ちきりん流「自分の頭で考える」方法!「思考」と「知識」を混同するな!

ちきりん流「自分の頭で考える」方法!「思考」と「知識」を混同するな!






10秒で要点チェック

  • 「考える」ことと「知っていること」は全く別モノ。「知識」に引っ張られることなく、ある情報についてゼロから論理的な見解を導き出すことが「思考」。
  • 情報収集などのインプットや資料作成は「作業」であって「思考」ではない。考える力を磨くには「思考」の時間を多く確保することが重要。
  • 就活生は、企業研究(作業)よりも企業選びのための「独自のフィルター探し」(思考)に時間を使おう!

「自分の頭で考える」とは?

 学生にせよ社会人にせよ、誰もが一度は「自分の頭で考えなさい」と言われた経験があるはずです。

 多くの人は、自分の頭で考えることの重要性を認識しているものの、「どうすれば “自分の頭で考えた” と言えるのか」について、明確な答えを持っていないのではないでしょうか。

 そんなモヤモヤに明確な答えを与えてくれるのが、人気ブロガーちきりんさんの著書『自分のアタマで考えよう』です。

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「知っている」と「考える」は別モノ

 本書は冒頭で、1970年と2010年におけるプロ野球ファンの年齢構成を比較する「仮の」グラフを元に、「知っていること」と「考えること」の違いを分かりやすく説明しています。

 1970年に比べて、40代以上の中高年層の比率が大幅に上がり↑、30代以下の若者の比率が下がっている↓このグラフを見たときに、あなたならどんな見解を持つでしょうか。

 多くの人は、「プロ野球ファンの高齢化が進んでいる」「このままでは日本のプロ野球界の未来は暗い」「プロ野球界は若いファンを増やすための努力をしていない。今後はそういった努力が必要だ」のような意見をもつのではないでしょうか。

 しかし、その答えは本当に、あなたがグラフを見て「考えた」ことでしょうか、それとも、グラフを見る前から「知っていた」ことでしょうか?

 この問いに、「知識」と「思考」の違いが明確に表されています。

 もしこれらの意見を、このグラフを見なくても言えたのであれば、それは「このグラフの情報を見た上での思考の結果」ではなく、あなたがもともともっていた「知識」です。

 実際、多くの人はグラフを見るまでもなく、日本のプロ野球ファンが高齢化していることや、テレビ中継の視聴率が下がっていること、それらがネガティブな意味で捉えられていることを知っているでしょう。

 上記の見解は、こうした既存の「知識」に引っ張られたもので、あなたがグラフの情報を基に自分の頭でゼロから「考えた」結論ではないのではないでしょうか?

 もし日本のプロ野球事情について本当に何の知識もない人であれば、同じグラフを見てもまったく違う回答になり得ます。

 例えば、所得が多くて、余暇に使える時間も多い中高年や高齢者の方がファンが増えているのだから、「日本のプロ野球界の未来はとても明るい」と結論づけるかもしれません。

 どちらの見解が正しいかは別として、こちらの主張もそれなりに論理的だと感じませんか?

 これら両方の理由をあげながら、いいところと悪いところを比較したうえで、いずれかの結論を選ぶのが、本当に「考えた人」の回答だと著者は言います。

 「ある情報から楽観的なことしか読み取れない、反対に悲観的なことしか読み取れないのは、読み手に最初からバイアスがかかっている」可能性があります。

 つまり「自分の頭で考える」とは、ある情報を得たときに、既知の情報や先入観をリセットして、新しい情報そのものをヒントに論理的な見解を導き出すことをいうのです。

 一部の「知識」は、「過去において、他の人がその人の頭で考えた結果」です。それを私たちは書籍や講義、報道などを通して学んでおり、自分の頭の中に知識として保存しています。なにかを考えろ、と言われた時にそれを頭の中から取り出してくるのは、「他人の思考を頭の中から取り出してくる行為」に他なりません。

 本書は「知識」の重要性を否定しているわけではなく、知識と思考を異なるものとして認識することの重要性について指摘しています。

 なぜなら、多くの人が他人の考えをまるで自分の考えであるかのように錯覚し、インプットしているだけで「考える力」が磨かれていると勘違いしてしまうからです。


「考える」とはインプットをアウトプットに変換すること

 上記の例からも分かるように、「考えること」「思考」とは、「インプットした情報をアウトプットである結論に変換するプロセス」のことを言います。

 結論の出ないことに思いを巡らせるのは単に「悩んでいる」だけで、「考えている」とは言えません。

 また、読書やネットでの情報収集や、その情報の加工やグラフ化は「作業」であって、これも「思考」ではありません。

 例えば「美女読書」では、どの本を紹介するかを「決める」こと、どんな記事の方向性にするかを「決める」ことは「思考」ですが、実際に本を読むことや、記事の方向性を文書ファイルにまとめることは「作業」に過ぎません。

 (まあ、実際は本を読みながら方向性を決めているので、読書中も「考えている」と言えるかもしれませんが…)

 考える力をつけるもっとも有効な方法は、「こうした視点で時間の使い方を把握し、自分が考えることに使っている時間を『見える化』して、それを少しでも長くすること」です。

 読書やニュースアプリのチェックにいくら時間を費やしてもそれは「情報収集」に過ぎず、「考える力」は磨かれていないのです。

自分の頭で考えるための「思考のコツ」

 「”知識”と”思考”の違いはわかったけど、じゃあどうすれば新しい情報に触れたときに自分の頭で考えられるようになるの?」という方のために、本書には実践的な「思考のワザ」がいくつも紹介されています。

 例えば第2章では、数字の情報を見たときに「なぜ?」と「だからなんなの?」と問うことで、その数字が意味することを理解し、次に起こることを予想し、それに対して自分はどうすべきなのかについて「考える」方法を紹介しています。

 中でも就活生にとってきわめて有益なのが第7章。「フィルターの見つけ方」についてです。

 著者は「就活のための企業研究は無意味」だと言い切り、その理由を「就職活動の成否は集めた情報量ではなく、自分独自の、価値あるフィルターを見つけられたかどうかにかかっているから」だと説きます。

 たくさんの選択肢から「自分がやりたい仕事と興味のない仕事」「適性のある仕事とない仕事」を選り分けるには、「フィルター」と個別企業の「情報」が必要です。

 しかし、大半の学生は企業に関する情報収集ばかりに必死になっていて、自分にとって意味のある「フィルター」探しをしていません。

 例えば、「業種」や「企業規模」のような粗すぎるフィルターや、「企業の財務状況」「社会の役に立つ仕事」「成長できる仕事」などの無意味なフィルターでは、「自分に合う会社」を選ぶ基準にはならないことに気づいていないのです。

 「会社の利益率」と「その仕事への自分の向き不向き」はほとんど関係ありませんし、「社会の役に立たない仕事」や「社会人1年目に一生懸命取り組んで、まったく成長できない仕事」など存在しないからです。

 では、いったいどんなフィルターであれば仕事選びに役立つのでしょうか。

仕事選びに有効な独自のフィルターの見つけ方

 例えば、著者にとっては「仕事の成果が見えるまでの期間」というフィルターが重要だと言います。

 金融商品を扱うディーラーのように、数時間内あるいはその日のうちに仕事の成果が現れるものもあれば、薬の開発のように成果が現れるまで10年単位の期間を要するものもあります。

 著者の場合は、「たとえそれがどんなに大きく世の中を変えうるしごとであっても、十年単位でしか成果の見えない仕事はやる気が持続しない」ため、「数ヶ月くらいで成果の見える仕事」をしたいのだそうです。

 これは「業種」や「企業規模」とは全く異なる性質のフィルターで、著者独自の「自分に合った仕事」を見極めるためのフィルターと言えるしょう。

 こうした独自のフィルターを見つけるには、アルバイトやインターンシップなど、実際に「働く」経験をしてみるのが有効です。

 それが難しければ、ゼミやサークルでの自分の役割や立ち回りを見つめ、どんなときにやりがいを感じ、どんなときに退屈に感じるのかを深堀りしてみるとよいでしょう。

 「人と話すのが好きだから接客のアルバイトをしてみたけど、店舗に張り付いてお客さんが来るのをずっと待っていると退屈だから、自分からお客さんに会いにいける外回りの営業の方がいい」あるいは、「そもそもお客さんに来てもらうにはどうすればいいかのマーケティング戦略を考える仕事の方がいい」と気づけば、それはあなた独自の意味あるフィルターと言えるでしょう。

 本来の”就活”とは「自分に合った独自のフィルターを見つけるための活動」なのです。

 「大手かどうか」「知名度があるか」「給与が高いか」といったフィルターは、自分の仕事の向き不向きとは関係がありません。

 「大手で知名度があって高給の会社であれば、どんな奴隷的な仕事でもやりがいが感じられる」という人以外は、こうしたフィルターは最後の「付加要素」としてみるべきです。

 こうしたフィルターしかない人は、どこの企業に対しても取ってつけたような志望動機にしかならず、そもそも企業側から魅力的な人材と見てもらえないので注意が必要です。

まとめ

 後半は「就活」に話を寄せてしまいましたが、本書は学生にとってもビジネスマンにとっても役に立つ思考のヒントが詰まった良書です。

 学生の方は、昨年話題になったアニメ「就活狂想曲」のような茶番劇を演じないためにも、本書を読んで「自分の頭で考える力」を養いましょう。

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参照:「未来の働き方」を選ぶために今すぐ磨くべき力とは?

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モデルプロフィール

・名前     :ひかり
・生年月日   :1994.12.12
・出身     :宮崎県
・職業     :大学生
・将来の夢   :模索中…!

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