今回は、Ken Honda著、本田健訳の『一瞬で人生を変える お金の秘密 happy money』を紹介します。
本書は、140冊以上の著書を持つ本田さんが、これまでの作家人生のエッセンスを詰め込んだ一冊。初の英語での書き下ろし本として世界で出版され、初版で20万部発行が確実とされた話題の書です。
本田さんが考える「お金の秘密」、それは、この世界には「Happy Money(幸せなお金)」と「Unhappy Money(不幸せなお金)」があるということです。
一体どういうことなのでしょうか。
この記事では、「Happy Money」と「Unhappy Money」の違い、そして「2つのお金の知恵」についてご紹介します。
「Happy Money」と「Unhappy Money」とは?
「Happy Money」とは、愛情や思いやり、友情を伴って流通しているお金のこと。
簡単に言うと、支払うときや受け取るときに心が満たされているお金です。家族に旅行をプレゼントしたり、慈善団体に寄付したりするとき、そして相手から感謝されながら報酬を払ってもらうときなどは、誰もが心が満たされているのではないでしょうか。この種のお金は、人々を笑顔にし、人々に「自分は愛されている」「とても大切にされている」と感じさせます。
一方、日頃の家賃や税金の支払いを毎回笑顔で行っている人は少ないでしょう。それは「心がワクワクしない支払い」だからです。このように不満や怒り、悲しみ、失望を伴って流通しているお金が「Unhappy Money」です。
この種のお金は、人々にストレスを与え、人々を絶望させ、イライラさせ、落ち込ませ、時には暴力的にします。そして人々から、品位や自尊心、優しい心を奪います。あなたがネガティブなエネルギーを抱えながら、お金を受け取ったり使ったりしたら、そのお金は必ず「Unhappy Money」になります。
たとえば
- 好きな仕事ではないのに、辞められないまま、会社から給料を受け取る。
- あなたに金を払うことを不快に思っている人──たとえば、「あなたにはこのお金を受け取る資格がないが、契約した以上はとにかく支払います」といった不満を抱えた顧客など──からお金を受け取る
のように、お金を受け取るときも、誰かのネガティブな感情が伴ってしまうと「Unhappy Money」となります。
私たちは「Happy Money」の流れか、「Unhappy Money」の流れか、どちらかに入って生活しており、どちらの流れの中で生活するかで、人生はまったく違うものになると本田さんは言います。
毎日なんとなくお金を使っている人にとって、ハッとする考え方ではないでしょうか。私はこの考えを知って、「ワクワクするお金の使い方」を意識するようになり、これまで人間関係に気を遣って参加していた気乗りしない飲み会にお金を使うことがなくなりました。そのおかげでより幸福度が上がったと感じます。
2つのお金の知恵(IQとEQ)とは?
では、「Happy Money」の流れに身を置くためにはどうすればよいのでしょうか。そのために必要な「2つのお金の知恵」について紹介します。
「2つのお金の知恵」とは、IQ(知能指数)とEQ(心の知能指数)のことです。
「お金のIQ(知能指数)」とは、経済に関する知識のことで、投資や税法、その他の一般的なお金の知識を勉強することで身につけることができるものを言います。お金のIQが高い人は、どのようにしてお金を稼ぎ、使い、守り、増やすかを考えることができます。
一方、「お金のEQ(心の知能指数)」とは、お金に対する私たちの感情面における知性のことを言います。「お金のEQ」が高い人は、どんな状況にも感謝できる心の平安を持っており、どのようにしてお金を受け取り、楽しみを味わい、自分を信頼し、分かち合うかを考えることができます。
多くの場合、お金が絡む失敗は感情と関係しています。さまざまな感情が自分の行動に影響を与えることを理解し、感情をコントロールできなければ、お金に関して正しい判断をすることはできません。
たとえMBAを取得するような秀才でも、お金のEQが低ければ、いずれはお金を失ってしまう可能性があるのです。ものすごく頭がいいのに選択を誤って破産する人が世界中にたくさんいるのは、「お金のEQ」が低いからだと本田さんは指摘します。
たとえば他人と比べて高い時計を買ったり、車を買ったりしても、一時的な満足感が得られるだけで、すぐにまた新たな欲求に取り憑かれてしまいます。
IQを使ってお金を手にしたとしても、EQが低ければ幸福度は上がっていかないのです。大事なのはこの2つのバランスです。
お金のEQタイプとは?
お金のEQを高めるには、自分の感情、内なる傾向や性格を知り、自分とお金との関係を見つけ直すことが必要です。そのための参考になるのが「お金のEQタイプ」です。
お金のEQタイプとは、お金の使い方に合わせて著者が独自の視点で定義した分類で、「溜め込み」タイプ、「浪費家」タイプ、「稼ぎ中毒」タイプなどがあります。
「溜め込み」タイプは、文字通りお金を溜め込むことそのものが好きな人間で、ただ溜め込むことに愉悦を感じる人のことを言います。
「浪費家」タイプは、稼いだお金をどんどん娯楽などに消費していく人のことです。
そして「稼ぎ中毒」タイプは、お金を稼ぐことに愉悦を覚えるタイプの人のことで、お金をどう使うのかではなくどう稼ぐのかを考えることが好きな人種です。
これら3つのタイプには、どれも良くない点があると本田さんは言います。
「溜め込み」タイプは、お金を使わないから自分や他者を笑顔にできません。「浪費家」タイプはお金が増えずにどんどんなくなっていくから幸せにはなれませんし、「稼ぎ中毒」タイプも稼ぐだけで人を笑顔にすることに使わないため、幸福感が得られません。
大切なのは、この3つのタイプをうまく合わせて、自分のライフスタイルにあったお金のEQタイプを作っていくことです。
私は「浪費家」タイプと「稼ぎ中毒」タイプの良さを合わせて、稼いだお金を株の購入などに使い、資産を増やしていくのがいいかなと思いました。
ぜひあなたも、本書を読んで自分はどのEQタイプが合っているか考えてみてください。
まとめ
本書を読むと、日頃のお金の使い方を見直すようになります。著者の説く「幸せなお金の使い方」を読んでいくうちに、自然と「自分のお金の使い方は正しかったのか」を考えるようになるからです。
お金の有効な使い方や増やし方を考えたことはあっても、「幸せな使い方」を考えたことがなかった私にとって、とても新鮮な内容でした。
自分がどうお金と向き合っていくのが幸せなのか、ぜひ本書を参考にして考えてみてください。