こんにちは。Yabechonです。
今回は、古川武士さん著『高密度仕事術』を読みましたので、ご紹介します。
古川さんは、3万人のビジネスパーソンの育成と1,000人以上の個人コンサルの現場から、「続ける習慣」が最も重要なテーマと考え、2007年に日本で唯一の習慣化コンサルティング会社を設立された方です。
僕は古川さんに2度ほどお会いしたことがあるのですが、その時におっしゃっていたのは、24時間の使い方についてでした。24時間の枠を埋める順番は、
- 寝る時間
- 食べる時間
- 遊ぶ時間(家族との時間)
- 仕事の時間
とおっしゃっていたと記憶しています。サラリーマンとは全く逆の発想です。
古川さんが「習慣」に着目するようになったのは、ご自身の会社員時代の出来事がきっかけだそうです。当時、日立製作所に在籍していた古川さんは、朝はだらだら10時出勤が当たり前、21時以降に本気モードになるのが当たり前、夜の12時過ぎに帰宅するのが当たり前、休日出勤当たり前の生活だったそうです。
僕と古川さんは、会社は違いますが同じ業種です。年次もあまり変わりません。現在は「働き方改革」が声高に叫ばれていますが、当時はみんなこういう働き方をしていました。
古川さんは「長時間労働と生産性の低さは、働き方の習慣の結果である」と考え、上記のような習慣を是正したことで、月の残業時間は60%カットでき、さらに1年間の営業成果も向上したそうです。
このように「成果を高めながら、日常業務を圧縮(効率化)していくこと」が「高密度な仕事」だと古川さんは定義しています。単なる「時短(残業削減)」ではなく、「日常的な生産性向上」を目指すということです。
仕事を高密度化するための原則として、以下の3つが紹介されています。
- 原則1:成果の最大化と業務の効率化は分けて考える。
- 原則2:時間に制限をかけると高密度化が始まる。
- 原則3:見える化すると人は改善したくなる。
僕は中でも、「原則1:成果の最大化と業務の効率化は分けて考える」が最も理解するのが難しく感じましたので、ここにフォーカスしてご紹介します。
成果の最大化と業務の効率化は分けて考える
仕事の生産性を上げるためには、「成果の最大化」と「業務の効率化」の両方を追求する必要があります。しかし成果を高める施策と効率を高める施策では打ち手が異なるため、分けて考える必要があります。
本書では「成果の最大化」と「業務の効率化」について、それぞれ5つずつポイントが解説されています。
まずは「成果の最大化」から見ていきましょう。
成果を最大化する5つのステップ
- ステップ1:価値ある仕事を増やす。
- ステップ2:退社時間を死守する。
- ステップ3:朝に集中するリズムをつくる。
- ステップ4:仕事を断捨離する。
- ステップ5:やり方を抜本的に見直す。
成果を最大化するには、これら5つのステップを順に踏んでいくことが有効だということです。
ここでは、ステップ1「価値ある仕事を増やす」とステップ4「仕事を断捨離する」について掘り下げて紹介します。
ステップ1:価値ある仕事を増やす。
成果を最大化するには「価値ある仕事」を増やす必要があります。「成果を最大化する仕事」の多くは、「緊急ではないが重要な仕事」なので、これを増やすことが肝要です。
たとえば消防署において最も分かりやすい業務は「消火活動」でしょう。消防署にとって「消火活動」は「重要かつ緊急な業務」です。しかし消防署は「消火活動」にだけ終始していていいのかといえば、そんなことはありません。
消防署にとっての「成果の最大化」は、火事によって人命が失われることを最小限にすることです。そのためには、火事が起きないようにしたり、起きたとしても住民自らが消火器で鎮火できるようにしたりといった「防火活動」が重要な業務となります。
火の用心のための地域活動を支援することや、小学校や施設に訪問して消化器の使い方を指導することがこれにあたります。
この業務は「緊急ではないが重要な業務」であり、「防火活動を増やすことが、消火活動を減らす」という好循環を作り出し、失われる人命を最小化することができます。
消防署に限らず、どんな業務でも成果を最大化するためには「価値ある仕事」を増やす必要があり、それは多くの場合「緊急ではないが重要な仕事(先を見据えた準備)」を増やすことになるのです。
ステップ4:仕事を断捨離する。
- 【断】:ボーッとしている時間、資料を探す時間、意味のない会議に出る時間などムダな時間や業務をなくす。
- 【捨】:メール返信、報連相など、なくせないけど余計に時間がかかっている仕事を減らす。
- 【離】:部下やメンバーに仕事を任せることで、自ら抱える仕事の総量を減らす。
要するに、仕事を「なくす、減らす、任せる」ことで、総量を圧縮するということです。
また、これは本書に書いているものではなく僕の考えですが、
- 【断】:仕事を安請け合いしない(断る)。
- 【捨】:形骸化した業務はバッサリやめる。
- 【離】:ほかに仕事を回し自分はより質の高い仕事へシフトする。
ということも、断捨離と呼べると思います。
仕事の成果を最大化するには、ムダな仕事や自分がやらなくていい業務を断捨離して手離れさせることが重要です。
日常業務を効率化する5つのスキル
本書では以下の5つのスキルが紹介されています。
- スキル1:ゴールイメージを決める。
- スキル2:優先順位を明確にする。
- スキル3:シングルモードで集中する。
- スキル4:突発業務をコントロールする。
- スキル5:すぐやる。
ここでは、スキル2とスキル5を掘り下げてご紹介します。
スキル2:優先順位を明確にする。
「緊急・重要度マトリクス」というものをご存じでしょうか。スティーブン・R・コヴィー博士の『7つの習慣』のうち、第3の習慣に出てくる有名なマトリクスです。
仕事の緊急度と重要度を分けることで、緊急ではないが重要なことは何か、減らすことができる仕事は何かを判断できます。
この判断軸を持つと、優先順位を明確にできるため、今日絶対に対処すべき仕事を見極め、それに集中できるようになります。
伊藤忠商事の岡藤社長(本書執筆当時)は、「繁忙期以外は残業しない」という働き方でトップまで上り詰めた人物です。岡藤社長がインタビューで時間管理のコツを聞かれると、「全体の仕事量を見ながら、最も重い仕事から着手することだ」というシンプルな回答をされたそうです。
これぞ仕事の要諦と言えるでしょう。優先順位を立てて仕事に取り組む習慣を持つことで、「今日やるべきこと」と「今日しなくていいこと」を明確に判断できるようになるのです。
スキル5:すぐやる。
ここでは、以下2つのポイントが挙げられています。
- チャンクダウン(具体化する)
- ベイビーステップ(小さい一歩で始める)
この2つの思考を使いこなすことで、行動へ移す際のマイナスの感情が軽減され、「すぐやる」ことができるようになります。
まずは「チャンクダウン」。これは「塊を小さくする」という意味です。仕事が大きすぎて着手する気が起きないときに、小さく分解することでストレスを軽減し、やる気を引き出すことができます。
たとえば「夏休みの宿題」だと大きすぎて何から手をつけていいかわからず、やる気が起きないかもしれません。これを「ドリル系」「読書感想文」「日記」「自由研究」「工作」のように分解し、さらにそれぞれを細かく分解していきます。読書感想文を「選ぶ」「読む」「書く」に分解すると、ステップが具体的に見えて、手をつける気も起こるでしょう。
次にベビーステップ。これは文字通り「(赤ちゃんのように)小さな一歩で始める」ということです。気が重たい仕事に取り組まなければいけないとき、モチベーションが上がるのを待つのではなく、最初の一歩を小さくすることで、まずは手を付けることを重視する考え方です。
それがどんなに小さな一歩であっても、踏み出してしまえばモチベーションは徐々に上がっていきます。脳は、行動が止まっているときにはやらない理由を積極的に考えますが、動き始めるとやる理由をどんどん考えるものだからです。
つまりとりあえず動き出してしまえば、あとからモチベーションは湧いてくるということです。
たとえば「会議の議事録」を作る場合は「フォーマットを用意して日付と場所などを入力する(5分)」、「提案書の作成」を作る場合は「過去の参考になる提案書をプリントする(10分)」のように、面倒でないレベルの初動の一歩を小さく設定します。
小さく一歩を踏み出してしまえば、二歩目への抵抗はさらに少なくなります。こうやって一歩ずつ踏み出すことで、モチベーションに火をつけていくのです。
チャンクダウンとベイビーステップを業務に取り入れることができれば、「すぐやる」が実現できると思います。
まとめ
働き方改革が声高に叫ばれている昨今、生産性向上はどこの職場でも重要な課題となっていることでしょう。
本書には、ここでは紹介しきれなかった「仕事を高密度化」するための実践的な方法やコツがたくさん書かれています。
また本書は、見開き1ページで1つのテーマが完結するので、好きなテーマから選んで読むことができるので、読書が苦手な方でも気軽に読めてオススメできる一冊です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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