Googleマップの誕生秘話!「地球の3Dモデル」が必要とされたきっかけとは?

Googleマップの誕生秘話!「地球の3Dモデル」が必要とされたきっかけとは?




 WEB版・アプリ版問わず、誰もが利用しているGoogleマップ。あまりに当たり前すぎて、それがなかった世界などいまや想像することすらできない…。

 本書『NEVER LOST AGAIN グーグルマップ誕生』は、そんなGoogleマップの誕生秘話を余すところなく紹介するビジネスドキュメンタリーです。

 著者はビル・キルデイ。Googleマップの前身である地図アプリケーション「キーホールアースビュアー」を作ったジョン・ハンケの学生時代からの親友です。

 ジョン・ハンケと聞いて誰それ? と思った方も多いと思いますが、「ポケモンGO」を作った会社のCEOといわれれば、がぜん興味が湧いてくるのではないでしょうか。

 彼は隠れたシリアルアントレプレナー。本書は、そんな彼の人となりと、スタートアップ社内の様子、さらには、Google社による買収、Googleマップのローンチ、その後の成長の歩みまで、読者もその場にいたかのように体感できるビジネスストーリーになっています。

 ここでは「キーホールアースビュアー」が世の中で必要とされ、軌道に乗るまでの印象的なエピソードを3つ、ご紹介しましょう。

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「編集者の寄稿企画」とは?

この記事は、編集者様・著者様自身に担当ビジネス書の紹介文を執筆いただいたものを当方で編集する寄稿企画の記事です。記事を書いていただければ、美女モデルを起用したコンテンツを無料で制作・掲載しますので、ご興味ある方ぜひお問い合わせください。



1999年 地球の3Dモデルをつくる

 Googleマップの前身アプリ「キーホールアースビュアー」の歴史は、1999年にまでさかのぼります。著者のビル・キルデイが、ジョン・ハンケからこのアプリケーションを見せられた時のことについて、次のように描かれています。

 「ここの住所をもう一度、教えて」とジョンは言った。「465、ジョーセイヤース、オースティン、テキサス」と私が言うのを聞いて、ジョンは打ち込んでいった。

 妙だな、と思った。画面に映る地球の写真だ。地球が、動いている! クイックタイム動画のようなものかもしれない。けれどクイックタイム動画は再生するだけで、インタラクティブな要素は無い。それにこれが動画なら、なんでジョンは住所を訪ねたのだろう? 待って、画面がズームしている? 一体何が起きているんだ!?

 画面は宇宙空間から地表にどんどんズームしていき、15秒後にはどうみても私の家に思える建物が映し出されていた。私の頭の中はあらゆる考えが目まぐるしく駆け巡っていた。(中略)

「なんてこった」私は思わず叫んだ。
「なかなかすごいだろ?」とジョン。(P.34)

 しかしビルの婚約者であるシェリーに見せたときの反応は、感心はしていたものの、冷静でした。

 「でも、これで一体何ができるの?」ーーこれは簡単な質問ではなく、この質問に答えるために何百万ドルが費やされ、数年間に及びたくさんの人が汗水垂らして働くことになります。



2002年~2003年 資金難に苦しむ

 アイデアは画期的でも、なかなか市場を見つけられなかったキーホールアースビュアー。相次ぐ資金難に、キーホールの役員たちは会社を閉じることも考え始めます。

 しかしジョンは悪い状況をそのまま放っておくような人間ではありませんでした。2003年1月、取締役会に向け準備をする中、役員たちが少しでも前向きになれるパフォーマンスのための仕掛けをビルに依頼します。

 ジョンは、今日のために特別プロモーションのメールを作ってほしいと言った。そしてそれをカンファレンスルームで取締役会が始まると同時に、トライアルに登録した人たちの受信箱に届くよう配信する。

 ジョンのコンピュータには、誰かがライセンスを購入して、支払い処理が行われる度に通知が飛ぶようになっていた。なので、ジョンが役員会で会社の危機的なキャッシュフローの状況を発表する間、年間利用の注文通知が何回も画面に表示され、プレゼンが少しの間中断するのだった。

 このちょっとしたパフォーマンスが会社を救った、とまでは言えないが、ジョンはミーティングの後、少し笑って「会議の雰囲気を悪くするものではなかったよ」とウインクした。(P.106)

 取締役会の末、会社はまだ閉じないことに決定。給与を一時的に下げることで運転資金を捻出するというアイデアに対して従業員の多くが同意し、会社の株式をいくらか得る代わりに、大幅な給与カットや全額我慢することを受け入れてくれました。

 こうして首の皮一枚つながり、もう四半期だけ動くことができるようになります。ジョンがこの会社とアイデアのすべてを閉じざるを得なくなるまで、残り3ヶ月です。

2003年 たった1行のURLで需要が急増

 2003年3月、会社に転機が訪れます。アメリカ軍のイラク侵攻のニュースを伝える際、CNNのレポーター、マイルズ・オブライエンが直接アースビューアーを使い、CNNを見ている何百万人に、説明を加えながら、キーホールアースビュアーを実際に使って見せたのです。

 キーホール側からは、「ソフトウェアを放送で使うときは、必ずキーホールのURLを画面に表示すること」を条件にしていました。これにより、思いもよらなかったことが起こります。

 CNNの画面の右上にはEarthViewer.comのURLが表示され、そして地球の姿が映った。オブライエンは宇宙空間からバグダッドまでズームインし、キーホールアースビュアーを動かして見せた。世界中から多くの視聴者がそれを見ていた。(中略)衛星写真には、先刻起きたばかりの爆撃の跡が写っていて、現在進行している戦争の状況をほぼリアルタイムで見ることができるとオブライエンは言った。(中略)

 「今お見せしている映像は、バグダッドの上空、約160キロメートルから衛星で撮影されたものです。キーホールアースビュアーでバグダッドにズームインして、何が起きているのか具体的にお伝えしましょう。ここから私たち独自の爆撃被害の分析ができます」。(P.111)

 これによって、トラフィックの爆発が起こり、CNNのために割り当てていた専用サーバーを除くすべてのアースサーバーが落ちるという事態になります。翌日の新聞の見出しには、「小さなテック企業が視聴者を驚かす」と載り、記者はCNNがキーホールアースビュアーを使用したこと、それに伴いキーホールへの需要が急増したことを伝えました。

 道議的に正しくないかもしれないが、イラク侵攻がキーホールにとってターニングポイントとなった。最も必要な時に、多額のキャッシュが供給された。私はこの戦争には断固反対しているが、私の勤める会社を財政的に助けたことには変わりない。月曜日の朝のスタッフミーティングで、最新の売上報告をジョンに見せると、彼は「どうやら給与が支払えそうだ」と言った。(P.122)



まとめ

 このあと本書は、Google社による買収や、その後のGoogleでの日々、そして待ちに待ったGoogleマップ、Google Earthのローンチへと続きます。

 「地球の3Dモデルをつくる」というビジョンに忠実に、たとえ無給でも働き続けるキーホールのメンバー、そしてそれを可能にするジョン・ハンケの人間的魅力がつまった本書は、働くということの楽しさを思い出させてくれる1冊になっています。

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(Written by Publisher’s editor)




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