こんにちは。40代会社員(エンジニア)のyabechonです。今回は、光本勇介氏著『実験思考 世の中、すべては実験』を読みましたので、ご紹介します。
この本を読んだ理由
光本氏は普段何を考えて価値を創造し、それをビジネスに変換しているのかを知りたかったから。
この本の概要
まず言っておかなければならないことは、この本の価格です。一般的なビジネス書は、大抵、1,200円~1,500円するところ、な、なんと、この本は390円。この金額は、ほぼ原価だそうです。
ですので、この本がいくら売れたからと言って、誰も儲からない……。しかし、である。この本に390円以上の価値を感じた読者は、本書のQRコードからお金を払うことができるようになっています。その額は予め決められており、0円/100円/500円/1,000円/1,500円……と増えていき、最高額は10,000,000円です。
そう、この『実験思考』という本の出版自体が、世の中を覆す可能性のある大きな「実験」になっているのです。
3,000円以上支払うと特典が付いてくるので、それを目当てに通常の本の価格よりも高い金額を支払う人が多くおり、この書評を公開した時点で、95,641,300円ものお金が集まっています。
これがスタンダードになったら、出版業界はひっくり返ってしまいますね。
著者の光本氏はこれまでも、このように業界がひっくり返るようなコトを実現してきた方です。
昔に比べて、現在は便利なものが周りに溢れかえっていますよね。固定電話が当たり前だったものが、今や固定電話は持っておらず携帯電話が当たり前になった。もっとさかのぼると、電話というものが無かった時代に、グラハム・ベルと言う人は電話を発明した。或いは、トーマス・エジソンという人は電球を世に送り出した。
簡単に書いてしまっていますが、これらはどういう過程を経て実現されてきたのでしょうか? そこには数々の実験と失敗があり、それらを繰り返した末に、実現されてきたはずです。
「世の中を実験台にしてしまおう」というのが、光本氏の基本的な思考回路であることが本書からは読み取れます。
光本氏によれば、世の中は全て実験であり、現在のような先の見えない時代、大変革の時代においては、ロジカルで考えていてはスピードについて行けないと言います。だから「実験思考。とにかくやってみる」が重要なのです。
また「実験思考で生きていれば、こんなに楽しい世の中はない」とも言っています。
もちろん光本氏は、当てずっぽうに実験をしているわけではなく、その裏には「こうなるだろう」という「仮説」がしっかりとあってやっているそうです。
「仮説→実験→答え合わせ」の繰り返しで世の中の真実を知っていく。これこそが、最高の喜びだそうです。
それともう1つ。当たり前を疑い、「そもそも論」に立ち返る。誰もがスルーするような「当たり前」を疑うと、ビジネスチャンスが転がっているとも言いいます。
たとえば、「CASH」というアプリをご存知でしょうか。これは、光本氏が開発したアプリだそうですが(yabechonはこの本を読むまで、アプリの存在は知りませんでした)、目の前にある物の写真を撮るだけで、その瞬間に金額が表示され、その額が口座に振り込まれるというものです。
メルカリやヤフオクなど、同じようなサービスは他にもあるのに、なぜ、このアプリを開発したのか。これは「そもそも論」を疑っていった実験だったそうです。メルカリやヤフオクは出品するときには、色々と手続きや交渉が必要ですよね。
これらのアプリが存在するということは、自分の要らない物を現金化したいという欲求は誰にでもあるということ。しかし面倒な手間は誰でもとりたくない(←仮説)、だったら写真を撮るだけで現金が入ってくる方が誰もがうれしいだろう(←実験)。こうした発想の末に生まれたのが「CASH」なのです。
答え合わせとしては、一夜にして3.6億円ものお金を払い出したそうで、これでは資金が底をつく、ということで速攻で閉鎖したそうです。
光本氏は、2017年はお金の年だと考え、「CASH」というサービスを開発した。
2018年は旅行の年だと考え、「TRAVEL NOW」というサービスを開発した。
そして、2019年は、不動産の年だと考えているそうです。さあ、何が飛び出してくるんでしょうか。
最終章には「未来予想図」として、現在光本氏が考えている実験案が多数書かれています。
この本のポイント
最後に、この本のポイントを3つにまとめるとしたら、次のようになります。
- 世の中はすべて実験である。
- 当たり前を疑う。
- 世の中はどんどん思考停止になっていき、そこにビジネスチャンスがある。
①世の中はすべて実験である
この点は「概要」でも触れました。光本氏がビジネスを生み出す上での源泉となる考え方です。実験し、たとえそれが失敗したとしても、「失敗」という結果が得られる。それは実験した人しか得られない成功だと言います。
先が見えない大変革の時代、世の中そのものを実験台として、仮説思考に基づいた実験を繰り返すことで、大きなうねりを生み出すことができる、ということです。
②当たり前を疑う
これも概要で触れました。誰もが当たり前にやっていることを疑う。固定概念を取っ払う。
「そもそもなんだっけ?」「そもそも何でやってるんだっけ?」というように、そもそも論に立ち返ると、案外、当たり前にやっている常識は常識ではないことに気が付く、ということです。
③世の中はどんどん思考停止になっていき、そこにビジネスチャンスがある
光本氏によれば、世の中はどんどん便利になっていき、それと反比例して、人間は思考停止に陥っていくと言います。
たとえば、大半の人はパソコンの普及によって、昔に比べて漢字を覚えられなくなってますよね。また、携帯電話の普及によって、友達の電話番号が覚えられなくなっています。
これは両方とも、テクノロジーの進化によって覚える必要がなくなったからです。全て機械がやってくれる。つまり便利さが進むほど人間の思考は停止していき、そこにビジネスチャンスがあるというわけです。
確かに思考停止になっても差し障りがないことについては、人間はどんどん思考停止になっていくでしょう。その一方で、余った脳を別のところに使うようになっていくはずです。
どれだけテクノロジーが進化したとしても、人間にしかできない領域はある。その領域で価値を発揮していくことが、これからのビジネスパーソンには求められていくのだと、本書を読んで改めて感じました。
yabechon流:この本を一言で言うと
「実験思考で動こう!その答えこそが世の中の真実」
最後に
現在の日本は、新しい画期的なモノやサービスが生まれづらい世の中になっています。いつもイノベーションは輸入です。
個人起業家の方はもちろんのこと、会社組織に属するサラリーマンの方、あるいは主婦の方、新しい「何か」を生み出したい方にとって必見の一冊だと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。