論理的で伝わりやすい文章の書き方!誰もが書き手になる時代の文章入門

論理的で伝わりやすい文章の書き方!誰もが書き手になる時代の文章入門




 ドラマ化したことでも有名な『嫌われる勇気』の著者・古賀史健氏は、新刊『みんなが書き手になる時代の あたらしい文章入門』にて、現代を生き抜くための方法として「論理的な文章を書く」ことをあげています。

 そもそも文章というのは、非常に不自由なツールです。ふだん会話するときには、顔の表情や声のトーン、視線、身振りのような「ことば」以外のツールを用いることができます。しかし文章の場合、「ことば」だけで伝えなくてはいけません。にも関わらず論理の筋が通っていないとなれば、相手は「何を伝えたいのかさっぱりわからない」と感じてしまいます。せっかく書いたのに、読み手にそう思われてしまうのは寂しいもの。

 タイトルに「みんなが書き手になる時代」とある通り、近頃は、資料作成、企画書、レポート、小論文、メール、ブログ、SNSなど、仕事やプライベートを問わず、文章を書く機会が増えてきており、誰もが文章力を求められている時代となっています。ブログやSNSならまだしも、企画書や小論文で「何を伝えたいのかわからない」というのは、寂しいでは済まされません。

 ここから先は、本書で取り上げられている「論理的な文章を書くコツ」について紹介します。



1.「論理的な文章」ってどんな文章?

 「どうすれば論理的な文章を書けるのか?」を考える前に、まずは「論理的な文章」とはどんな文章なのかを押さえておきましょう。

 著者は、論理的とはシンプルに「論が理にかなっている状態」であると述べています。そもそも私たちは、文章を書くときに何かしらの主張をしています。たとえば「こんな企画をしてみたい」「おしゃれなパンケーキを食べたから、ぜひみんなにも知ってもらいたい」といったものです。

 しかし文章の中で「こんな企画をしてみたい」と繰り返したところで、熱意は伝わるかもしれませんが、相手の共感を得ることはできないでしょう。むしろ読むのが億劫で、退屈な文章になりかねません。

 相手の心を動かすには、「どうしてその企画をしたいのか?」という「理由」の部分を書かなくてはいけません。

 つまり論理的な文章とは、自分の主張(論)をたしかな理由(理)が支えている文章のことなのです。

 論理的な文章を書くには、「自分の主張」と「たしかな理由」、そしてもう一つ大切なものがあります。それは理由を裏付ける「事実」です。

 たとえば、誰かが職場にフレックスタイム制を導入したいと考えたとしましょう。ここでは「フレックスタイム制を導入したい」が「主張」になります。ここに「理由」を付け加えると、こんな感じでしょうか。

 私たちの会社は、フレックスタイム制を導入すべきだと思う。なぜなら自分の都合にあわせて、自由に働けるほうが、ひとりひとりの仕事の効率があがり、会社の業績もよくなるからだ。

 「ごちゃごちゃ言わず、ともかくフレックスタイム制を導入すべきだ」と理由もなく主張するよりは、いくぶん論理的な文章に近づいたように思います。

 しかしこれでは「あくまであなたがそう思うだけで、本当にそうなの?」と思われてしまいますよね。主張と理由だけだと、主観的な文章になってしまうということです。ですから、そこに客観的な事実を加えることが重要になります。先ほどの文章に、客観的な事実を加えてみるとどうなるか。

 私たちの会社は、フレックスタイム制を導入すべきだと思う。なぜなら自分の都合にあわせて、自由に働けるほうが、ひとりひとりの仕事の効率があがり、会社の業績もよくなるからだ。
 事実、すでにフレックスタイム制を導入したA会社でアンケートをしてみると、社員は仕事効率があがったと感じていることがわかった。それにA会社の業績も、フレックスタイム制を導入する前後では、はっきりとした改善の兆しが見えている。

 どうでしょうか。だいぶ説得力のある文章になったのではないでしょうか。説得力のある論理的な文章を書くには、このように「主張」「理由」「事実」がしっかりかみ合っていることが大切なのです。



2.文章は「引き算」で考える

 わかりやすい・伝わりやすい文章を書く上で、もう一つ大切なコツがあります。それは、文章を書くときに「何を書くか」ではなくて、「何を書かないのか」を考えたほうがいいということです。

 著者は、ライターとして取材にいった際、どれだけ濃密で、最高におもしろい取材ができたとしても、100のおもしろい話のうち60くらいしか原稿に書かず、残りの40は削ってしまうそうです。それは、文章のなかでどうしても伝えたいことを濁らせずに、しっかりと伝えるためです。

 いくらおもしろい話であっても、その記事で伝えたいことから脱線していたり、遠回しすぎたりする場合、100のおもしろい話すべてを取り上げるよりも、ある程度統一感のある60の情報を濃縮した方がよい文章になりやすいのです。

 大切なのは、「どこなら削っていいのか」「絶対に削ってはいけないのはどこか」を見極めることです。そのために著者は、いちど頭のなかにあることを紙に書くことを勧めています。頭のなかにあることを書き出すことで、どんな道を進もうとしているのか、あるいはどの道を進むべきなのかを客観的に考えることができます。

 文章を書く前にも書いた後にも、自分自身を疑うことが、文章の出来不出来を決めるのだと著者は述べています。

3.手紙を書くように文章を書く

 実際に文章を書こうとパソコンの前に座ったとき、手が動かないことってありますよね。そんな時は、手紙を書く感覚になるとよいそうです。なぜなら文章を書くときに考えるべきことは、すべて手紙に詰まっているからです。

 それは以下の要素です。

  • 自分はなにを伝えたいのか
  • 自分はいつ伝えるべきなのか
  • 自分は誰に伝えたいのか

 これらの要素のなかで、いちばん見落としやすいのが、「誰に伝えたいのか」の部分だと言います。

 著者は、誰に伝えたいのかをはっきりさせるために、「特定の個人」もしくは「かつての自分」に向けて書くことを勧めています。それが「手紙を書く感覚」です。

 「抽象的なみんな」に向けて書いた文章は、結果として誰にも伝わらないことになりがちです。逆に「特定の誰か」に向けて書いた文章は、特定の誰か以外の人にも伝わることが多いのです。

まとめ

 ここまで、伝わりやすい文章を書くコツについて紹介してきました。論理的な文章を書くためのコツや、引き算で考えるといったノウハウは、文章を書くときだけでなく、プレゼンをする際にも応用できるのではないでしょうか。

 本書には他にも、「文章のカメラワーク」(=構成)にかかわるコツなど、ここでは紹介できなかったポイントについても記されています。気になる方はぜひ手に取ってみてください。片手におさまるコンパクトサイズで、すぐに読み切れてしまう本なので、読書が苦手な方でも気軽に文章力の基礎を学べるはずです。

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