さぁ、イノベーションをはじめよう!
グローバル化の広まりによって、イノベーションと無縁でいられる組織は1つとしてなくなりました。
AppleやGoogle、Amazonといった世界的企業たちと同じ舞台で戦わなければならない今、多くの日本企業が苦境に立たされ、イノベーションの必要性が叫ばれています。
どうすれば革新的なアイデアを出し、イノベーションを成功させることができるのでしょうか。そのための指南書としてオススメしたいのが『START INNOVATION!』です。
本書は、イノベーションを「探検」と捉え、その起こし方を「探検の道筋」に見立てて解説するという独自の方法を採用しています。
その中では、アメリカを発見したコロンブスや、エベレスト登頂に成功したエドモンド・ヒラリー、人類ではじめて月に立ったニール・アームストロングといった歴史上の偉大な探検家の物語を、現代のイノベーションのプロセスになぞらえながら解説しています。
彼らの驚くべき冒険の物語や、予期せぬ困難の乗り越え方を知れば、あなたも今までとはまったく違う心構えで、イノベーションに乗り出せるようになるだろう。
偉人たちの冒険譚から得た教訓をもとに、イノベーティブなビジネスアイデアを作る方法について紹介している本書は、「イノベーション」の旅に乗り出すための有効な手引書となるでしょう。
イノベーションメソッド「FORTH」とは?
本書ではアイデア創出のための実用ツールとして、「FORTH」というメソッドを提案しています。これはイノベーションの「使命」を携えて冒険に出発し、コンセプトに基づいた3〜5個の新ミニ・ビジネス・ケース(企画書)を持ち帰るという旅路を、次の5つのステップで構成したものです。
「Full Stream Ahead(全速前進でスタート!)」→「Observe & Lean(観察と学び)」→「Raise Ideas(アイデアを出す)」→「Test Ideas(アイデアをテストする)」→「Homecoming(帰還)」
これら5つのステップの頭文字を取って名付けれた「FORTH」とは、一体どのようなメソッドなのか。ここではその概要をお伝えします。
1. Full Stream Ahead(全速前進でスタート!)
まずしなければならないのは、専念すべき目標をはっきりさせること。上層部と協力しながら、「なぜイノベーションを起こす必要があるのか?」「ほしいのは製品なのか、サービスなのか、ビジネスモデルなのか?」といったイノベーションの使命と、クリアすべき基準を定めます。
この段階から上層部の人間を引き込む理由は、あなたが組織のトップでない限り、新コンセプトを最終的に評価する人間の同意が得られないと、アイデアが世の中に出ることはないからです。
同時に、アイデア創出チームのメンバーを選定します。著者の経験上、理想とするチームの人数は14人、内12人が内部の人間で、2人が外部の人間という編成がベストだといいます。
メンバーが増えるほどチームは個性豊かになっていき、新しいアイデアも出やすくなりますが、多すぎると収集がつかなくなったり、アクションが遅くなってしまう可能性があるからです。最初から関わる人数が多すぎるプロジェクトは、失敗する可能性の方が高くなると言われています。
2. Observe & Lean(観察と学び)
このステップの目的は、イノベーションの使命で対象となる分野、テーマ、市場のトレンドと関連テクノロジーを調査し、全体像をしっかりと把握することです。
イノベーティブになるには、これまでの思考パターンや習慣から脱却しなければなりません。つまりイノベーションを起こすには、インサイト(顧客や市場の情報)の刷新が不可欠なのです。
最新のトレンドとテクノロジーを調査すると同時に、想定ターゲット顧客層を定めて、直接インタビューやフォーカスグループ調査を実施し、顧客の不満を見つけ出します。
「活用できそうなトレンドやテクノロジーはどれか?」「顧客は誰で、どこに不満を持っているか?」「どの実例や顧客の不満が、いちばんインスピレーションを得られそうか?」などを議論しながら、現状の市場の全体像をつかみましょう。
3. Raise Ideas(アイデアを出す)
いよいよ、ブレーンストーミングによって新コンセプトを生み出します。「アイデア発散フェーズ」で500〜750個ほどのアイデアを生み、「集束フェーズ」で12の有望なコンセプトに絞り込みます。
一般的にブレーンストーミングというと、集まった数人〜10数人のグループで、意見のある人が次々と発言していくイメージがあるかもしれません。
しかしこれでは、誰かがしゃべり終わるのを待っている時間が発生するし、その間にアイデアがどこかにいってしまったり、発言する人としない人とに偏りができたりと非効率な面があります。
そのため本書では、次のような方法を提唱しています。
チームのメンバーはまず、完璧に静かな環境でアイデアを出す時間を与えられます。一斉にしゃべるのではなく、まずは付せんにアイデアを書きつけます。それからメンバーは順番に、書いたアイデアをテンポよく読みあげていきます。
こうすれば他の人が話に集中して耳を傾けられるし、それによって自分のアイデアを洗練させるきっかけも生まれます。また発言者の偏りもなくなります。
こうして付せんを貼っていくと、「アイデアウォール」はたいてい500〜750個のアイデアでいっぱいになります。ここから「アイデア集束フェーズ」へ入り、すべてのアイデアを30〜40の異なる方向性へまとめていきます。
さらに参加者全員で、特に見込みのありそうな12の方向性を選び出し、それぞれについてアイデアのマインドマップを作ります。そこから具体的なビジネスのコンセプトを作り上げ、12個の新コンセプトを完成させます。
優れたアイデアを手に入れるいちばんの方法は、アイデアをたくさん持つことだ–ノーベル賞を受賞した科学者ライナス・ポーリングの言葉
4. Test Ideas(アイデアをテストする)
次は、新しく生まれた12個のコンセプトを想定顧客がテストするステップです。
新しいコンセプトはどれくらい魅力的で、本当に優れているのはいったいどれかを知るために、簡単な定性調査をすばやく、さまざまな国や地域を対象に行います。
方法は1対1のインタビューでもいいし、フォーカスグループ調査でも、オンライン調査でも構いません。ただし、中核メンバーは必ず現場に立ち会うようにします。顧客の生の反応は宝の山。新しいインスピレーションが得られるし、その場でコンセプトを改善することもできます。
ネガティブな声や耳に入れたくない指摘もあるかもしれませんが、結局のところ、そうした点を明らかにすることがテストの目的です。
顧客から得た有益なフィードバックをもとに、コンセプトの改善ワークショップに取り組み、全員でネガティブな面への対策を探します。そして最後に、次のステップで新ミニ・ビジネスケースの形にまとめるコンセプト3〜5個を選び出します。
5. Homecoming(帰還)
最後は、ステップ4で選び出した3〜5個のコンセプトそれぞれから、新ミニ・ビジネスケースを作って上層部のもとに提案します。
「ビジネスケース」とは、コンセプトを戦略面・商業面・技術面・財務面から明確にまとめた企画書のこと。「ミニ」と言っているのは、この段階ではあくまで簡易版で構わないからです。
上層部を説得し、開発のゴーサインをもらうためには、コンセプトの革新性や創造的な面をアピールするだけでは足りません。コストや想定売上、利益など、ビジネスとしてしっかり機能するものなのかを測るための具体的な数字を示す必要があります。
アイデアは魅力的であると同時に、ビジネスケースの形にまとめられる現実的なものでなくては生き残れません。こうして具体的な数字を算出する過程で、コンセプトはより強化されていきます。
大きめの組織では、製品開発を担当するチームが新たに組まれるなど、開発へ向けた内部サポートという成果が得られるはずです。
こうして「探検」が終わるときには、3〜5個の魅力的な新コンセプトと、開発へ向けた内部サポートという成果が得られるはずです。
まとめ
ここで紹介したのはあくまで「FORTH」の概要であり、実際は各ステップについて細かく解説がなされ、有効なテクニックやツールについても数多く紹介されています。
本書は主に、会社組織の新規事業としてイノベーションを起こす場合が念頭におかれていますが、起業を目指す個人やチームが、投資家に対してアイデアをプレゼンして投資を勝ち取る上でも有効なメソッドといえるでしょう。
起業や新規事業の立ち上げに興味がある方は、是非参考にしてみてください。
モデルプロフィール
・名前 :橘ひろな
・生年月日 :1992.5.23
・出身 :千葉
・職業 :タレント、モデル
・将来の夢 :自分が好きなことができればいいな。
・Twitter :@hirona523
・ブログ :『橘ひろなのたちばなし〜♪』
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