米アップル元マネジャー著『なぜ僕らはこんな働き方を止められないのか』

米アップル元マネジャー著『なぜ僕らはこんな働き方を止められないのか』




 こんにちは、koto89です。

 今回は『なぜ僕らは、こんな働き方を止められないのか』をご紹介します。

 著者の松井博さんは、元アップルのマネジャーで、アメリカの高収益企業の現場第一線でご活躍されてきた方です。その豊富なご経験から編み出されたライフハックが詰まっているのがこの本です。

 自分の働き方はもちろんのこと、時間の使い方、価値観、生き方まで自問自答させられる、興味深い内容でした。

 特に目を引いたのは以下の2つです。

  1. 日本企業と外資(アメリカ)企業の違い
  2. グローバル社会における生き方
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1.日本企業と外資(アメリカ)企業の違い

 まず面白いと思ったのは、「アメリカ人は仕事において、日本人ほどイエスマンではないと思われがちですが、実はアメリカ人の方がよほどイエスマンだ!」というお話です。私自身も海外生活経験があり、社会人になってからも外資系企業数社で10年以上働いたことがあるので、この点はとても共感できました。

 外資系の企業は絶対的なヒエラルキーのもとで組織が成り立っています。上司の言うことは絶対であり、イエスマンでなければ外資系の社会ではやっていけません。

 いわゆる「メンバーシップ型」と呼ばれる多くの日本企業と違い、外資系企業では「ジョブ型」が採用されており、自分に任せられた領域の業務で、個人としていかに最大限のパフォーマンスを発揮するかで評価されます。そして期待に沿う結果が出せなければ、すぐに減給または解雇されてしまいます。日本人から見ると一見ドライな世界に見えますが、これは実はとても公平なシステムだと私は思います。

 日本でも今年はコロナウィルスの影響で、多くのホワイトカラーの職種の方々が在宅勤務に切り替わってきています。外資系企業にとどまらず、今やどの企業でも、個人としてどのように成果を高めていくかがよりシビアに問われる時代を迎えていると言えるでしょう。

 厳しくもフェアなアメリカ企業で結果を出してこられた松井さんのお話は、これからの日本の社会で導入できる点がたくさんあると思います。

 ネットやスマホが普及し、グローバル化したこの世界で、今でも満員電車にゆられて朝8時に出社してお昼ご飯は自分のデスクでコンビニ弁当、夜も残業続きで23時に電車で居眠りしながら帰路につく。。。

 そんな人生をあと何年続ければ、私たちは幸せになれるのでしょうか。体調を崩して強制終了させられる前に、もっと自分の意志で自分の生き方を変えていかなければなりません。必要なのは、今の仕事の中にある「無駄」を省くことや、好きなこと、得意なことを見つけて伸ばしていくことです。そのためのTipsやノウハウが本書に記されています。

 ちなみに余談ですが、外資系企業(少なくとも自分が属していたアメリカの企業2社)では、大人になってからの成長は、その人の弱みを改善していくよりも、持っている強みをさらに引き出していく方が結果として効率的である、という考え方がありました。

 もちろん自分の苦手分野を把握して、少しでも克服できるように努力するに越したことはありませんが、人生は思っている以上に短いので、苦手なことに苦戦している時間があったら、それは得意な人に任せて、自分は他の人よりも優れている能力を発揮するようにした方がより早く社会の役に立てる、という考えです。

 私はこの考えに共感しています。ダメなところを指摘するよりも、褒めて伸ばすということがもっと日本のビジネスの世界でも適用されてほしいです。そうすれば、もっと多くの人たちが自分の強みを生かして、楽しく自信をもって働けるようになるはずです。



2.グローバル社会における生き方

 松井さんは、アメリカの大学を卒業後、日本の内資企業に就職。その後アップルジャパン、そしてアップル米国本社に移籍され、現在はフィリピン、アメリカ、日本で3つの会社を経営されています。

 松井さんは本書の中で、世界を股にかけて、時間も場所も選ばず働くスタイルを「ゴールドカラー」と呼んでいます。松井さんご自身のnoteにも書かれていますが、経営学者Robert Earl Kelley氏が提唱する、「ブルーカラー」「ホワイトカラー」に加わる新しい労働階級の概念だそうです。(おそらく堀江貴文さんや前澤友作さんなどがこれに当てはまると思います)

 松井さんご自身もゴールドカラーとして複数国を飛び回り、会社を経営されていらっしゃいます。はたから見たら、とても羨ましがられる働き方に見えそうです。実際、私は本を読み進めていて「ふむふむ、ではこれからの時代に推奨されるのがこのゴールドカラーの働き方なのかな?」と思ったのですが、どうやらゴールドカラーにはゴールドカラーなりの苦悩があるようです。

 どこかのネットの記事を読んでわかったような気になっているのではなく、全て自分の体験なので、それがまた新しいアイデアにもつながります。ただ、空港のバーで一人ぼっちで飲みながらツイッターをやるような、かなり寂しいライフスタイルであることは否めません。

 私は、このパートがもっとも印象に残りました。誰もがうらやむような自由と経済力のある働き方ではありますが、ご家族と過ごす時間が取れないなどの不都合もあるそうです。そしてさらに面白いと思ったのは、これは能力の優劣の差ではなく、個々の性格によって向き不向きがあるということです。

 企業に属した方がイキイキできる人もいれば、人に指図をされるのが嫌だから独立した方が楽しく仕事ができるという人もいます。体を動かした方が気持ちよく働ける人もいれば、デスクワークを好む方もいます。日本にいるのが窮屈だから海外に飛び出すという人もいるでしょう。それは、どれがより優れている、ということでもないのですね。(もちろん、松井さんのような生活を実現するには、並々ならぬ努力と苦労が必要なことは言うまでもありませんが…)

 松井さんはこの本の中で「ある程度好きなことを仕事にしよう」とおっしゃっています。それは、上記のような自分の特性を見つけることなんじゃないかな、と思います。
自分はどんな環境にいると一番幸せなのか? どんな仲間と共に時間を過ごしたいのか? そんなことを自問させられました。

最後に

 これから世界は、まったく予測できなかった困難な時代へ突入していくことになります。そんな社会の中で私たちはどう働き、どう生きていけばいいのでしょうか。

 激動する時代とともに進化するためには、無理や無駄を省き、自分の強みを生かしていけることが重要だと思います。

 今後の社会の変化によっては、もっといろいろなカラーの種類が出てくるのかもしれません。

 今の仕事や働き方に疑問を持っている人、何かを変えたいと思っている人におすすめの本です。

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koto89
ふだんはIT企業に勤務しています。

この機会に色々な本を読んで、アウトプットしていきたいと思っています。

趣味はゴルフ、ホットヨガ、旅行です。

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