【要約】『映画を観ているみたいに小説が読める 超簡単!イメージ読書術』

【要約】『映画を観ているみたいに小説が読める 超簡単!イメージ読書術』




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 読書好き、特に小説好きの方の中には、時間を忘れて作品に没頭し、気づいたら朝になっていたという経験をしたことがあるのではないでしょうか。

 ふだん本を読まない方や、活字を読むのが苦手な方からすると、なかなか信じられないことかもしれませんが、本当にそういうことが起こるのです。

 我を忘れて小説の世界に没頭すると、日常とは違う世界を体験することができます。これは現実の自分とは別の人生を生きることができるということであり、これぞ小説を読む醍醐味と言えるでしょう。

 どうすれば小説の世界に深く没入して、未知の体験を味わい、別の時間を過ごすことができるようになるのでしょうか。

 そのためのトレーニング方法を教えてくれるのが『映画を観ているみたいに小説が読める 超簡単! イメージ読書術』という本です。

 本書では、高校の国語教師である著者が、読書経験の少ない生徒たちに小説を読む楽しさを体験させたいと考えて開発した「カットイメージ・リーディング」という読書法が紹介されています。

 誰もが自分の人生は一回きりしか生きることができません。だからこそ、小説を読むことで別の人生を体験することができれるとすれば、普段本を読まない人にとっても興味を惹かれるテーマだと思います。

 映画を観ているみたいに小説が読める「カットイメージ・リーディング」とはどのような読書法なのか、以下要点をご紹介します。

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カットイメージ・リーディングとは?

 「カットイメージ・リーディング」とは、一言でいうと、本文を読みながら心に映像を思い浮かべ、別のカットになると思うところで区切り線を入れていく読書法です。

 以下の画像のように、線は、本文の上から下まで引き、線と線で挟まれた本文が、1枚のカットイメージと対応していることが一目でわかるようにします。

(p.79参照)

 カットとは「映像の切れ目」のことで、映画やテレビドラマなどの映像作品は基本的にカットによって構成されています。それぞれのカットを、動きや音声とともに生き生きと感じ、映像として心の中でイメージしながら読むのが「カットイメージ・リーディング」です。

 これによって小説の文章を「映像」としてイメージする力を鍛えることができます。

 イメージが鮮明になると、小説を読むことが楽しくなりますし、深いイメージ体験によって脳が活性化し、ものの見方・感じ方がリフレッシュされる効果もあります。

なぜカットイメージが有効なのか?

 小説は文章なので、「実用文」を読むときのように意味の理解を主とした読み方でも、物語の内容を理解することは可能です。

 しかしそれだけでは、小説の本当のおもしろさは実感できません。小説は、作家がつくり上げた物語の世界を、イメージの力を使って読むことで楽しむ「文芸」であり、物語の世界を心の中に再生し、自ら体験していくことにこそ面白さがあるからです。

 小説を楽しみたいと思ったら、左脳の言語理解レベルに留まらず、右脳のイメージ機能を最大限働かせながら読むことが大切なのです。

 例えば、「彼女はパリにいる」という文を読んで、意味がわかるだけでなく、凱旋門やエッフェル塔、ルーブル美術館などの風景が見え、そこで生き生きと過ごす彼女の表情が見える。それがイメージするということです。

 意味理解をベースにして、場面の状況をありありと思い浮かべ、人物の表情の変化もリアルに追っていくことで、その世界を体験し、感情を味わい、より深く小説を楽しめるようになります。

 逆にイメージ化が不十分だと、小説の世界に入り込むことができません。「小説を読んでも楽しめない」という方は、この状態に陥っているのかもしれません。

 では、心の中にイメージ世界を作りながら、より深く内面体験を味わうためには、どのようなトレーニングをすればよいのでしょうか。

カットイメージ・リーディングの実践方法

 カットイメージ・リーディングは、小説をイメージ鮮やかに読めるようになるためのトレーニング方法であり、大きく次の2つのステップに分かれています。

第一段階

 まずは先述の通り、本文を読みながら、心に映像を思い浮かべ、別のカットになると思うところで、区切り線を入れていきます。線は、本文の上から下まで引きます。そうすることで、線と線で挟まれた本文が、1枚のカットイメージと対応していることが一目でわかります。

(p.79参照)

↑本書ではページの余白部分にカットごとの説明が書かれていますが、自分で読むときはこうした補足説明を書き込む必要はありません。

 また区切り線の位置に正解はありませんので、自分がイメージしたカットごとに線を入れていけばOKです。(同じ小説を別々のマンガ家がマンガに描けば、それぞれ違ったコマ割りになるのと同じです)

第二段階

 次に、第一段階で丁寧に分けたカットイメージを、頭の中で5枚以内の代表的な画にまとめます。

 たとえば第一段階で17枚のカットに分けられたら、それらを5枚以内にまとめ直します。マンガで描いていたものを、紙芝居にすると考えるとわかりやすいでしょう。

 数枚の画を頭の中に並べて、場面の整理をしながら、きちんと物語の流れがわかるように大きな区切りを見つけていきます。その際、カットを合成したり変形したりして、新たなカットをつくることもあります。

 その区切りは、以下のように、第一段階の線を下に延ばすことで示します。

(p.95参照)

↑5行目の後の青線が、第二段階における1つ目の区切りとなります。

 第二段階では、残せる枚数が限られているので、「どれを残してどれを捨てるか」という相対的な重要度の判断が必要となります。

 頭の中に5枚の代表的な画を思い浮かべ、それでストーリーにつながるか、大事な場面が画として生かされているか、画の大切さ、優先順位をしっかり考えて、画を取捨選択し、必要に応じて合成します。

 この作業によって、場面と場面の関係を考えたり、場面の重要度を比較・判断したりして、物語の構成や意味への気づきが深まっていきます。そうして自分自身の作品理解ができていくのです。

 ここでも「正解」はありませんので、登場人物の誰の目線で、どこに焦点を当てて物語を咀嚼するかも含めて、すべて自分次第です。区切り方を変えたら、どんな5枚以内の画になって、その配列にどんな意味が出てくるのか、それを考えるプロセスを楽しめるのもカットイメージの魅力です。

 尚、ここで重要なのは、第一段階でまず細かなカットイメージ分けをしてから、そのあとで大きな区切りを見つけていくという順番です。これを逆の流れにして、先に全体をおおざっぱに分けて、それでわかったつもりになってしまうと、もう細部を丁寧に読む気はしなくなってしまいます。

 カットイメージでは、まず細かなカットを見つけていくことで、細部を読み飛ばさずに丁寧に読んでいき、そうして作られた詳細なイメージ世界を、より大きな視点で見たらどうか、と考えて大きなまとまりを見つけていくのです。

 最初からおおざっぱに分けていったのでは、決してたどり着けない気づきがそこには起こると著者は言います。

カットイメージの作業を簡略化する

 ここまで読んで、「普段の読書でそんな面倒なことはしていられない」「どうせすぐに普通の読み方に戻ってしまうだろう」と感じる人もいるかもしれません。

 もちろん著者も、全ての作品についてこのような読み方をすることを勧めているわけではありません。また1つの作品について、最初から最後まで線を引きながら読むことを勧めているわけでもありません。

 厳密なやり方にこだわらず、自分が読書を楽しむために必要に応じて活用するというスタンスが、カットイメージ・リーディングを実践する上でのコツです。

 たとえば冒頭の導入部分だけでも、実践してとその小説の世界に入っていくことができると、その先の没入感や読書の質は大きく変わってきます。読み進めていくうちに、またじっくりイメージしたくなったら、そこからカットイメージ作業を再開すればいいのです。

 そのために本書では、区切り線を簡略化した「簡易式」のトレーニング方法も紹介されています。

↓の画像のように、本文の上から下まで引いていた(第一段階の)区切り線を横棒(ー)にして、カットの切れ目に入れます。第二段階のまとまり部分には、二重線(=)を引きます。

(p.181〜182参照)

 つまり横棒1本(ー)で細かなカット分けをしていき、大きな画にまとまるなと思うところがあったら、横棒を二重線(=)にするということです。

 言葉で説明すると面倒に感じられるかもしれませんが、実際は読みながらカットイメージを思い浮かべて区切りを見つけ、横棒1本を次々と入れながら読み進んでいくだけなので、大した手間には感じません。

 そのシンプルな作業の中で、頭がフル回転して五感イメージをつくり、自分自身でそれを味わいながら読書する体験ができます。

 線を引かずに頭の中だけでやる、という考えもあるかもしれませんが、横棒1本でも「線を引く」ことの効果はあなどれないと著者は言います。線を引いた場合と引かない場合とでは、見えてくるカットイメージの解像度が大きく異なるのです。

 本書のワークを実践して「カットイメージ・リーディング」の効果を実感したら、普段の読書ではとりあえず簡略式で線を引きながら、イメージに深く没入する体験をしてみてはいかがでしょうか。

まとめ

 普段あまり読書をしない人にとっても、最近忙しくて本が読めなくなった人にとっても、「物語の世界に没入し、別の人生を体験する」という時間は、とても魅力的で貴重なものだと感じるでしょう。

 これは決して現実逃避ではなく、「心の休暇」だと著者はいいます。職場を離れてバカンスを楽しみ、自分をリセットしてまた元気に職場に戻る。それと同じように、物語の世界に我を忘れることは、また現実に戻って自分の人生をしっかりと生きていくために、必要な時間なのです。

 本書には、イメージを実感するためのワークや、実際の小説を使ったカットイメージの練習がステップアップで用意されています。また本格的に取り組みたい人のための段階的なプログラムも紹介されています。

 また、カットイメージをベースにして人物の中に深く入り込む読み方や、その小説の映画ポスターをイメージして主題をつかむ技法、長編小説を読むときに応用する方法など、カットイメージを入口としたさまざまな小説の楽しみ方が紹介されています。

 この本でトレーニングすれば、小説を読むことを楽しみながら、カットイメージによる深い読書を体験でき、「映画を観ているみたいに」小説を読む、自分なりの読み方ができるようになるでしょう。

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