起業する上で絶対に知っておくべき9つのこと『起業は意志が10割』

起業する上で絶対に知っておくべき9つのこと『起業は意志が10割』




 新型コロナウイルスの感染拡大によって、全世界全世代が同時多発的に進化圧を受けています。

 そんな今だからこそ、「新たな事業の力」が必要であるとして、起業による社会課題の解決を勧めるのが、『起業は意志が10割』です。

 著者の守屋実さんは「起業のプロ」として

 <52=17+21+14>

というキャッチコピーを掲げています。52は年齢。17は企業内起業の数。21は独立起業、14は週末起業の数です。つまり年齢と同じ数の起業を経験している、まさに「起業のプロ」と言える方です。

 コロナ禍で多くの社会課題が浮き彫りとなった一方、ITの進化やSNSの浸透によって、個人として活躍しやすい時代となりました。今は誰もが起業で成功できる時代とも言えます。

  本書は、起業によって社会課題の解決をしたいと考えるすべての人の背中を押すために書かれた一冊です。

 さっそく、著者が考える「起業する上で絶対に知っておくべき9つのこと」について紹介します!

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起業する上で知っておくべき9つのこと

1.起業は意志が10割

 まず、何より重要なのが「意志」を持つことです。起業は「挑戦したい」という熱量がなければ成功しません。自ら沸き起こる想いなしに、苦難は乗り越えられないからです。

 意志がなければ何も動かない。だから著者は「起業は意志が10割」だと説いています。意志がないのに始めてはならないと肝に銘じましょう。

 粗削りであってもいいし、正解がわかっていなくてもいい。自らから沸き起こる思いこそが重要であると著者は説きます。

人は心が原動力。挑戦したいという熱量がすべてを決める。あなたがなし得たいことはどんなことなのか? 強い意志を持って、一歩を踏み出してほしい。(p.42)

2.顧客から考える

 起業で成功するには、顧客の立場に立って、顧客の問題を見ることが重要です。

 最初の動機は顧客視点だったのに、いつの間にか自社都合にすり替わっていることはよくあること。現実的な問題やさまざまな制約条件での事業展開となるため、いつの間にか顧客視点がこぼれ落ちてしまうのです。

 顧客への理解を深めずに、自社都合で事業を生み出してはいけません。

あなたのために作られた商品・サービスと、生産者が自分の売り上げを補填するために作った商品・サービスのどちらが魅力的に映るだろうか。「顧客視点の欠落した事業に未来はない」──この厳しい現実をよく理解しておいてほしい。(p.47)

 顧客を理解する手法として、アンケート調査や統計がまず思い浮かぶと思います。しかしそこから作られたイメージではリアリティがなく、十分な解像度になっているとは言い難いと著者は指摘します。

 顧客のことを理解するためには、実際に会いに行く、話を聞きに行く、意図を持って調査することが重要です。顧客解像度を高めることは、事業をスタートすさせる上で最低限の素養と言えます。

3.イシ・コト・ヒト・カネ

 一般的にビジネスで重要だと言われるのは「ヒト・モノ・カネ」です。

 しかし著者は、まず「イシ」が必要であり、「モノ」よりも「コト」(事業の構想)を持っていることが重要だといいます。今の時代、「モノ」は溢れているからです。

 これらのリソースは、一度に大量に備える必要はありません。必要となる順番や必要の度合いは、時間とともに変化します。変化に応じたロジスティック、つまり適切な補充や配分をしてくことが大切です。

 そして、そのロジスティックはどの事業においてもほぼ共通し、次の5つのステップで重要度が変化していくと言います。

  • ステップ1:イシ10割
  • ステップ2:イシ5割 コト5割
  • ステップ3:イシ4割 コト3割 ヒト3割
  • ステップ4:イシ3割 コト3割 ヒト3割 カネ1割
  • ステップ5:イシ3割(自ら+組織)コト2割(構想+具体)ヒト3割(共感+生活)カネ2割

 コト・ヒト・カネがすべて充足されていても、うまくいかない事業はたくさんあります。それは、先に「意志」がないからです。

 「何をなし得たいのか」「どのような課題を解決したいのか」という「自らの意志」がなければ、いくらコト・ヒト・カネがあっても意味がない。だからステップ1は「イシ10割」なのです。

コト・ヒト・カネがないからといって起業を諦める必要はないということだ。また、コト・ヒト・カネが十分に得られてから起業しようという考えも間違っている。さらにいうと、コト・ヒト・カネがあるから事業が成功するわけでもない。コト・ヒト・カネは必要に応じて、集まって(集めて)くるものだし、段階によってその必要性は変わってくる。(p.53)

4.コト=勝ち筋の確立

 コト(事業の構想)を考えるとき、もっとも大事なことは、「勝ち筋の確立」です。

 事業開発のプロセスは、勝ち筋を作り上げるプロセスです。勝ち筋とは、その事業が成長、成功するための戦略ストーリーのこと。因数分解すると以下のようになります。

  • 勝ち筋 = 勝利の物語 + 勝利の方程式
  • 勝利の物語 = その事業の成長、成功の肝となる部分を、文章で表したもの
  • 勝利の方程式 = その事業の成長、成功の肝となる部分を、数式で表したもの

 「勝利の物語」と「勝利の方程式」を持って、仮説検証を繰り返すことが、「勝ち筋」を確立するための方法です。

勝ち筋が見えるまでは、何回試したか、何回仮説を検証したかが、スタートアップの成長を規定するといっても過言ではない。試して、試して、試し切ること。そうしなければ、勝ち筋は見えてこない。(p.63)

5.ヒト=仲間と場所の力学

 ヒトとは「共感した仲間」のこと。1人でできることは限られているため、優秀な仲間がいなければ事業を成長させることはできません。

 しかしヒトがいないから最初の一歩を踏み出せない、ということもありません。必要な人材が社内にいなくても、「生態系」を持つことで人材の力を担保すればいいのです。

 生態系とは、「この分野だったらこの人に相談しよう」「これはあの人に頼むとうまくいくかもしれない」など、困った時や事業を進める時にパッと顔が思い浮かぶような人々との「信頼のつながり」のこと。

 つながり方は、シンプルに「ツテを辿る」ことです。会いたい人につながっていそうな人に、あなたが何をしたいのか、それにより、どのような良いことが実現できるのか、そして、なぜ「その人」に会いたいのかを伝えて、それを繰り返します。

 何度か繰り返せば、やがて「その人」に近い人まで辿り着けるでしょう。ただし、会いたい「その人」の解像度が低いと、つないでほしいとお願いされた側が、誰を紹介すれば良いかわからず、紹介の確度が下がるので注意が必要です。

だからこそ、「その人」に会えるステップをきちんと踏むことが重要なのだ。そうすれば、必ず「その人」がたくさんいる「場所」に行き着ける。類は友を呼ぶので、「その人」たちと一挙に会えることも多い。そこまでいければ、あなたの生態系は、格段に大きくなる。(p.67)

 良質な場所には、強力な”上昇気流”が生じており、その場所に身を置けた時点で、かなりの確率で成功が手にできると著者は言います。

 どんなに優秀な人でも、すべての知識やすべての能力を自分一人で担保することはできません。だからこそ、生態系が必要なのです。

6.カネ=もっとも大事

 企業経営はあらゆることにカネがかかるため、マネタイズの仕組みを構築しなければ継続していくことはできません。

 「売り上げをつくる」という「見える」カネだけでなく、会社の中にある物や日々流れている時間、あらゆる利害関係者との信頼のように「見えにくい」カネもあります。

 そしてそれらの「カネ」は健全な投資かもしれないし、不健全な赤字かもしれません。見えないカネは換算しにくいのですが、大切なのは、一見「カネ」っぽくないエトセトラに対する強い「嗅覚」を持つことだと著者は言います。

 いちいち数値に置き換えることができるものではないため、まさに嗅ぎ取る感性を身につける必要があります。

 大切なのは日々の積み重ね。経営を自らのこととして考える姿勢があれば、おのずと身につくものだと著者は述べています。

7.一筆書きの高速回転

 次に大切なのは、ビジネスモデルを頭の中でとどめておくのではなく、アウトプットすること。それも「一筆書き」で「桁違いに」更新しまくることです。

 一筆書きすべきは、次の12個の手順。

  1. 満たされていない顧客のニーズを探る。
  2. 1のニーズを満たす商品やサービスを考える。
  3. 1がどうしてこれまで満たされないままで放置されていたのかを考える。
  4. 2がどうしてこれまで提供されてこなかったのかを考える。
  5. 商品やサービスを顧客にとって便利な方法で届ける。
  6. 商品やサービスをより良くするためのフィードバックをもらい改善する。
  7. 新たな顧客のニーズを探る。
  8. そのニーズを満たす商品やサービスを考える。
  9. 他社との競争に備える。
  10. これらを実現するための最適な体制を考える。
  11. これらを実現するための必要な資金を考える。
  12. これらを一連の経営計画としてまとめる。

 最初のうちは、荒くて構わないので、とにかく一気に書き上げることにこだわります。

 そして、12個のうちのどれかの解像度が上がるたびに、改めて一筆書きをします。荒くてもいいので何度も何度も一筆書きで書き直す。そうすることで、どんどん景色は変わり、ビジネスモデルは研ぎ澄まされたものとなっていきます。

 各ステップの詳しい説明は、ぜひ本書を確認してください。

8.報酬の4つのステップ

 一般的に「報酬=金銭」と捉えられがちですが、起業することで得られる報酬はそれだけではありません。

 新規事業と起業を繰り返し重ねた「量稽古」や「自身の強みの発見」、「生態系の構築」、そして「したいことへの挑戦」といったすべてが報酬となります。それらの報酬は、起業の段階によって得られるものが変わってきます。

 本書では、起業によって得られる報酬を、次の4段階を経ていくと説明しています。

  • 第1段階 報酬は、仕事の量稽古。量に比例して報酬が上がる。
  • 第2段階 報酬は、個人としての強みを活かした仕事。強みに比例して報酬が上がる。
  • 第3段階 報酬は、強みを活かした仕事の生態系の確立。生態系の規模や制度に比例して報酬が上がる。
  • 第4段階 報酬は、したいことへの挑戦。チャレンジに比例して報酬が上がる。

 第1段階は、社会人生活が始まったばかりでまだ仕事に慣れていない頃。自分が何に合っているのかもわからず、強みといえるほどのものもありません。そんな「まっさら」な状態だからこそ、「仕事の量稽古」が重要となります。

 なぜなら、まっさらな状態は、学べば学んだだけ吸収していくからです。より良質な稽古を、より多くおこなった者が人一倍の成長を手にします。そして成長した人には、より大きな期待が集まるようになります。そうすると、さらなる良質な稽古を重ねることができ、成長が加速していきます。そのため「量稽古したものが勝ち」だと著者は言います。

 第2段階では、量稽古によって強みの原型が見え始め、「その強みに応じた仕事」が集まり始めます。強みを活かした仕事をし始めることで、質を伴った量稽古ができるようになります。この量稽古がある一定の閾値を超えると、初見の仕事でも経験を活かして臨めるようになります。

 第3段階になると、身の丈を超えた仕事を任されるようになり、個のレベルの不足を補うためのネットワークを必要とするようになります。あなたが持っていない強みを持っている人に頼らせてもらったり、逆にあなたの強みを持たない人から頼られるようになったりして、結果として「生態系」が作られていきます。

 この関係が、一方的な強みの搾取ではなく、互いの強みを等価交換できたとき、より良い結果が生まれるとともに、より強くて広いネットワークへ成長が加速すると著者は言います。

 ネットワークの力を得て、すでに一定程度の成功を収め、金銭的な報酬の面でも将来の不安に縛られる時期を抜け出すと、「仕事が仕事でなくなる」瞬間が見えてきます。これが第4段階。

 食べていくため、生きていくために稼ぐ労働ではなく、やりたいこと、なし得たいことへの挑戦がしやすくなります。この活動の比重が高まると、「自由を手に入れた」という見方もできるようになります。

第4段階まで駆け上ることは簡単なことではないけれど、起業はそれだけのやりがいがあるものである。僕としては、これから起業する方々には「報酬=金銭」というよりは、自分が世の中に新しい価値を生み出し、さらに経済的に自由になって挑戦ができるという点に目を向けてほしいと思っている。自由を得て新たな価値を提案する起業家が増えていけば、社会は絶対により良いものとなっていく。(p.92)

9.成功と失敗の定義

 起業の成功と失敗を分けるわかりやすい基準の一つは、「黒字化できたか、できなかったか」「上場できたか、売却できたか」でしょう。どちらも「経済的指標」で、白黒がハッキリつくので、使い勝手がいい基準といえます。

 しかし著者は、何度も起業を重ねたことで、もっと別のところに成功と失敗の違いがあると考えるようになったそうです。

それは、「成功とは、着手仕切れた時、失敗でも十分にやった時」「失敗とは、着手しなかった時、実行を見送り続けた時」ということです。

 つまり、事業の成功と失敗は、起業した自分自身が「どう考え、どうあったか」という部分に収斂されていくということです。だからこそ、起業はまず「意志が10割」なのです。

まとめ

 以上、「起業に大事な9つのポイント」は、どれも著者自身が連続起業する中で、意識して臨み、そして振り返ってきた大事なポイントです。

 本書にはこのほかにも、起業の必修3教科である「新道徳」「新国語」「新算数」についてや、事業を失敗にへと導く可能性のある7つの姿勢や行動(7つの大罪)について解説されています。

  • 第1の大罪 意思なき起業
  • 第2の大罪 経験なき理屈
  • 第3の大罪 顧客なき事業
  • 第4の大罪 熱狂なき業務
  • 第5の大罪 挑戦なき失敗
  • 第6の大罪 利他なき利己
  • 第7の大罪 自問なき他答

 コロナによって浮き彫りになった数多くの社会課題。それらを一つでも解決したいという信念や熱量が芽生えた方は、ぜひ本書を読んで、「起業」による解決を目指してみてください。

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