もうすぐ2017年も終わります。みなさんこの一年はどんな年だったでしょうか?
年の初めに目標を立てた方は計画通りにいきましたか?
私は毎年、1ヶ月ぐらいは順調に計画を進めることができますが、一年を通じて続けることができないのが悩みです。
そんなとき目に入ったのが、今回ご紹介する『自分を動かし続ける力』。タイトルにある「動かし続ける力」という言葉を見て、「続ける」ためのヒントを得られのではないかと思い、読んでみることにしました。
著者の鈴木琢也さんは1986年生まれで、現在グロービス経営大学院に勤務されています。偏差値30台の高校の元ヤンで、就職後も落ちこぼれサラリーマンだったという鈴木さんですが、周りのデキる先輩たちを見て「変わりたい」と奮起したことから、彼らが卒業しているトップランクの大学に入ることを決意します。
それは世界大学ランキングで常にトップ10に入る名門校、カリフォルニア大学バークレー校。孫正義さんやApple共同創業者のスティーブ・ウォズニアックさんも学んだこの大学に、鈴木さんは見事合格、卒業します。
「海外の大学は卒業するのが難しい」とよく聞きます。著者も、渡米してからの5年間は自分自身との戦い、あらゆる出来事が困難なチャレンジだったそうです。
そんな中で挫折しないためには、「変わろう」という意思を強く持ち、「自分を動かし続ける」ことが欠かせません。鈴木さんは「三日坊主でもOK。立ち止まるのではなく、進み方をどんどん変化させ、試行錯誤を繰り返そう」と述べています。
まさに「行動し続ける」ということですね。
今回は、目標の実現に向かって「自分を動かし続ける」ために、本書から役に立つアイデアをご紹介します。
突き抜けた成果を出すための行動プロセス
自分の希望や目標を実現させるためには、何よりもまず「自分を知る」ことが大切です。
「なぜいま自分はここにいるのか。自分は何をしたいのか。自分は何に強く、何に弱いのか」を知らなければ、これからどこへ向かっていくのか、どのルートをたどるのが最善なのかを決めることができないからです。
鈴木さんは、UCバークレーにいくために次のことをやったそうです。
①自分を知る。
鈴木さんは「自分史」を作ることをすすめています。例えば高校進学の際、なぜその高校を選んだのかを思い出してみましょう。
鈴木さんは「これまで自分がしてきた選択を確認することで、自分が進みたがっている方向や選択の傾向が少しずつ見えてくる」と述べています。
今までの人生の中でどのような「選択」をしてきたのかを年表にすると面白そうですね。
②目標設定はできるだけ無茶をする。
もう一つ重要なのが、目標設定の仕方です。一般的には、自分の能力から逆算して、達成できそうな目標を決める場合が多いかもしれません。しかし鈴木さんは「自分の能力を大きく超えるような目標を目指さなければ、大ジャンプはできない」と言います。
実際に大学受験を考えたとき、まっさきに検討したのは東京大学だったそうです。しかし何年も前から準備してきた他の受験生に勝つためには、必死にやっても2~3年はかかる。そこで見つけたのが、海外の大学でした。知力だけでなく人間力が重視される選考であれば、それまで生きてきた経験がアドバンテージになる可能性があると考えたのです。
結果、語学学校で半年間勉強し、コミュニティカレッジを経て、カリフォルニア大学バークレー校に編入すことになります。
目標設定では無茶をする代わりに、目標に至るまでの計画は、失敗したときのプランBも考えるなど超保守的にしていたと言います。
大きな目標を達成する人は「目標に向かって一直線に進む」というイメージがありましたが、実際は複数の選択肢を持って、手堅く計画しているんですね。
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「自分を動かし続ける」メソッド
自分を知り、目標を設定したら、後はその達成に向けて「自分を動かし続ける」ことです。
①「グーグル逆カレンダー」で時間のつかい方を検証する
鈴木さんは、「自分が何にどのくらいの時間を割いているかを知ることは、自分の傾向を客観的に確認する重要な手がかりになる」と述べています。
「グーグルカレンダー」を利用して、勉強時間を「黄」、勉強に関係ない時間を「赤」、勉強ではないけど有益な時間(新聞を読むなど)を「青」のように色分けし、逐一記録していきます。未来の予定ではなく、過去を記録していくので「逆カレンダー」です。
一日の終わりにカレンダーを見ると、自分がすべきことを「たくさんできた」という日と「思ったほどできていない」という日が一目でわかります。こうすることで、どうして勉強できなかったのか、何に時間を割いてしまったのかを自然に考え、試行錯誤をし、結果、意外な空き時間を見つけたり、生活を改善するポイントがわかったそうです。
何をやっても三日坊主で終わってしまう人は、まずはこの「時間のつかい方の検証」から始めてみるといいかもしれませんね。ゲーム感覚で楽しみながらできそうですし、試行錯誤を続ける練習にもなるのではないでしょうか。
②さまざまな分野のメンターを決める。
最近、日本でもメンター制度を導入する企業が増えましたよね。鈴木さんが取り入れていたのは、大企業のようなメンター制度ではなく、メンターとしてふさわしいと思う人を自分で勝手に決めていたそうです。
例えば、お手本になる先輩、言いづらいことをズバッと指摘してくれる友人、我が道をいく刺激的な知人など複数のメンターを探し、彼らと会話する機会を意識的に作っていました。
先に、変わるためには「自分を知ること」が必要だとお伝えしましたが、自分自身の変化に気づくことは難しいですよね。メンターには、自分を客観的に評価してくれるというメリットがあるのです。
と同時に、自分だけの力で「自分を動かし続ける」ことが難しいからこそ、信頼できるメンターの存在が不可欠とも言えます。
他に「動かし続ける」方法として、本書では「仲間と一緒に勉強する」「目標を宣言する場を持つ」などについても紹介されています。
③ユニークさを意識する。
また鈴木さんは、自分を変えるために「いかにユニークな存在になるか」を意識してきたそうです。UCバークレーで出会ったずば抜けてデキる人には、必ず「ユニーク」な部分があったからです。「ユニーク」とは「オンリーワン」という意味で使われています。
自分の強みと弱みを検討し、他人と異なるユニークな存在になると決めたことが、鈴木さんにとって大きなモチベーションとなり、自分を動かし続ける力として機能していたんですね。
UCバークレーで提供されているさまざまなプログラムも、「自分をよりユニークにする経験ができるか」という視点で、参加するかどうかを検討していたと言います。
何か新しいことを始めるときは「面白そう」だけではなく、「他人と異なる存在になれるか?」を考えるようにしてみてください。
まとめ
本書は、海外の大学に行くための具体的な勉強法が書かれているわけではありません。しかし行動し続け、自分を変えるヒントは、仕事や日常生活で役立ちそうです。
個人的には、「もともと人間関係をうまくつくれない性格」だという著者のお父様のエピソードが興味深く、「不得意な分野にあえて勝負することで、自分の足りない部分を高める」というのは心がけていきたいことだと感じました。
気になる方は、是非読んでみてくださいね。