今回は『読書する人だけがたどり着ける場所』という本を紹介します。
「本を読んだ方が良い」「本を読むことは良いことである」ーーそんな言葉を誰もが一度は耳にしたことがあると思います。
しかし、実際は深刻な本離れが進んでいるという現状があります。読書は良いこと。それはなんとなく分かる。けれど、その理由をきちんと挙げることはできるでしょうか? これは本を読まない人だけでなく、読書の習慣がある人にとっても難しい問いであると思います。
読書が大切であると言われる理由があまりにも不明慮であることが、現代社会の本離れを加速しているのかもしれないと、本書を通して感じました。
スマホやタブレットなど、本よりもはるかに便利な情報収集手段が身近に存在している以上、「本の良さとは何なのか」をきちんと理解することができなければ、本よりも便利な手段に頼るようになり、人々生活から遠ざかってしまうということは、ある意味当然のように思えるのです。
本書には、「読書は良いこと」といえる理由が明確に示されています。読み進めていく中でそれらを知っていくと、本を読むことの素晴らしさに改めて気づき、本を読まずにはいられなくなってくるはずです。
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読書とインターネットでの情報収集の違い
著者はインターネットで簡単に情報を得ることを「浅瀬で貝殻を拾っているようなもの」、読書で情報を得ることを「海の深いところへと潜りに行っているようなもの」と表現しています。この表現は私に大きな気づきを与えてくれました。
情報社会と言われている現代、貝殻を拾うことはとても容易です。しかし浅瀬に転がっている小さな貝殻一つを手にして、海の全てを知ったと思ってしまってはいないでしょうか。それはあまりに未熟な思考で、もったいないことです。海は私たちが思っている以上に遠く、深く広がっているのです。
深い海へと潜る、すなわち「読書」を通して情報を得ることで、思考力・知識・人格・人生に「深み」をもたらすと著者は述べています。
読書で「深み」を得ることの大切さ
本書にこのような一文があります。
浅いままだと、単純で「面白がってください」というエンターテインメントに慣れてしまい、複雑な楽しみがわからなくなってしまう。
この一文は「深み」の必要性を説いています。
同じ内容の事柄を前にしても、それをどのように見て、捉え、そして楽しめるかは受け取り手の「深さ」次第ということです。
「楽しくない」ということを事柄そのもののせいにしてはいけません。楽しめないということは、自分は浅いと言っているようなものであり、それは恥ずべきことなのです。
「読書をする人だけがたどり着ける場所」が確かにあること。そして、それがとても豊かで素晴らしい場所であるということを本書を読んで知って欲しいと思います。
本書を読むことで、「本」との付き合い方は大きく変わることでしょう。