【齋藤孝】AI時代に求められる「複合力」とその身につけ方とは?

【齋藤孝】AI時代に求められる「複合力」とその身につけ方とは?




 あなたは1日のうち、「考える」時間をどのくらいとっていますか?

「平日は仕事をしてるから常に考えてる」
「休日なら “今日は何をして過そうか” 考えてる」
「毎日 “今日の晩ご飯は何を作ろうか” 考えてる」

などいろんな声が聞こえてきそうです。

 では日頃から「これは何のためにやっているのか?」と目的を考えたり、「今、どうする」を考えながら「次にどうする」と先回りして考えたりして、最善解を導き出すことをしているでしょうか?

 「今」と「次」を同時に考えるように、2つ以上のことを同時にこなす力を「複合力」と呼び、AI時代を生き抜くために必要だと紹介しているのが、『AI時代対応 大人の知的習慣』です。

 著者の齋藤孝さんは、明治大学の教授で多数のテレビ番組にも出演されているのでみなさんご存知かと思います。

 「マルチタスクは生産性を下げる」「1つのことに集中するほうがよい」といった主張もあるなかで、齋藤先生はなぜ「複合力」を重視するのでしょうか。

 それは「多くの情報・作業をいかに早く処理できるかを求められる現代において、一つのことだけに集中する仕事は稀であり、非効率だから」です。

 これからの時代は、ライブな場面で正しい判断ができることが求められるため、状況の文脈を読んで理解し、何をすべきか判断して行動することが必要なのだそうです。

 そこで重要なのが「複合力」なのです。

 私は、

  • インプットは得意だけど、それ以上に大切なアウトプット力を強化したい。
  • そのために「考えるクセ」をつけたい。

と思っていたので、複合力で「インプット×アウトプット」を習慣化する方法や、「考えるクセ」を付けるための方法が書かれた本書を手に取りました。

 この記事では「複合力」とは何か、そして「考えるクセ」を身に付けるにはどうすればよいかご紹介します。

読書ノート



「複合力」とは?

 本書のキーワードである「複合力」。これは労力を2倍にして2つのことをするものではなく、頭の使い方をうまくして、パフォーマンスを2倍にする力です。

 そのためには1つのことを「自動化」させることがカギとなります。1つのことは、特に意識もせずに、エネルギーも消費せず「当たり前」にできるようにしておく。そうすることで、もう一つのことに頭を働かせ、エネルギーを注ぐのです。

 1つを「自動化」すれば、使うエネルギーは変わらないまま、2つのことをこなせるようになるため、パフォーマンスが2倍になります。これが「複合力」を発揮する上で基本となる考え方です。

 これを読んで、私は「家事ってめちゃめちゃ複合力を発揮しているな」と思いました。今晩の夕食を作り始めるとき、「今日はこれを作るから、こういう流れで、これから先に作ろう」と先回りして考えたり、「刻んでいる間にこれを煮込んで、これは早くからすると冷めちゃうから先にこれを焼いちゃおう」などと手を動かしながら頭の中で瞬時に考えたりしています。

 ということは、普段から家事をしている人なら、仕事でも「複合力」を発揮できるはずです…!

 しかし残念ながら私は、仕事において「複合力」を発揮できているとは言えません。

 「面倒だから」という理由で、家事をするときのように考えたり、行動したりして来なかったのです。

 最近、職場で「これじゃダメだ……」と思うことがありました。私の所属するチームでは、月に一度ミーティングがあり、ある議題についてメンバーが「こうしたほうが、もっと早く処理できるのでは?」という改善案を挙げていきます。リーダーはその意見をとりまとめて、最善策を決定します。

 これを繰り返した結果、今ではチームの生産性が高まり、どのチームよりも良い成績を収めることができるようになりました。

 そんな活発に意見が飛び交うチームに所属する私ですが、実は一度も改善案を出したことがありません。ミーティングでは、意見を言うことさえほとんどしていませんでした。

 そう、仕事はしているけれど「考えていない」状態になっていたのです。

 ただ目の前の仕事をこなすだけの日々。これではAIと何も変わりません。

 どうすれば「考えるクセ」を付け、行動に移せるようになるのでしょうか。



「考えるクセ」をつける方法

 齋藤先生は「実験精神」を持つことを勧めています。クリエイティブな感覚を持っている人の多くは、通常のワークにプラスして、「もっと何か工夫できることはないか」といつも実験していると言います。

 ムダを省くための方法を考えることがクセになっているので、どんなことにも実験精神を発揮して、行動に移すことができるのです。

 実験精神があるかどうかは、「今、何のためにやっていますか?」「今、何を工夫していますか?」という問いに、即座に回答できるか否かでわかると言います。

 この問いに答えられない人は、何も考えていないということだそうです。

 実験精神を持って「考えるクセ」を身につければ、自然と行動に結びつき、アウトプットにも反映されていくはずです。

読書で頭がよくなる理由

 齋藤先生曰く、読書をしていると、脳は、読む時間を短くして速く理解しようとするため、読書をし続けることで、頭のいい状態が維持されるそうです。

 その頭の良さが基盤となって、自分の目の前の状況に対して前向きな行動が取れるようになると言います。

 本書では、読書の意義について、以下のように語られています。

 読書し続けている人の脳は、十分にウォーミングアップができている状態、いつでも試合に出ろと言われたらすぐに出られる状態にあるのです。(中略)読解して意味を取る頭の解読プロセスとしては、隠喩や推論など経験から得られた知識と統合させている。つまり、書かれている文章と自分の経験とを組み合わせて理解しているのです。それだけ本を読んで理解するという行為は複雑であり、本を読むという行為自体が「複合力」に支えられていると言えるのです。

 私は、年間100冊以上を読破する読書好きであり、何かに悩んだときには、仕事帰りに本屋さんに行って、解決してくれるような本を買い求めます。

 またアラフィフである私は、長年の夢だった「高卒以上の学歴を取得する」を実現するべく、通信制の短大に入学し学び直しをしています。

 読書好きで、学び直しもしている。だからインプットは十分できているはずなのに、会社での人間関係に悩み、自分の欠点は一向に改善されていない状況が続いている──これはインプットしたことが、きちんと実生活でのアウトプットに生かされていないということです。

 しかし、もし齋藤先生の言うように、読書をし続けることで、頭のいい状態が維持され、脳が十分にウォーミングアップができている状態にあるのだとしたら、日頃から沢山の本を読んでいる私は、実は「よーいドン!」の号令が上がれば、すぐに駆け出せる状態だということ。

 そう、もう準備を整っていて、あとはアウトプットの習慣を身に付けるだけだったのです。

 ではアウトプットを習慣化するためには、どうしたらいいのでしょうか。

アウトプットを意識したインプットをする

 齋藤先生は、大学の授業の最後に「今日の授業で何がポイントだったのか」を自分の言葉でまとめて、それに対する自分の考えを一言コメントで書くことを生徒への課題にしているそうです。

 なぜならアウトプットを求められるからこそ、インプットが意識的になり、質の高いインプットができるようになるからです。

 どう自分の言葉にしようかと考えながら聞くから、緊張感を持って授業を聞くことができます。

 これは読書についても同じことが言えると思います。ただインプットを増やすためだけに読書をするのではなく、アウトプットを前提に、「自分の言葉でこの本をどのように紹介するか」と考えながら読書をすることで、インプットの質が高まり、アウトプットの習慣も身についていくはずです。

 これも「複合力」を磨く術だと言えるでしょう。

まとめ

 本書を読んで、身に付けるべきだと感じたのは次の2つです。

  • 「今、どうする?」を考えながら「次にどうする?」を同時に考えるクセをつける。
  • 「より上手に、効率的にできることはないか」「より効果の上がる方法はないか」を考えるクセをつける。

 そのために、次の2つを実践することにしました。

①ノートに書き出す

 今やっていることの目的を考え、それを言葉にしてメモします。また「私は何をしたいのか」「どうなりたいのか」を考え、目標をノートに書き出そうと思います。

②1日のテーマを決めて「考える」

 出勤するときに今日のテーマを決め、電車に乗っているときや道を歩いているときに、今日のテーマについて考えてみます。例えば「今日は女性が着ているコートに注目してみよう」など。

 どちらも些細なことですが、意識していないとボーッと日々を送っていることが多いので、「考えるクセ」と「アウトプットの習慣」を身に付けようと思います。

 本書の第4章には、「旅する×読む」「喫茶店(カフェ)で過ごす×アイデアを出す」「仕事をする×ラジオを聞く」など、齋藤先生が日頃から実践している「行動の掛け合わせ(複合行動)」の例も紹介されているので、気になる方はぜひチェックしてください。

 大切なのは、「考えることをやめない」こと。さっそく「自分はどうなりたいのか」というテーマについて、お気に入りのカフェに出かけて考えたいと思います。




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瀬田かおる
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