今回は、精神科医の樺沢紫苑さんの著書『行動最適化大全』を紹介します。
本書は、「仕事」「人間関係」「健康」という3つのテーマに関する悩みを解決するための「行動最適化」アイデアを紹介した一冊です。
著者のもとに届いた1万件以上の日常生活の悩み相談や質問の中で、最も多かった50個のテーマをピックアップし、解決法を紹介しています。
第Ⅰ部はイラストで簡潔に解説し、第Ⅱ部でエビデンスを含め詳しく解説する構成になっています。
こんな感じの可愛くてシンプルなイラストで、要点を把握することができます。
まずはイラストを見て、興味のあるトピックについて詳しい解説に飛んで理解を深めるという読み方がおすすめです。
ここでは、おすすめの「最適化」ポイントを5つ紹介します。
「行動最適化」5つのポイント
楽しいことを考えて「眠り」につく
1つ目は、「就寝直前」の最適化。
「どんなにたいへんな1日でも、寝る直前はポジティブ体験を思い出してハッピーな気分で眠る」というものです。
人間の印象は「ピーク」と「エンド」で決まるので、エンドをよくすれば「いい1日だった」という記憶が定着し、睡眠が深まります。
とはいえ、もともとネガティブ思考の強い人だと、いきなり「ネガティブなことは考えないようにしましょう」と言われても難しいでしょう。
そこで勧められているのが「3行ポジティブ日記」です。
今日あった
「楽しかったこと」
「よかった出来事」
を1行ずつでいいので3つ(3行)紙に書きます。
その中の一番楽しかったことを強烈にイメージしながら布団に入り、寝るまでそのイメージを維持するのです。
人間は一度に2つのことは考えられないので、ポジティブな記憶で頭を一杯にしていれば、「ネガティブな記憶」が入ってくる余地がなくなります。
不安が強い人、失敗体験を引きずる人、メンタル疾患の患者さんなどは、1、2週間やるだけで、絶大な効果が得られると言います。
三日坊主にならない「続ける方法」をマスターする
次は「継続」の最適化。
ポイントは
「目標のハードルを低くする」
「記録する」
「視覚化する」
の3つです。
「大きな目標を立てたほうよい結果が得られる」と思われがちですが、それは完全に間違いだと言います。目標が高すぎると、現実とのギャップがストレスになり、すぐに続けられなくなるからです。
継続のモチベーションは、ドーパミンが分泌されることで湧いてくるのですが、目標が高すぎるとドーパミンは分泌されません。
ドーパミンは「ちょいムズ」を好むので、継続のために効果的な目標は「達成が少し難しい」くらいのものがベスト。簡単すぎず、難しすぎない。何とか頑張れば今の自分の実力でも達成できる。そうした目標を立てて、ドーパミンの分泌を促すことが継続の秘訣でそうです。
また「やった日、やらなかった日」を記録することも大切です。記録すれば記憶に残り、「常に意識する」ようになるからです。
「したか、しなかったか」
「したなら、何分したか」
を毎日記録すると、「何日連続でやっているか」「何日連続でサボっているか」を把握できます。
やらない日は「×」と記録します。すると罪悪感が出て、×が2つ続くと、明日は「やらないと」という気持ちが湧いてきます。
また、記録したものを視覚的に確認する「視覚化」も重要です。文章だけで理解するよりも、イラスト、図、グラフなどの視覚を併用することで、6倍以上記憶に残るという研究結果があります。
最後に「2日やらなかったら、3日目は必ずやる」というルールを設けましょう。
毎日頑張ると疲れてしまいますが、「最低でも、3日に1回はやる」くらいの目標であれば、意外と長く続けられることに気づくでしょう。
希望のある「温かい言葉」をたくさん使う
次は「言葉」の最適化です。
悪口を言うと、ストレスが増え、身体の免疫力が低下して、さまざまな病気の原因をつくることが証明されています。
そのため「ネガティブな言葉1に対して、3倍以上のポジティブな言葉を言う」ことが勧められています。
言葉を変えると人生は変わります。人生がうまくいかないという人は、まず普段使っている言葉から変えていきましょう。
ポイントは「ネガティブな言葉を一切言ってはいけないわけではない」こと。自分の気持ちを抑圧しすぎると逆効果になりかねません。
ネガティブな感情が生まれることは仕方ないと割り切った上で、その3倍以上のポジティブな言葉を言うようにすればいいのです。
むしろ「後から3倍以上のポジティブな言葉を言うから、今はネガティブな発言をさせてくれ…!」のように、自分を無理に抑えない運用の仕方をするのがよいと思いました。
どんなときでも「幸せ」を感じることはできる
続いて「幸福」の最適化。
幸せになりたいと思っているけど、具体的に何をすればわからないという人は多いでしょう。
実は、幸福とは脳内物質の分泌によって感じられるもので、その感じ方には3種類あるそうです。
以下が3つの脳内物質です。
- 心と体の健康から生まれる「セロトニン的幸福」
- 人とのつながりから生まれる「オキシトシン的幸福」
- お金や目標達成から生まれる「ドーパミン的幸福」
「セロトニン的幸福」とは、「体調がいい」「気分がいい」という状態、あるいは調子がいいからこそ感じられる「気持ちがいい」「清々しい」「爽やか」という「気分」「感情」「体感」などです。
「オキシトシン的幸福」とは、他者との交流、関係によって生まれる幸福全て。誰かと一緒にいて「楽しい」「うれしい」「安らぐ」のが、オキシトシン的な幸福です。夫婦関係、恋人などの恋愛関係や親子、兄弟など家族のつながりから感じることができます。また友人、知人、ペットとの交流。他者貢献、親切、ボランティアでもオキシトシンは分泌されます。
「ドーパミン的幸福」とは、「やったー!」と叫びたくなるような達成感や充実感から得られるものです。お金や財産、富、目標達成、自己成長など。また褒められたり、承認されたりすること。物欲、金銭欲、名誉欲、食欲、性欲。遊びや趣味で楽しいと感じる時に、ドーパミンが分泌される。
これらの脳内物質を分泌させることができれば、誰でも幸せになれるのです。
逆に、3つの幸福をどれも感じることができない状況だと、行動に移す気さえ起きないかもしれません。しかし「3つのうちどれかの脳内物質を分泌させれば、幸せを感じる」とわかれば、やる気が湧いてくるのではないでしょうか。
「自分はどの種類の幸福なら感じられそうか」を考え、それを実行することで幸福感を得る。そうすれば、他の幸福を得るための行動も移す気力が湧いてくるでしょう。
本書の153個のノウハウは、ほとんどが「3つの幸福」のどれかに分類されます。自分の足りない幸福を増やすように、優先順位を決めて行動していくと、あなたの生活の中に幸福が満たされていくはずです。
成長の仕組みがわかれば「人生」をよりよくできる
最後は「人生」の最適化です。
幸せと感じられる1日が、50年続けば、人生が幸せになります。今日1日を「楽しむ」。たったそれだけで、幸せな人生がつくれるのです。
では、どうすれば幸せな1日になるのかというと、上記で紹介した
・希望のある「温かい言葉」をたくさん使う
・楽しいことを考えて「眠り」につく
を実践することです。
「ネガティブな言葉」を減らして「ポジティブな言葉」を増やす。「悪口」を減らして、「ありがとう」を言う。そして毎晩寝る前に、幸せだったと思いながら眠りにつく。
こうした行動によって、人生を好転させることができます。
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