こんにちは、瀬田かおるです。
ビジネスパーソンなら、仕事に限らず何か悩みがあったとき、ビジネス書に助けを求めることってありますよね。
でもふと本棚を見ると、似たような内容の本が何冊もある! なんてことはないでしょうか? それは読んだ本の内容をきちんと自分のものにできていないため、また同じような悩みが生まれて、同じようなビジネス書を買ってしまうというスパイラルに陥っているのだと思います。
と、偉そうなことを書いていますが、これは私自身のことでもあります^_^;
本の内容を「自分ごと」として捉え、悩みの解決に活用することができれば、何冊も同じような本を買わずに済むはず。そのための読書法を学べるのが、『ビジネス書図鑑 これからの教養編』です。
著者の荒木博行さんは、書籍要約サービスを提供する株式会社フライヤーの元COO。音声メディアVoicyでは、「荒木博行のbook cafe」という番組で毎日おすすめの本を紹介されています。
本書は、前作『ビジネス書図鑑』の続編で、「教養」というテーマに絞った30冊のビジネス書の要約と、荒木さん独自の読書法が紹介されています。
本書を読めば、教養を身につけるための本の読み方と、30冊の名著のエッセンスをまとめて学ぶことができるのです。
ここでは、荒木さん流の本の読み方についてご紹介します。
本の読み方「4段階ピラミッド」とは?
「教養」とは「知識の広さや深さ」を意味します。しかし「教養ある人」とは、単に知識が広かったり深かったりするのではなく、「揺るがない自分を作り上げる力」が備わっている人だと荒木さんは言います。
揺るがない自分とは、周りや環境に左右されることのない、確固たる自分を持っているということ。ブレない自分軸を持って、やるべきことを全うする。そんな生き方を貫く人を、私たちは「教養ある人」だと感じるのです。
本書では、そんな自分軸を持った「教養ある人」になる上で役に立つ読書法が紹介されています。
まず本を読むときには、次の4つの階層を踏むことで、書かれていることをより深く理解することができます。
- 第1階層 広げる:本に対するアンテナを立てて、良書に出会うチャンスを広げる
- 第2階層 読む:メッセージや構成を理解しながら、メリハリをつけて読む
- 第3階層 残す:本の内容を後でも活用できるように、何らかの形で残すようにする
- 第4階層 変換する:良書に出会ったら、その内容を自分ものに変換するため、対話や実践を通じて深めていく
この「本の読み方 4段階ピラミッド」については、前作『ビジネス書図鑑』に詳しく書かれているので、合わせてご確認下さい。
「誤読」を楽しむ3ステップ
次にポイントとなるのは、本の内容を「自分ごと」として捉えて活用することです。
荒木さんは、前作の出版から1年が経った頃、「誤読」というキーワードに出会いました。Takramの渡邉康太郎さんが仰っていたこの言葉と出会い、これだ!と、膝を打つほど感銘したそうです。
誤読とは直訳すると、「誤った解釈をすること」になりますが、渡邉さんは「自由な解釈」を「誤読」と呼びました。
著者の意図を理解しながら読むことだけが読書ではなく、「著者はこういうつもりかもしれないが、私の文脈で読み取れば、こういう学び取り方もできる」といった感じで、読者が置かれている環境や文脈に依存させた「誤読」をすることで、読書は楽しくなるし、応用範囲も広がっていくと言います。
具体的には、次の3つのステップをたどることで、どんな本でも「自分ごと」に捉える(=誤読する)ことができるようになり、読書の楽しみが一気に広がると述べています。
STEP1 書籍のメッセージをストレートに理解する(具体)
最初は、著者が伝えようとしているメッセージを素直に理解することに努めます。初めから自分のレンズを通して読書をすると、視野が狭まってしまうからです。
そのとき必要となるのが、先にお伝えした「本の読み方 4段階ピラミッド」の活用と、次の3点を理解するように読み進めることです。
- 著者はどんな時代にいたのか
- 何を見たのか
- 何を訴えたかったのか
STEP2 メッセージの抽象度を高める(抽象)
ここからが「誤読」を楽しむための大切なポイントです。
STEP1で、著者の意図することを理解しながら読書したら、次はそれを自分に適用できるように、メッセージの抽象度を高めます。
学びを抽象化することで、他の文脈でも活用できるようになり、学びの適用範囲を広げることができます。
STEP3 目の前の事象に当てはめてみる(具体)
最後に、抽象度を高めた学びを自分に起こった具体的な事象に適用できないか、当てはめる作業をします。
このように、著者のメッセージをそのまま受け取るだけでなく、「具体→抽象→具体」と自分ごとに当てはめて活用することが、本書でいう「誤読」です。
30冊のビジネス書ラインナップ
本書では、上記の読書法によって、30冊の教養書を次のような章立てで要約しています。
- 第1章:自己理解を深めよう
- 第2章:自己を解放しよう
- 第3章:他者をリスペクトし、愛を与えよう
- 第4章:頭の使い方をアップデートしよう
- 第5章:キャリアを“高い視点”で考えよう
insight/ファスト&スロー/服従の心理/群衆心理/21 Lessons/利己的な遺伝子
嫌われる勇気/死ぬ瞬間の5つの後悔/完訳 7つの習慣/THE CULTURE CODE 最強チームをつくる方法/反脆弱性(上・下)
幸せになる勇気/愛するということ/新装版 人を動かす/大衆の反逆/自由からの逃走/これからの「正義」の話をしよう/マッキンダーの地政学
方法序説/学習する組織/世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?/センスメイキング/FACTFULNESS/ホモ・デウス(上・下)
プロフェッショナルの条件/ビジョナリー・カンパニー2/ザ・ゴール/HARD THINGS/君主論 新版/修身教授録
どれもビジネスパーソンが読んでおくべき名著ばかりですが、ページ数が多く、読むのに骨が折れる本が多いため、すべて読破するには相当な時間と根気が必要でしょう。
だからこそ本書で要点を掴み、「どんな本なのか」「この本から何を学べるのか」「そもそもこの本は自分の課題解決に役に立つのか」などをあらかじめ知っておけば、あなたの読書効率を大いに高めてくれるはずです。
まとめ
私はこれまで、本を読むときは、著者のメッセージを著者が設定した文脈のまま受け取るものだと思っていました。
しかし本書を読んだことで、著者のメッセージを理解した上で、自分がそのときに置かれている状況に応じて自分なりの解釈をする、そんな「誤読」をしてもいいし、するべきであることが分かりました。
例えば、歴史書からは歴史のことしか学べないわけではなく、ビジネスに役立つ学びを得ることだってできます。どんなジャンルの本でも、自分ごとに置き換えて活用することができれば、得られる学びはもっと広く深くなっていくのです。
読書って奥が深いし、だから楽しいんだと改めて感じることができました。
本書は、忙しくて本を読む時間がとれない人、読書が苦手な人にとっては、30冊ものビジネス書の要点をイラスト付きで楽しく理解できますし、読書は好きだけど、今まで読んだ本の内容を覚えていないという人にとっては、要約の仕方や新たな読書法を学ぶことができる一冊です。
「誤読」を取り入れて、新しい読書の世界に足を踏み入れませんか?