ディズニーの元人材トレーナーが教える!夢をかなえる時間の使い方

ディズニーの元人材トレーナーが教える!夢をかなえる時間の使い方




 子どもが生まれて以来、ずっと働き方に悩んでいる宮本真知と申します。

 「働き方改革」が叫ばれ、女性には、家庭と仕事の両立をして働くことが求められるようになっています。

 一方、職場における妊娠・出産に関する不利益な取り扱いやハラスメント、いわゆる「マタハラ」の相談件数は、平成28年度だけで7,344件あり、セクハラに続く2位の相談件数になっています。(参考:働く女性に関する対策の概況

 子どもを産み育てながら、好きな仕事を続けていくためには、まだまだハードルが高い社会というのが実情ではないでしょうか。

 今現在、子育てと仕事の狭間で悩んでいる、将来子どもが持ちたくても仕事とのバランスが取れるか不安で躊躇している、そんな方にこそ読んで欲しいのが、この『ディズニーの元人材トレーナーが教える 夢をかなえる時間の使い方』です。

 著者の櫻井恵里子さんは、10万人以上のキャストを育てた、元ディズニーのカリスマ人材トレーナー。今は西武文理大学サービス経営学部専任講師を務めています。お子さんが小さな頃に大学教授へとキャリアを転向したそうで、まさに、この本を読んでいる私たちのお手本のようなお母さんです。

 本書は、「お母さんも夢を追うことを諦めないで!」というメッセージに溢れており、キャリアに不安を感じている女性であればどんな方でも、ヒントになることが書かれているはずです。兼業主婦まっさかりの私が、本書で本当に役立った時間の使い方をご紹介します。



時間が欲しい本質的な理由を考えよう

 毎日時間に追われている、もっと自分の時間が欲しい。でも、なぜ時間が欲しいのか、時間があったら何に使うのか、何に使えばもっと幸せになれるのかについて、真剣に考えたことはあるでしょうか?

 櫻井さんは、まず「時間が欲しい本質的な理由を考える」ことが重要だと言います。なぜならそれが分からなければ、仮に時間が手に入ったとしても、その分仕事を増やしてしまったり、子どもに尽くしてしまったりして、結局自分の幸せにつながる時間の使い方ができないからです。

 これでは今までの生活とたいして変わらず、また時間が足りないと感じるようになってしまい人生の充実度は高まっていきません。

 時間が欲しい最大の理由。それは突き詰めると、「今よりも幸せになりたいから」ではないでしょうか。櫻井さんは、時間を作る理由は「ハピネス」だとして、発想の根幹をそこにおけば、視野が一気に広がると言います。

 時間術は、あくまで目の前の事態をなんとかする対症療法でしかなく、根本的なところから人生を変えるものではありません。時間術に「人生を変える魔法の力」を与えるには、そもそもなぜ時間が欲しいのか、どんな未来に向かって時間を使っていきたいのかを明らかにして、そこから自分が取るべき行動を考えていく必要があるのです。

時間をつくる目的は「プライベート」と
「キャリア」に分けて考える

 今よりも幸せになるために時間を使うのであれば、当然、自分にとっての人生の幸せや価値あるものは何かを明確にしなければなりません。

 櫻井さんは、「プライベート」と「キャリア」の2つに分けて考えることを勧めています。

 「プライベート」は主に自己の内面を充実させていくためのもの。好きなことや興味のあること、ワクワクすることを自由にイメージし、それを達成するための必要時間を算出します。その時間をつくるために本書で紹介されているような時間術を実行していけば、幸福度を高める時間の使い方ができるようになります。

 一方、「キャリア」は生活を支えるものであり、社会や会社といった他者との関わりの中で自己実現していくものなので、「どうなったら幸せか」が見えにくい性質があります。

 そこで、自分がキャリアを歩むにあたって大切にしたいこと、これだけはどうしても犠牲にできないという価値観や欲求、動機、能力とは何なのかという自己イメージを明確にすることからスタートします。

 そうすれば、「今後どのようなキャリアを積んでいけば今よりも幸せになれるのか」がある程度わかりますし、その道を進むのに必要なスキルや資格を獲得するために時間を使うことが、そのまま幸せにつながる時間の使い方となります。

「ハピネス3要素」を意識して予定を立てる

 次に、時間軸をもう少し狭めて、年単位での「幸せになる」スケジュールをつくっていきます。夢や目標が「長期ビジョン」であるのに対し、年間スケジュールはそれらを達成するための「中期戦略」と位置付けられます。

 櫻井さんは「ワクワク」を上手に利用することで、楽しく目標達成をする方法を紹介しています。

 それは年間計画を立てる際に、以下の3つを意識して予定を立てるというものです。

  1. 感性と理性で感じる「楽しみ」
  2. 善意のコミュニケーションから生まれる「喜び」
  3. 無垢なものから自然に受ける「感動」

 これらはディズニーの「ハピネス3要素」と呼ばれており、その日がくるのが待ち遠しく、ワクワクするような予定をあらかじめ意識的に入れこんでおくことで、年間計画の達成率がぐっと上がるといいます。

 ざっくり言うと、①自分が楽しそうと思えるような予定や、②他人を喜ばせられるような予定、③自分の心が豊かになるような予定を入れるということです。

 たとえば年間の計画を立てるときに、最初に旅行やイベントなど楽しい予定を入れたり、自分の両親に孫の顔を見せに行く、友人の誕生会を企画するといった他人を喜ばせる予定を入れたり、美術館やライブなど、素直に感動できる体験ができる予定を入れたりします。

 自分が幸せになるものから予定を埋めていくと、事前に日々の幸福度が高まり、それがさらなる幸せを呼び込むため、計画が達成されやすくなるのです。これは脳科学的にも証明されていることです。

 では、どうすればその計画を実行するための時間をつくることができるのでしょうか。

1日10分家事を短縮できたら…?

 総務省統計局の調査によると、2017年の「女性の一日の平均家事時間」は2時間24分。単純計算で1ヶ月に72時間もの時間が、家事に使われているそうです。

 もし一日の家事を10分だけ短縮できたとしたら、1ヶ月で約5時間もの時間が空くことになります。月に5時間あれば、自分が幸せを感じられることに取り組む時間としては十分ではないでしょうか。

 家事のやり方次第で、自分を幸せにするための時間を確保することができるのであれば、当然時間術を知りたくなるはずです。本書には、そのための具体的なテクニックもたくさん紹介されています。

 長期ビジョン、中期戦略があるからこそ、日々の時間術を使うことに意味があり、生み出した時間を有意義に使えるようになるのです。

働く女性へのアドバイスが心に沁みる

 本書は巻末に、仕事をする女性の悩み相談のコーナーがあります。時間の使い方について著者が答える形式になっているのですが、これが同じ「働く母」として心に響くものばかりで参考になりました。

 仕事をフルでしていると、なかなか家事に時間が割けません。(中略)洗濯機が回り終わるまでによく寝落ちしてしまい、夜干せないようなこともたびたび起こります。(中略)何より、子どもと向き合う時間をもっと作りたいのですが、なかなかそれも確保できず、悩んでいます。(P.171)

 まさにこれ、私のことです。櫻井さんのアドバイスは以下の通り。

 一日、仕事をしたうえで家事もこなしていれば、ときに手抜きになるのも、無理もないことです。ですから、それで自分を責めないでいただきたいと思います。「完璧にこなそう」というより、「8割できれば御の字」の気持ちでよいのではないでしょうか。

(中略)

 お子さんが8歳と4歳とのことですが、洗濯物をたたむのを手伝ってもらうのもいいと思います。「ママとどっちが早いか競争しよう」と言って楽しみつつ、お手伝いの時間と触れ合いの時間を両立させましょう。(p.173)

 このようにとても具体的なアドバイスでためになります。この投書欄を読んでいるだけで、「みんな頑張ってるな!」「私も工夫して自分の時間を作るぞ!」と励みになりました。

 私も、まずは「ワクワクする予定」を来年の手帳に書き込むことからはじめてみます。




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宮本真知
アラサー一児の母。事務職、占い師を経て、ライターの道へ。

不思議なことが大好きで、占いやおまじないを中心に執筆しております。

生まれて以来の本好き。尊敬する作家は、安部公房、レイブラッドベリ、町田康。




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