビジネス書図鑑』です。

見るだけでわかる! ビジネス書図鑑

 本書に登場する35冊のビジネス書は、先述の話題書をはじめ『銃・病原菌・鉄』『夜と霧』など、読書習慣のあるビジネスパーソンならまず聞いたことがあるであろう有名どころばかり。

 荒木さんは、どれだけ多くの本を読んだとしても、「目の前の仕事に活かしきれていないのであれば、それはもったいないこと」という考えのもと、普段から本で学んだ概念を「フレームワーク」として実践場面に活用できるようにまとめているそうです。

 それをイラスト付きでより簡潔にまとめたものが本書です。

 本書を読み、各書籍の要点を押さえておくと、初めて読む堅めの本でも内容が頭に入ってきやすく、読書スピードが速まります。さらに有益なのは、要点を把握することで「その本を今自分が読むべきかどうか」「自分に必要な本かどうか」を見極められるということです。

 「タイトルや表紙に惹かれて買ってみたけど、期待していた内容じゃなかった」という経験をしたことは誰もがあると思いますが、要点を先に知ることで、そうしたミスマッチが起きづらく、本当に必要な本だけを手に取ることができるようになります。

 要点を知り、「読む価値がある」「もっと深く理解したい」と思った本だけしっかりと読み込めばいいのです。

 この記事では、私が読もう読もうと思っていながら、なかなか手がつけられづにいた『ティール組織』について、本書ではどのように要約されているのかをご紹介します。

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『ティール組織』3つの要点

ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現

 本書では、『ティール組織』の要点を、以下3つのポイントにまとめています。

  1. 組織のあり方はレッドからティールへ
  2. ティール組織のための3つのブレイクスルー
  3. ティール組織化するための条件とは?

①組織のあり方はレッドからティールへ

 人類の進化に伴い、組織のあり方は変化を遂げてきており、その過程を5つに分けて解説しています。

レッド組織(オオカミの群れ)

  • 強力な上下関係
  • 力の支配
  • 短期思考
  • 階層・役職なし

アンバー組織(軍隊)

  • 秩序だったヒエラルキー
  • 明確な階級
  • 中長期計画
  • 正式なルール

オレンジ組織(機械)

  • 予測と統制
  • アメとムチ
  • 実力主義
  • 経営工学

グリーン組織(家族)

  • 自由と平等
  • 権限委譲
  • 個の尊重
  • 多様性

ティール組織(生命体)

  • 目的の理解と共鳴
  • 個人の能力、らしさの最大発揮
  • セルフマネジメント

 それぞれの特徴が端的に羅列されているだけですが、おおよそのイメージは理解できると思います。

 その中で、今黎明期を迎えており、これから本格化すると言われている組織モデルが「ティール組織」です。特徴は「目的の理解と共鳴」「個人の能力、らしさの最大発揮」「セルフマネジメント」。ただし、ティール組織が一番優れているというわけではないということも、注意点として挙げられています。

②ティール組織のための3つのブレイクスルー

 2つ目のポイントでは、ティール組織を実現するための3つの要素がまとめられています。

その1 自主経営(セルフマネジメント)

 これは「誰かの指示を受けることなく、課題に気づいた人が、適切な人と連携して意思決定、実行していく」「上司・部下も管理職もバックオフィスもほとんどない」という特徴です。

その2 全体性(ホールネス)

 「組織の期待値に合わせた振るまいをするのではなく、自分の内面を出し、自分らしく行動することを促す」という特徴です。

 自分の感情を前面に出したら組織が成り立たないのでは、という疑問もあるかもしれません。

その3 存在目的

 「利益や成長にコミットするのではなく、自分たちの組織がなぜ存在しているのか? どうなりたいのか? という声に耳を傾け、コミットする」というものです。

 「目的は大事だけど、利益出さなきゃ話にならないじゃん」という反論もあるかもしれません。オレンジ組織のパラダイムで考えると、これら3つの要素は理解しがたいものでしょう。

 では、どうすればティール組織を実現することができるのでしょうか。

③ティール組織化するための条件

条件その1

 経営トップとオーナーが、オレンジ組織のパラダイムでティールを考えている限りは、絶対に成功しないと言われています。

 なぜなら「組織の意識はリーダーの意識レベルを超えられない」からです。

条件その2

 もしティール化を推進するのであれば、いきなり全部やろうとするのではなく、「自主経営」「全体性」「存在目的」のうち、順番を決めて導入することが推奨されています。

押さえておきたいこの一節

 最後に、本書の中での重要な一節が紹介されています。

 結局のところ、大きな阻害要因となるのは「恐れ」なのだ。組織が暗黙の恐れに立脚しているのではなく、信頼と責任を育てる構造と慣行の上に成り立っていると、驚くほど素晴らしい、予測もしないことが起こりはじめる。(第2章より)

 これらの要点や一節だけで「ティール組織」を根本から理解し、実際の組織づくり生かすことはまず不可能です。しかしこうして要点を簡潔に把握しておくことで、590ページを超える大作を読む心理的ハードルが下がりますし、内容が頭に入ってきやすくなるので読書スピードが上がります。

 また要点を知ることで、「この本は本当に読むべき本か?」「今の自分に必要な本か?」を見極めることもできます。上記ポイントを読んで、今の自分に必要な内容だと思った方は、ぜひご一読ください。

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