こんにちは、ひとはです。
ホリエモンこと堀江貴文さんが証券取引法違反で逮捕されたのが、2006年の初頭。ライブドア事件として世間の耳目を集めたあの時から11年余りが経ちました。時代の寵児として持てはやされたホリエモンもそれでお終いかと思いきや、最近はテレビへの出演や多くの著作などで再び注目されています。
あの当時、インターネット関連企業という一般の人にはよく分からない会社が、常識を打ち破るようにプロ野球球団やテレビ局を買収しようとしたことについて、時代が変わる動きを感じ取った人も多かったことでしょう。
結果的に実刑の有罪判決が確定してしまいましたが、それは常識を超えた彼の発想や行動が時代に受け入れられず、否定的な目で見る人が多かったことが大きく影響していたように思います。
彼の常識を超えた発想と行動は、恐らく今後も衰えることはなく、エネルギッシュに動き続けるでしょう。堀江さんは、それを「多動力」と称し、その力を身につければ仕事は楽しくなり、人生は充実すると書いています。
そして自らが、この本は渾身の力で書いたと序文で述べているように、「多動力」というホリエモンのホリエモンたる源泉がこの本には数多く詰まっています。
それらはきっとあなたの人生を変えるきっかけとなることでしょう。
寿司屋の修行なんて意味がない
堀江さんがツイッターで「寿司職人が何年も修行するのはバカ」と投稿し大炎上したことがありました。
確かにこの言葉だけを聞けば、誰だって反発したくもなるでしょう。下積みで苦労したからこそ一人前の職人になれるのだし、石の上にも3年、苦労は買ってでもしろ、といった教えが常識とされている日本人からすれば、修行を否定する言葉は受け入れ難いものです。
しかし堀江さんが見ている世界は、完全な「オープンイノベーション」となった世の中なのです。そこでは情報はオープンに公開され、誰もがその情報を受け取り、改良し、新しい組み合わせで新しいものを作り出していくことができます。
「オープンイノベーション」の世界では、お米のとぎかた、おいしい酢飯の作り方、魚のうまさを最大限引き出す包丁の使い方も、親方から弟子に伝えられるものではなく、だれもがその情報を手に入れることができるのです。
その上で、お客様に最高の満足を与えることができる寿司屋とは何かを考えることが重要なのです。
手作り弁当より冷凍食品のほうがうまい
多数の著書やネットメディアでの記事、ブログなどで発言をしてきた堀江さんですが、すべてを一から書き起こしているわけではないようです。過去の記事やインタビューを再構成することで、新たな価値を生み出しているのです。
こう言うと「ゴーストライターが書いているのか」と批判する向きもあるかもしれません。しかし漫画だって多くのスタッフが参加して作品を仕上げているのですから、なぜ本だけ駄目なのかと堀江さんは問いかけます。
これこそ既成概念の枠に捉われない考え方なのでしょう。堀江さんは全てを自分一人でやることはない。本当に自分がやらなければいけないことは何かということを考えろ、と言います。
例えばお弁当について、毎日子供の弁当を「手作り」しなければいけないことなどなく、時には手を抜くことも考えるべきだということです。むしろコンビニで好きなものを買った方が子供も喜ぶ場合もあるからです。
サッカー選手も常に全力で走っているわけではなく、いざという時に100%の力で相手を突破して、得点を上げることができるのが一流選手なのです。つまり、緩急を使うとことが重要だとして発想の転換を促しています。
徹底的にハマり、飽きたらすぐ捨てる
何か一つのことに極端なまでに夢中になれば、好奇心と集中力が身につき、他のジャンルでもそれが生かされることになります。それ故に「ハマる」ことも才能なのだとして、堀江さんは以下のように書いています。
「多動力」とは異なるいくつものことに次から次へとハマる力だ。では、この力を身に付けるためにはどうすればいいか。初めからいくつものことに手を出すのではなく、先ずは「何か、“一つのこと”にサルのようにハマる」ことだ。
ご自分でも把握できないほど多くのプロジェクトを抱えておられる堀江さんのモチベーションは、正にこの「ハマる」ことで湧いてくるのでしょう。
ご自身について次のようなこともおっしゃっています。
一つのことにサルのようにハマるが、実は飽きやすい。飽きやすいということをネガティブに捉える人もいるが、実は成長が速いということでもある。
(中略)
飽きっぽいといっても短期間にものすごい勢いで熱中しているから、人並み以上の知識と経験が身に付き、仕事に役立つ武器となる。
これこそが堀江さんの「多動力」の原点なのです。
サルのようにハマり、鳩のように飽きよ
これはこの本の第3章のタイトルですが、妙に印象的な表現で記憶に残る言葉です。
しかし私は、最初この言葉が胸に引っかかり咀嚼できずにいました。何故サルと鳩がハマることと飽きることの代名詞として使われているのか不思議だったのです。
サルについては、性的に気持ちの良いことを覚えると死ぬまでやり続けるという習性(真偽のほどは定かではありませんが)をもって、ハマる代表にしているのでしょう。
では鳩はどうでしょうか。飽きっぽい代表として使われていますが、街で見かける鳩にそのようなイメージはありませんし、むしろ伝書鳩のように帰巣本能がある鳥として見ると、飽きっぽさとは対極にあるように思えます。
しかし堀江さんのことですから、きっと鳩の習性についても興味を持って調べたことがあり、鳩に関する深い知識をお持ちなのだろうと思い、私もネットで鳩の習性について調べてみました。
そして分かったのは、鳩は雄雌のつがいで行動し子育てをしますが、雛が独り立ちするとコンビを解消してしまうということです。しかも鳩の巣立ちは早く、年に2〜3回は繁殖するそうなので、そのたびにパートナーを替えているということになります。
それは「飽きっぽい」という理由からではないかもしれませんが、「次から次へと興味の対象が移っていく」という生き方については重なるところがあります。
「ワクワクしない時間」を減らそう
「多動力」とは、いくつもの異なることを同時にこなす力のことだと定義しています。その力を養うためには、常識にとらわれず、全て自分でやるという考えを捨て、サルのようにハマり、鳩のように飽きることが必要だと説いてきました。
では「多動力」を発揮するために重要なことは何でしょうか。堀江さんはこう言っています。
限られた時間しかない人生。いつでも多動でいられるために一番大事なこと。それは、1日24時間の中から「ワクワクしない時間」を減らしていくことだ。
例えとして、掃除や洗濯などの家事は一切せず家事代行サービスを使うとか、ベビーシッターを頼むとか、サラリーマンであれば経費精算をアルバイトでも使ってやらせるべきと言っています。
これらが可能かどうかは別として、先ずは自分の24時間について事細かに書き出してみて、その中でワクワクしないことを赤で潰していくことを薦めています。
もし、24時間全てが赤く潰されてしまうとしたら大問題。一つ一つ減らして行く方法を考えなければなりません。
「自分の時間」を生きよう
多くの人は他人の目を気にして自分の時間を犠牲にしており、ビジネスマンも上司の怒りを買わないよう会社のルールに縛られて仕事をしているものです。
他人のために自分の時間を使うのは無駄であり、自分の人生に対して失礼ではないかと堀江さんは問いかけます。
他人の時間とは自分の意思とは関係なく、何かをやらされている時間のことだ。自分の時間とは自分の意思で、自らがやりたいことをやっている時間のことだ。
こう言われてみると、確かに自分自身の根源的な欲求に反して行動していることのなんと多いことだろうかと気づかされます。
好き勝手にわがまま言い放題では人生は成り立ちませんが、自分が熱中できることに多くの時間を使うことこそ、自分の人生に対して正直でいるということなのでしょう。
誰もがホリエモンにはなれないが、自分の人生を生きる権利はある
この本に書かれていることは、堀江さんご自身が実践されていることばかりですが、誰もが同じことができるとは限りません。むしろ、自分とは全く違う世界を生きている人という印象を持たれるかもしれません。
しかしこの本で書かれていることは、私たちに「自分の人生を本当に自分のために生きているのか」と問い掛けています。
本書のあとがきに書かれていることをそのまま転記しましょう。
「多動力」とは大量の仕事をこなすための、技術ではない。
命が果てるまで、1秒残らず人生を楽しみきるための、生き方である。
本書『多動力』を読んだからといって。君自身が変革したわけではない。
重要なことはJust do it. Just do it.
(中略)
あれこれ考えるヒマがあったら、今すぐ、やってみよう!
そう、自分の人生を楽しく生きるためにJust do itです。