こんにちは。ノイエです。
今回は『子どもの才能を引き出す最高の学びプログラミング教育』という本を読んでみました。
著者の石嶋洋平さんは、Webコンサルティング会社であるミスターフュージョンの社長で、2017年から、小学生向けのプログラミングスクール「プロスタキッズ」を全国で展開しています。
わたしがこの本を読んだ理由は、4歳と2歳の二人を育てる母として、前々から「プログラミング教育」について関心を持っていたからです。
プログラミング教育は2020年度から、小学校で必修化されます。また、大学入試センター試験に代わって導入される「大学入学共通テスト」でも、プログラミングなどの情報科目の導入が検討されています。
そもそも、なぜプログラミング教育が注目されているのか、また子どもの頃からプログラミングを学ぶことにどんな効果があるのか、この本を読むととてもよくわかります。
なぜプログラミング教育が注目されるのか
小学校でプログラミング教育が必修化される理由は、おもに
- 「IT人材の育成」
- 「プログラミング的思考の育成」
の2つがあると石嶋氏は述べています。
①なぜIT人材の育成が急がれているのか?
なぜIT人材の育成が急がれているかというと、プログラマーが圧倒的に不足しているからです。
IT機器やIT関連サービスを開発するには、プログラミングスキルをもったプログラマーが必要であり、プログラマーの需要は増え続けています。ところが、増加する人材の需要に対して、供給が追い付いていないのが現在の日本の状況なのです。
経済産業省が2016年6月に発表した「IT人材に関する調査」によると、国内ではIT人材の供給が2019年をピークに減少へと転じ、2020年には「約37万人」、2030年には、「40~80万人」が不足すると予想されています。
プログラマー不足を解消するためにも、義務教育の早い段階からプログラミングを学ばせ、IT人材の間口を広げておく必要があるのです。
今後、「プログラマーの市場価値は高まる」と見られているため、子どもの将来のキャリア形成の面から見ても、プログラミング教育が必修化されるのは、とても良いことのように思います。
②「プログラミング的思考」の育成とは?
では、もう一つの「プログラミング的思考の育成」とはどういうことでしょうか。
「プログラミング的思考」とは、一言で言うと、「こうしたい」という結果を実現するために、「何を、どのような順番で組み合わせればいいか」を考える力です。
プログラミングでは、
- コンピューターにやってもらいたい動きを決める
- その動きを実現するためには、どの記号をどのように組み合わせればいいのかを考える
- 実際にプログラミングを書く
- コンピューターを動かしてみる
- 不具合があれば、その原因を考える
- プログラムを修正する
というプロセスを踏みます。プログラミング教育でこうしたプロセスを学習することで、物事を論理的に考えたり、目的を達成するための手順を明確に描いたり、知識や情報を整理したりする力が身に付きます。
石嶋氏は、プログラミング教育の導入は、プログラマー不足に応えるものであるとしつつも、「プログラマーの育成」は直接的な目的ではないといいます。
プログラミング言語を覚えることや、プログラミングの技能を習得すること以上に、プログラミングを学ぶ過程で得られる「考える力」を伸ばし、「プログラミング的思考」を身につけることが最大の目的なのです。
石嶋氏は、今後の国際化社会の中では、「自分の考えや意見を論理的に述べて問題を解決していく力」が求められ、「考える力」は、IT業界にとどまらず、日常生活や仕事のあらゆる場面で役に立つ力であると述べています。
本書を読んで、単なるキャリア形成の視点からではなく、普遍的に求められる力を身につけるためにも、子どもにプログラミング学習をさせてあげたいと思いました。
プログラミング教育で身につく7つの才能
プログラミング教育で身につく能力といえば、「論理的思考力」をイメージする人が多いと思います。
石嶋氏によれば、プログラミングを学ぶと「問題解決力」「クリエイティブ力」「主体性」など、以下の7つの才能が育つといいます。
プログラミング教育で身につく7つの才能
- 「目標設計/設定力」(目的意識)…目標から逆算して、物事のプロセスを考える力
- 「論理的思考力」…矛盾なく、筋道を立てて考える力
- 「数学的思考力」…数字、式、図、グラフ、図形を用いて考える力
- 「問題解決力」(問題発見力)…問題点を洗い出し、リカバリーする力
- 「クリエイティブ力」…頭の中のイメージを具現化・視覚化する力
- 「実行力」(主体性)…主体的に、自ら進んで取り組む力
- 「文章読解力」…情報を正しく処理、操作(受信、発信)する力
ここでは、7つの才能の中でも、あらゆる才能を伸ばす基礎となる「目標設計/設定力」(目的意識)についてご紹介します。
プログラミングで「目標設定力」が身につく
プログラミングとは、スマホアプリを作りたい、ゲームを作りたいなど「自分のやりたいこと」を実現するためのスキルです。
コーディングを覚えることが目標(目的)なのではなく、それを使って「何かをつくり、動かす」ことが目標です。
「自分が何をつくりたいか」「コンピューターに何をやらせたいのか」という目標が決まると、そこから逆算して、「どのようなルールが必要か」「そのルールを実行するために、どんなプログラムをつくればいいのか」といったプロセスを設計できるようになります。
「まず目標を決め、それを実現するための最善手を逆算して考える」という手順を踏むことで、子どもたちは「自分自身で目標を決める力」と、「目標を達成する方法を考える力」を育むことができるのです。
学校の勉強がつまらないのは、「目的」があいまいだからだと石嶋さんは言います。「何のために覚えなければならないのか」「それをいつ、どのように使うのか」「本当にそれが役に立つのか」がわからないから、やる気が出ず、楽しめないのです。
確かに、学校の勉強の大半は、なぜ覚えなければいけないのかがわからないものが多かったように思います。特に歴史の年号や、理科の化学式のようなものは、やりながらも、将来本当に役に立つのかが不明で、わたしにとってはやらされている感が満載でした。
「プロスタキッズ」では、最初のオリエンテーションで、「どんなことをしてみたいか」という「目標(ゴール)」を子どもたちに設定してもらうそうです。「やりたいこと」(目標、ゴール)が決まっているから、「やるべきこと」(プロセス)が明確になり、自然とプログラミングを学ぶ意欲が湧いていきます。
ゴールが不明確なまま、言われたこと、目の前のことを順番に行なっていくだけでは、結果として、「言われたことしかできない人間」になってしまいます。
プログラミングによって、子どもが「自分自身で目標を決める力」と、「目標を達成する方法を考える力」を育むことができれば、子どもの自主性や自分の頭で考える力がどんどん伸びていきます。
子どもの頃からプログラミング教育をすることの意義はここにあるんですね。
まとめ
石嶋さんが「プロスタキッズ」を設立した思いの1つに、AIの発展による仕事の代替にも揺るがない「設計する力」「論理的思考」を身に付けてほしい、というのがあるそうです。
本書を読んで、自分の子どもが社会人として活躍する20年後、30年後がどんな社会になっているかはまだわからないけれど、「プログラミング的思考」はそのときになっても必ず役に立つということが実感できました。
また、本書には石嶋さんが運営する「プロスタキッズ」を始め、「プログラミングスクール」に通わせるメリットについても触れられています。この書評を読んで、子どもにプログラミングを学ばせたいと思われた方は、本書も手にとって読んでみてください。
ぜひ、親子でプログラミングを楽しんでみてくださいね。