『死ぬこと以外かすり傷』天才編集者・箕輪厚介の仕事論

『死ぬこと以外かすり傷』天才編集者・箕輪厚介の仕事論




 こんにちは。ノイエです。

 今回は、箕輪厚介さん著『死ぬこと以外かすり傷』を読んでみました。

 箕輪さんは、幻冬舎とNewsPicksがコラボしたビジネス書レーベル「NewsPicks Book」を立ち上げ、ベストセラーを連発しています。堀江貴文さんの『多動力』や落合陽一さんの『日本再興戦略』、佐藤航陽さんの『お金2.0』など編集に携わったタイトルが軒並み話題になっており、美女読書でも数々の書評が上がっています。

 これらの本はわたしも読んでみましたが、どれも感銘を受ける良書ばかりでした。ベストセラーを毎月のように世に送り出している箕輪厚介さんの仕事術やアウトプット法を知れば、文章を書くのが上手くなるヒントを得られるのではないかーーそう思ってこの本を手に取りました。

 今回は、本書の第6章[生き方]「熱狂せよ」に焦点を当てて、箕輪さんが本を作る上で基本とすることは何かについて紹介したいと思います。

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大切なのは自分の心が動くかどうか

 「本が売れること自体を目的にしていない」という箕輪さん。では、いったい何を目的にしているのでしょうか。

 僕はただ自分の読みたい本を作るだけだ。その最初の瞬間には、売れるか売れないかはどうでもいい。自分が好きな本を好きな著者と作る。それだけ。

 売れる本を作っているのではなく、ただ自分が好きなものを作って、好きだから、一冊でも多くの人に届けるために売る努力をしているだけ、という考え方なのです。

 たとえば、佐渡島庸平さんの著書『WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE.』。この本は、佐渡島さんのコミュニティ論について箕輪さん自身がもっと知りたいから出版したそうです。通常、英語のタイトルの本は売れないので、編集者は断るケースが多いようですが、箕輪さんは「売れる売れないを理由に本を作ることはない。あくまで自分が読みたいかどうか」を基準で出版を決めるといいます。どれだけ健康本が売れていようが、健康に興味がない箕輪さんには作れないのだそうです。

 あくまで自分が熱狂できるかが基準で、世界中の誰も興味を持たなくても、もし自分が最高の本だと思えば、それでいい。

 ただひたすらに自分の感覚で自分の読みたいものを作る。

 こっちから読者や時代に合わせていくことはない。

 これが、箕輪さんが本を作るときの考え方なのです。



数字から逃げるな

 そんな箕輪さんですが、数字に対しては厳しいプロ意識を持っています。ただ好き勝手に暴れまくっているわけではないのです。

 好きなことをやる、というのは重要だ。そこから逃げるな。しかし、そのための数字からも逃げるな。金を稼げ。金を稼いでロマンを語れ。

 箕輪さんは、会社のお金を使って赤字を垂れ流して「作りたい本を作ればいい」などというのは甘えに過ぎないと指摘します。自分が好きなことをやるためにも、自分が好きな本を作るためにも、わがままで自由でいるためにも、数字と闘わなければいけないのです。

 たとえば、箕輪さんがNewsPicks Bookを立ち上げると決めたとき。社内の人たちから一番言われた言葉は、「もしNewsPicks Bookが売れなかったらすぐにやめられるか」だそうです。

 箕輪さんはこの指摘を「まっとう」と受け止めます。結局は、本が売れるか、売れないか。書店で棚を取れるのは売れる本であり、売れない本は、お客さんの目にすら入りにくい場所に置かれる運命にあります。

 絶対に売れる本にしなければいけないと考えた箕輪さんは、堀江貴文さんの『多動力』をNewsPicks Bookの第二弾で出しました。

 数字を取りに行く。僕の中で明確な意思を持っていた。本の作り方から、プロモーション戦略に至るまで、売れるということから逆算して、僕のそれまで培ってきた全知見、全人脈を賭けて一滴の水もこぼさぬ覚悟でやりきった。

 結果、怒涛の勢いで売れ続け、『多動力』は30万部を超える大ベストセラーになりました。

 ちなみに、あまり知られていないことですがNewsPicks Bookの収益モデルは特殊で、本のヒットに頼らない安定的な収益を得るビジネスモデルが背景にあります。

 NewsPicksアカデミアという月額5,000円のサービスがあり、現在は開始から1年経過し、会員数は3,000人を超えています。アカデミア会員はNewsPicksアカデミアが主催するイベントに参加できるだけでなく、NewsPicks Bookが毎月1冊自動的に送られてくるのです。

 幻冬舎には会員分の書籍売り上げが入ってきます。つまり、毎月数百万は安定的に収益が上がるようになっているのです。この構造によって、NewsPicks Bookは書店で1冊も売れなくても赤字にならないシステムを作ることに成功しました。

 だから、NewsPicks Bookは英語のタイトルでも、極端なデザインでも、無名は著者でも僕がいいと思えば出版できる。売れるかどうかは気にせず僕が好き勝手にフルスイングできる。わがままし放題。そしてその勢いが読者に伝わり、また売れていく。

 箕輪さんはただ熱狂して好き放題するだけで、NewsPicks Bookを軌道に乗せたのではなく、厳しいプロ意識に裏打ちされた考え方を土台に、自分が読みたい本を世に送り出した結果、ベストセラーを連発できる仕組みを作ることができたのです。

まとめ

 箕輪さんの『死ぬこと以外かすり傷』を読んで、今後の自分の行動にどう生かすかを考えたとき、一番強く思ったのは、今自分が書いている書評を本当に「自分が読みたい」書評として執筆しようということです。

 自分の文章を「本当に読みやすいか、わかりやすいか、面白いか」という視点で考察すること。それは独りよがりではできず、冷静さと客観的な視点を必要とする作業のように思います。自分すら、たいして読みたい思えない書評を、読者の皆さんが楽しんで読んでくれるわけはありませんから。

 今の自分の仕事のやり方に迷いがある人にとって、この本は仕事とは何なのかを考えさせてくれる、ヒントに満ちた一冊です。

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