「憧れている先輩は?」と聞かれた時、真っ先に思い浮かぶ女性がいます。前の部署で一緒に働いていたその先輩は、明るくて接しやすく、後輩からも上司からも慕われている方でした。
先日その方と一緒に研修を受ける機会があったため、一体私は彼女のどこに憧れているのか探ってみることにしました。すぐに気づいたのは、圧倒的な「言語化力」の違いです。彼女は講師に意見を求められた時に、わかりやすく明確に意見を述べることができていました。
一方で私はしどろもどろになり、結局のところ何を言いたいのか伝わりづらくなってしまいます。思い返すと、普段後輩に指示を出す時も、言葉がうまくまとめられずに遠回りして説明してしまうことがよくありました。
そんな時に私の目に飛び込んできたのが、本書『言語化力 言葉にできれば人生は変わる』です。著者はThe Breakthrough Company GOの三浦崇宏さん。代表取締役でありながら、クリエイティブディレクターとして数多くの作品を手掛けており、2019年10月20日に掲載された「新聞広告の日プロジェクト 朝日新聞社×左ききのエレン Powered by JINS」では、企画だけでなく本人役として漫画にも登場しています。
本書は、広告制作や講演会など様々な場面で言葉と向き合い、駆使してきた三浦さんが、普段から実践している「言語化のプロセス」や「印象に残る言葉の作り方」といった言語化のためのポイントがたくさん詰まっています。
今回は、本書の中から言葉で人を動かす3つのポイントをご紹介します。「言語化」のプロセスについては、サロンメンバーのHIKARUさんが記事を書かれていますので、ぜひそちらもご覧ください。
読書ノート
人を動かすときの3つのポイント
①目的を明確にすること
一つ目は「目的を明確にすること」。ただ「動け」と命令するよりも、「鬼を退治しに行こう」と目的をはっきりさせることで、伝えた相手が動きやすくなります。
たとえば雑用をお願いされる際も、「この仕事やっておいて」とだけ言われるより、「この仕事をやっておくと、次の工程がこういう風にやりやすくなるから」と伝えてもらった方が、動く気になれますよね。
②目的に向かうプロセスを明確にすること
2つ目は「プロセスを明確にすること」です。三浦さんがかつて外資系の広告代理店に勤めていたとき、圧倒的な実力を持った先輩がいらっしゃって、その先輩のチームは毎年のようにカンヌで賞を獲っていたそうです。
しかし三浦さんが同じように挑戦しても、なかなかうまくいかない。その先輩と三浦さんの違いは何だったかというと、目標に到達するための「プロセス」を明確化できているかどうかでした。
三浦さんはメンバーに「みんなで頑張ってカンヌ(国際広告祭)で賞獲ろうぜ!」と言っていたそうですが、その先輩は「ここまで頑張ればカンヌ獲れるぞ」という言い方をしていたのです。
先輩の伝え方は、「これくらい頑張れば賞獲れるから、ここまで頑張ろう」というプロセスを明確に定義付けしており、努力のゴールイメージが明確になったことで、メンバーの本気さをより引き出すことができたのです。
これまで私が伝わりづらい遠回りな説明をしてしまっていたのは、「手順」を説明するだけで「目的」が伝わらず、なかなか理解してもらえなかったからだと気づきました。
まずは目的を伝え、そして目的までのプロセスもきちんと伝える。それだけで相手の受け取り方が大きく変わることを、この本を読んで実感できました。
③主語を複数にすること
単純に「頑張ってください」と言うよりも「一緒に頑張りましょう」と言うことで、相手に気持ちが伝わり、モチベーションを上げることができるといいます。
「I」ではなく、「WE」に変えることで、印象は大きく変わってくるということです。
「よろしくね」ではなく「一緒に取り組もうね」という「WE」メッセージを伝える。言葉をちょっと変えることで、自分にとっても相手にとっても快く動ける環境が作れそうです。
私のように「言語化」が苦手だという方には、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
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