こんにちは。Yabechonです。
個人が定年を迎えるまで1つの会社で働き続ける時代は、すでに終わりを告げています。2018年に働き方改革関連法が成立し、厚労省では副業・兼業の普及促進を図り、2019年5月には、経団連の中西会長が「終身雇用は制度疲労を起こしている」と発言。同じ頃、年金2,000万円問題も露呈しました。
ニュースで大々的に報じられていましたが、多くのビジネスパーソンは、こう思ったのではないでしょうか。
「知ってる」
「でしょうね」
日本社会が大きな転換点を迎えている今、
- いつ会社をクビになるか分からない
- いつ収入がなくなってもおかしくない
- 起業、副業を考えた方が良いだろうか
と危機感を持っているビジネスパーソンは多いと思います。僕もその一人です。
そんな中、『僕たちは、地味な起業で食っていく。』という本を目にし、
「地味な起業」って何だろう?
それで食っていけるのだろうか?
と非常に興味をそそられ、読んでみました。
以下、本書の要点をご紹介します。
地味な起業とは何か?
「地味な起業」とは、お客さんの悩みや「〇〇できない」という負の感情を、今まで自分が培ってきたスキルを使ってお金に替えることができる仕事のことをいいます。
「地味な起業」があるのなら当然、「派手な起業」もあります。資金をはじめ、人より抜きんでたスキルや人脈、才能、ビジネスモデルなど、多くのものが必要だと思われている起業がそれです。一般的に「起業」と聞いて僕たちが想像するのは「派手な起業」の方でしょう。
しかし「会社員のための地味な起業プロデューサー」である著者が運営するビジネススクールの受講生は、累計179名で30億円強の売上アップを成功させているそうです。「地味な起業」でも、これだけの成果を上げているんですね。
どうすれば「地味な起業」で成功することができるのでしょうか。3つのコツをご紹介します。
地味な起業を成功させる3つのコツ
①誰かの困りごとを手助けする。
「世の中には小さな困りごとが掃いて捨てるほどある」と著者は言います。たとえば
- ホームページを作りたいけど、どう作ればよいか分からない
- 宛て名書きを手伝ってほしい
- 顧客リストをエクセルに入力してほしい
といった仕事です。こうした「〇〇したいけどできない」という困りごとを本人に代わって解決してあげることで、派手なアイデアがなくても、仕事でお金を得ることができます。
今はクラウドソーシングサービスが普及しており、「小さな困りごと」はネットだけでも簡単に見つけることができます。試しに「クラウドソーシング エクセル」と検索してみたところ、たくさんの募集案件が出てきました。
地味な仕事であっても「それをやってほしい」と思う人は数多く存在するので、それを受けることで、特別なスキルや資金、人脈がなくても起業することができるというわけです。
②人を応援するための発信をする。
「地味な起業」に必要なのは、「人を応援する発信」です。これは特定の人に向けた「1対1」の発信のことで、たとえば自分が知っている人に「こんな情報がありますよ」「ぜひお手伝いさせてください」といった丁寧なメッセージを送ることをいいます。
今はFacebookやInstagramなどで自分のことを発信することがスタンダードになっていますが、これらは「1対多」の発信であり、自分がメインです。そうではなく「1対1」で相手を応援する発信をすることが、地味な起業で成功するためのコツなのだそうです。
また視点を切り替え、「相手の情報を自分が発信する」というのも立派な応援になります。自分の言葉で人を動かすことは難しくても、自分が応援したい人の言葉を整理して発信することや、隠れた魅力を探し出して発信することはできるしょう。
そうすれば当人からも感謝され、一緒に仕事をする関係性に発展するかもしれません。誰かを応援することは、「感謝される+発信力を鍛えられる」という一石二鳥のコツなのです。
③自分の知る世界から一歩外に出る。
自分の会社で当たり前のことが、別の会社でも当たり前になっているとは限りません。また仕事で自然と身についたスキルが、他の人にとっては身につけるのが難しく、重宝されるスキルとなる場合もあります。
つまり自分の知る世界から一歩外に出るだけで、今まで当たり前にやってきたことが、他の人にとっては当たり前ではない「強み」になる可能性があるということです。
特別なスキルを身につけようとしなくても、今の自分ができることで十分他人の悩みを解決できることを知ると、意外と多くのビジネスチャンスが転がっていることに気づくはずです。
地味な起業3つのジャンル
本書には、“「地味な起業」スタートアップ診断 ”というフローチャートが載っており、自分に向いている起業のジャンルがわかります。
フローチャートは本書をご確認いただくとして、その内容を分かりやすく表でまとめます。
マネジメント系
数字管理やコツコツ作業が得意な人にお勧め。人とお金の流れを管理するために、毎日定期的に数字を報告する仕事が多いです。
難易度 | 仕事例 | |
---|---|---|
Excelで数字管理 | ★☆☆ | 参加者名簿作成 受付表の作成 |
システム設定代行 | ★★☆ | 無料HPの設置 メルマガ配信システム運用 |
広告代行 | ★★★ | 広告用画像作成 広告アカウント作成 広告運用 |
クリエイティブ系
モノを作る仕事が得意な人にお勧め。動画や画像、スライドなど、会社の会議資料を作成する感覚で仕事ができます。
難易度 | 仕事例 | |
---|---|---|
画像作成 | ★☆☆ | バナー作成 チラシ作成 |
プレゼン資料作成 | ★☆☆ | 社内・社外プレゼン資料の作成 セミナーで使用するスライド作成 |
スマホ動画作成 | ★★☆ | セミナー動画の編集 Youtube動画の編集 結婚式用の画像と音楽をつないだ動画作成 |
WEBページ作成 | ★★☆ | 無料HP作成 会員サイトの構築 |
WEBページディレクション | ★★☆ | プロデザイナーへの依頼 |
ライティング代行 | ★★★ | 動画の書き起こし ブログのライティング代行 販売用HPのライティング代行 |
コミュニケーション系
接客や営業経験がそのまま活かせる仕事が多く、人と話すことが得意な人にお勧めです。会場に足を運んで現場でお手伝いをすることもあるので、仕事の依頼主ともより信頼関係を築きやすくなります。
難易度 | 仕事例 | |
---|---|---|
電話対応 | ★☆☆ | 顧客からの電話対応 英語での電話・メール対応 起業家の代表番号への電話対応 |
LINE返信対応 | ★☆☆ | 起業家や法人が運用するLINEの返信代行 |
セミナーリサーチ | ★☆☆ | セミナーへの代理参加(後日依頼主に内容報告) |
セミナー・イベント運営 | ★★☆ | セミナー受付 セミナーのリマインド送信 セミナー運営の段取り |
WEBページディレクション | ★★☆ | プロデザイナーへの依頼 |
秘書業務 | ★★☆ | 顧客への未入金催促 講座運営時のメール送受信 懇親会会場の予約 経費精算書の作成 スケジュール管理 予約受付システムの設定 |
こうした仕事は、1つずつ着実にこなしていけば初心者でもなんとかなるそうです。もし自分の手には負えないものがあれば、その仕事を自分の代わりにやってくれる人をクラウドソーシングサービスで探すという手もあります。
たとえ自分に抜きん出たスキルがなくても、仕事を受注して稼ぐことはできるのです。
また「地味な起業」を通して自分の才能に気づくことができれば、それを活かしてやがて「派手な起業」で成功を収められるかもしれません。
どのように仕事を受注するのか?
ここまで「地味な起業」の定義や、具体例についてみてきました。しかし肝心なのは、「実際にどうやって仕事を受注して、食い扶持を作っていけばいいのか?」ですよね。
そのためにはズバリ、
- 地味な起業の仕事=出会いの数×信頼関係×提案数
という方程式を覚えておくことが重要です。「地味な起業の仕事」は「出会いの数」と「信頼関係」と「提案数」の掛け合わせであり、それぞれを伸ばすことで、仕事を安定させることができます。
まずは出会いの増やし方について。本書では4つの方法が紹介されています。
「出会い」の増やし方
①SNSを活用する。
今やSNSを使えば、仕事上のつながりが簡単に作れるようになりました。Facebookを使えば共通の趣味をもった人たちと出会えますし、Zoom(オンライン会議システム)を使えば、そうして知り合った方とオンライン上でコミュニケーションを取ることができます。
新たな出会いを作り、一緒に仕事を始めることためのコストが大幅に下がっているのです。
②起業家や有名人のブログ、メルマガに登録する
ブログやメルマガで採用募集をしているケースは、意外にもよくあるそうです。なぜなら転職サイトに比べて圧倒的にコスト安だからです。実際、著者さんが経験した仕事の1つは、Facebook上で見つけたものだったそうです。
またブログにコメントをしたり、メルマガに返信したりするだけでも、相手の印象に残りやすく、出会いの数を増やすきっかけになると言います。
③クラウドソーシングを活用する。
企業が一部の業務を外部の専門業者に委託するジョブ形態を「アウトソーシング」といいます。
これに対し「クラウドソーシング」は、依頼者側が直接、オンライン上で不特定多数の人に業務委託を呼びかける形態です。代表的なサービスとして、クラウドワークス、ランサーズ、ジョブハブ、ココナラなどがあります。
クラウドソーシングによって仕事を受注し、成果を出すことができれば、依頼主からの評価が高まり、次第に報酬の高い仕事までたどりつけるかもしれません。
④イベントやセミナーに参加する。
最後は一番シンプルでわかりやすい出会い。イベントやセミナーへ足を運ぶことで、直接的な出会いを得る方法です。
「信頼関係」の築き方
本書では、信頼関係を「接触頻度×情報共有」と定義しています。
接触頻度を上げるためには、お茶会や読書会、食事に誘うなどが考えられますが、そもそも誘いを断られてしまうと頻度を上げることはできません。
そこでポイントとなるのが「なぜ」を使ったアプローチ。「なぜ会って話をしたいのか」という理由を相手に情熱をもって説明すれば、会ってもらえる可能性は高くなります。
もちろん、ただ会って話をするだけでは相手の困りごとは分からず、仕事にはつながりません。相手のことを下調べしてから会うのは当然として、会話の中で相手の困りごとを引き出す必要があります。
そのとき大切なのが「質問力」です。質問をする際、著者が意識しているのは「現在→過去→未来」という時間軸で質問をすることだそうです。
たとえば、
- 今、どんなお仕事をされているのですか?(現在)
→これは、相手がどんな仕事をしているか、どんな状況なのかを知るためです。 - 今まででいちばん大変だったことは何ですか?(過去)
→これは、過去の経験から、相手の価値観を知るためです。 - 今後はどういうことをされたいですか?(未来)
→相手のビジョンを知るとともに、現状とのギャップを知るためです。
この「現状と未来とのギャップ」がその人の「課題」であり「困りごと」です。その解決策を考えて提案すれば、仕事をもらえるチャンスは広がるでしょう。
さらに相手から得られる情報の質を高めるには、5つの深堀質問をするとよいそうです。
- 具体化:具体的にいうと何ですか?
- 数値化:数値にするとどうでしょうか?
- ベスト:それをやるにあたっていちばん困っていることは何ですか?
- ストーリー:〇〇という部分、詳しく聞かせてもらえませんか?
- 理由:なぜ、それをやりたいと思ったのですか?
これらの質問は、こちらの提案の質を高める上でも有効です。
提案数の伸ばし方
最後に「提案数」です。出会いを作り、信頼を得るまでのコミュニケーションができれば、自ずと相手の困りごとが見えてくるでしょう。
そうなればあとは、できるだけたくさんの提案をするだけです。「そうなんですね。自分はできますので、お困りならやりましょうか?」といった提案を数多くすればするほど、仕事の成約数も上がっていくはずです。
まとめ
副業、兼業が認められる企業は増えてきており、今後それに同調する企業も益々増えていくと思います。
本業に限定せず、自分の収益の柱を複数もっておくことを真面目に本気で考えなければいけない時代に入ってきたのだと改めて感じました。
本書は、特に転職経験がない会社員の方々にお勧めの1冊です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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