10秒でチェック!
- 情報洪水の時代、本当に価値ある情報とただのノイズを見極めるスキルはさらに重要度が増している。
- 情報に触れたときに人間が陥りやすい「罠」を理解して、ミスリードに騙されない思考法を身につけよう。
- 専門家を疑い、やらせを選別し、同調圧力に流されず、価値ある情報を見極めれば、賢明な意思決定ができるようになる。
大学のレポートや会社の資料づくりを、ネット上に転がっている誰が書いたか分からない文章やデータのコピペで済ませてしまったことはありませんか?
あるいは、Twitterでウソ情報を何の疑いもなく拡散してしまったり、Facebookの友達申請スパムを「承認」してしまったことは?
情報洪水の時代において、本当に価値ある情報は大量の無価値な情報(ノイズ)の中に埋もれてしまい、デマや確証のない情報を「真実」だと見誤ってしまうケースが増えています。
デマツイートをRTするくらい大した問題じゃないと思うかもしれませんが、信頼できる良質の情報やそれを検討するための効果的な方法を知らなければ、仕事や家庭における重要な問題についても間違った選択をして、大きな損失を被ってしまうかもしれません。
日々洪水のように押し寄せる大量の情報の真偽を見極め、最良の意思決定につなげるにはどうすればいいのでしょうか。
今回は、豊富なエビデンスを元に人が陥りやすい情報収集の「盲点」について語り、情報の「質」を評価する方法を教えてくれる一冊、『情報を捨てるセンス 選ぶ技術』を紹介します!
人の脳はこうも簡単に騙される!
自分では先入観を持たずにフラットな目線で情報に接しているつもりでも、意識しなければ人間の脳は簡単にミスリードされてしまいます。
多くの人がひっかかりやすい思考の罠として、本書では次のようなものが紹介されています。
“いい話”だけに注意が向く
私たちの脳は、自分にとって悪い出来事につながる情報を無意識の内に退け、よい情報だけに焦点を合わせてしまう傾向があります。
タバコによる肺がんのリスクを警告されても、「一日に煙草を50本吸う99歳の老夫婦がそれでも元気でいる」というストーリーの方に注意が向き、本来のリスクを甘く捉えてしまうのです。
パワーポイントの罠にハマる
多くの人はパワポの資料を見て、太字で書かれた部分は重要で、小さく書かれた部分は重要ではないと無意識に判断してしまいます。
また、その資料には必要な情報がすべて網羅されていると思い込みやすく、要点の整理の過程で重要な詳細がバッサリ抜け落ちている可能性を見落としがちです。
注意すべきは、それは第三者の作り手が何かしらの意図をもって情報を取捨選択している、もしくは意図せずとも抜けや漏れが発生している可能性が潜んでいるということです。
カギとなる詳細事項や微妙なニュアンスを見落としている可能性に目を向けなければ、その資料のもつ本当の意味を見誤ってしまいます。
過去の成功体験に縛られる
過去の成功体験は、多くの人を無意識に縛りつける要因の一つです。
絶え間なく状況が変化する(しかもそのスピードが急速に早まっている)今の世の中では、ある時点では成功条件となっていたことでも、次のタイミングでは全く通用しないということはザラにあります。
もちろん、過去を振り返ることが正しい決断に結びつくことは沢山ありますが、過去に固執すぎて、偏見のない客観的な心で現在の問題を評価できなくなると、そうした潮目の変化や新たな情報を見逃してしまうので注意が必要です。
結論ありきで判断してしまう
自分の仮説の正しさを裏付ける情報を見つけたとき、私たちのなかにはドーパミンがあふれ出すことが分かっています。
ある結論に飛びついてしまうと、人はそれを支持する情報にばかり注目し、それを否定するものや、最初の判断と合致しないものはすべて無視、あるいは何らかの根拠をもって退けてしまう傾向があるのです。
それが単なる自分の思い込みである可能性を認め、否定や反論につながるデータにも積極的に目を向けるようにしましょう。
専門家の話を鵜呑みにしない!
不確実性の高い今の世の中、専門家の判断を「確実」なものと見なしてその見解に従いたいと考える人は多いでしょう。
「専門家は自分より何倍も時間をかけて研究しているんだから、(よくわからないけど)たぶん正しいのだろう」と安易に考えてしまいがちです。
実際、専門家のアドバイスに向き合っている間は「脳の意思決定を司る部分のスイッチが切れたも同然の状態になる」という実験結果も出ています。
専門家が話し出すと、人はまるで自分で考えるのをやめたかのように思考停止してしまうのです。
しかし、「不確実な世の中」において、「確実な」判断ができる専門家など存在しません。専門家という肩書きに無条件の信頼を寄せるのではなく、常にその主張やうたい文句を疑う姿勢をもつべきです。
その上で、自分自身で知識ベースを築き、自分の頭で考えてみることが重要です。専門家の話がまったく理解できない状態では、その言葉の真偽や有効性を見極める基準は、結局「相手が専門家だから」というだけになってしまうからです。
専門家とは、「決定的な真実の管理人」ではなく「さまざまな主張を聞かせてくれる調査員」ぐらいに考えておくのが賢明です。
なりすましとやらせを選別する!
多くの人がネット上のウソやなりすましに簡単に騙されてしまいます。
最近の例で言えば、Facebookでの美女アカウントからの友達申請や、LINEのなりすましが思い出されます。
今や誰もが簡単に情報発信することができるため、情報源の真偽の確認は非常に重要な問題となっています。
ネットの情報を見極めるためのチェックリストとして、本書では下記5つを挙げています。
- それは誰?
- どう情報を集めたのか?
- 情報の入手ルートは?
- 情報の内容は?
- 同じ主張をする人はいるか?
詳細は割愛しますが、ネットの情報に触れるときは、こうした視点をもってその真偽を見極めるよう気を配りましょう。
そんな余裕はないという方でも、「目の前にあるデータは間違っていたり、ミスリードするものであったり、あるいは本当に知りたいことに目隠ししたりする可能性がある」ものだと認識するだけでも、簡単にはウソ情報に踊らされなくなるはずです。
“みんなの判断”に同調していないか?
もう一つ、多くの人がハマってしまう罠に「同調圧力」があります。
私たちが意思決定する時は、どうしても「まわりの人が何を言うか、何を考えるか、何をするか、あるいは何をしないか」に、大きく影響を受けてしまいます。
まわりとの調和を考えすぎると、人と異なる意見を口にしづらくなり、空気を読み合うだけの仲良しグループになってしまいます。
異なる意見こそ、意思決定の質を高めるために重要なことも多いのに。
この点は、SNSやキュレーションアプリでの情報収集でも同様のことが言えます。
自分と同じ考えの人だけをフォローし、自分の好みに合ったニュースだけをチェックすることは、視野を狭めてしまったり、自分の思考の枠を超えた新しいアイデアが生まれづらくなるという弊害も生みます。
こうした偏りは無意識に生まれてしまうため、意識的に自分とはタイプの違う人をそばに置いたり、積極的に関わっていこうとする姿勢をもつが大切です。
意見の相違は「優れた意思決定のカギ」であり、異なる意見を奨励するからこそ、「平凡なアイデアをより鋭い考えに生まれ変わるチャンス」が生まれるのです。
まとめ
ここで紹介したのはほんの一例ですが、あなたにも身に覚えのある体験があったはずです。
これほど簡単に、人間の脳は無意識にさまざまな影響を受けてしまいます。
もちろん、そのすべてを制御して「本当に確かな情報にもとづいた行動しか取ってはいけない」ということではありません。
しかし、普段から情報の真偽に注意を向ける姿勢がなければ、重要な選択や決断を迫られる場面において賢明な判断をすることは難しいでしょう。
「専門家が言ってるから」「まわりがみんなそう言ってるから」のように他者の意図に服従することは今すぐやめて、自分の頭で考えて、最良の意思決定ができる力を身につけましょう。
記事では割愛しましたが、本書では情報の真偽を見極めるためのヒントについて個別事例を挙げながら詳しく説明されています。
モデルプロフィール
・名前 :満井まりさ
・生年月日 :1993.8.30
・出身 :静岡県
・職業 :大学生
・将来の夢 :教師かモデル
・ブログ :「満井まりさ公式ブログ」